江雪左文字を見てきたよ


というわけで、2月初めの週末から公開されている江雪左文字を見に友人と福山美術館へ行ってきました。

音声ガイドは江雪左文字役の佐藤拓也さんで、貸出コーナーにもその旨記載されており実質コラボ!スタッフさんがいい声ですよとおっしゃっていまして。ええ、存じております、と600円でガイドしてもらうことにしました。

入り口すぐにあったのが2018年展示の際の目録。
表紙にある左文字の「左」が銘の写真になっていてとてもかっこよかったです。デザインのセンスがとても良くてそりゃガラスケースに入れるわと納得。

展示のコンセプトは、号の由来になった江雪斎を皮切りに代々の主人の変遷と共に持ち主の為人やその所持品やなんかを章立てで紹介していくというもの。
そんな江雪左文字の来歴、江雪斎、徳川家康、その十男の頼宣、紀州藩に受け継がれ、昭和に入って売りに出され、という物語を落ち着いた語り口でじっくり音声ガイドも堪能してまいりました。
これで600円は安いよ。もうお釣りいいから1,000円受け取ってよ。

戯言はさておき、章ごとに用意されたコラムと品々の説明書きが読みやすくとても良かったです。
ここからは特に心に残ったものを雑多に挙げてゆきます。

長らく行方の知れなかった江雪左文字の替え柄とか鐔とか見つかったから展示するねー、やっと再会できたんだよー、みたいな文章見て、有名になったら見つかるのすごいなー、良かったねーと全然関係ないのにいい気分。

頼宣の持っていた他の刀。
盗難にあった為、銀象嵌でギチッと銘を入れられた上に、拵えの柄に鳥の頭をあしらったもの。この鳥がなんとも間の抜けたというか、三歩歩いたら忘れるけどまだ二歩だから大丈夫です、みたいなあんまり大丈夫ではなさそうな顔をしています。好きです。
友人に、傘の盗難防止に柄のとこへ細工するやつ思い出したけどそういうノリだろうかと言ってみたら、いやそうじゃないだろと返答されました。

紀州徳川家の品々。
島津正宗、すごい堂々とした刀らしい刀でした。
友人、おとよさんに持たせたいと言っていて完全同意。だって島津だし。どの島津か知らんけど。
蔵品票の貼られた箱やなんかの展示もあり、とても可愛い票だなあと。
四隅に葵、間を唐草みたいな曲線で繋いだフレームに番号とか書き込まれてあって、今回の図録のタイトルフレームもこれでした。デザインが素敵。
また、藩が品々を売り出すにあたって作られた目録の展示もありまして、カタログ自体も豪華上製本でお値段もついているっていう。

で。
買われていった先が「わかもと」というお薬で儲けた長尾欣也、よねご夫妻。
太閤左文字もこちらがお買い上げされたようです。拵えと共に見て参りました。前回コラボのときは行けなかったのです。
そして持ち主の家が傾くとまた放出される左文字。
巡り巡って福山美術館に落ち着いたのが2018年。あ、あの展示ってそういうことだったのか。それで図録も飾ってあるわけね。納得。

うん?ちょっと待ってと検索してみたらこの美術館へ伺ったの多分初めては2016年の明石と江雪のとうらぶコラボのときで、そうかあのときはまだ個人のをお借りしてたんか、となるなど。
お亡くなりになった後、奥様が美術館にコレクションを寄贈されたとか。
ありがとうございます、おかげで素晴らしいものを拝見できました。
小松コレクション最高です。
だってこのコレクション、一文字も長義もあんのよ。趣味の良いおかただあ。
ちなみにこのコレクションの中の一振りに、刃紋全部乗せ欲張りセットみたいなすんごい派手な、ただし写真に収めるのは無理、なものがあってとても良かったです。

余談。
この小松氏ですが、福山に本社のあるエフピコという会社の創業者だそうで、説明書きを読んだときはふーん、そうなんだ、くらいだったんですけど、帰路に着く際、だんだん暗くなってきた駅のホームから、

エフピコ

って社名が光ってまして。
友人!あそこにエフピコ!
と二人して拝んで帰りました。
ありがとう存じます、おかげさまで良きものを見ることが出来ました。
最高でした。
また来ます。

という、1日でした。

ありがとうございます。何らかの形でこちらへ反映させていただきます。