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ADHDの薬を飲み始めた

主治医から提案を受けたので、インチュニブを毎晩、就寝前に服用している。
まあまあ日数も経ったので体感をメモろうと思う。

飲み始め1週間程度は、眠気の副作用が…あったようななかったような、微妙であった。
というのも、飲んだ日に入眠が速やかだった感じはしなかったし、起床後に眠気が残っていたかといわれると、生活リズムが崩れがちかつ体力がない私は、出かけると翌日たっぷり寝たい欲求に抗えなくなるため、薬のせいで眠かったのか分からない感じだった。
薬の効果によるかはさておき、薬を飲んだのだから普通に近い感性が得られているのではないか!?という気持ちだけで、やる気が湧いてアクティブにはなっていた。

飲み始めてから2週間目ぐらいから、脳内多動が落ち着いていることに気付いた。止めどなく脳内で迸っていた映像や音楽、考えが8割くらいは静かになった。ちょっとした数字を移動した後も忘れずにいられるし、頼まれたことをやり遂げられる。
明日やろう、と思って避けたものをちゃんと翌日に思い出せる。
特に私は気が散りやすいのを防ぐために、(1人の時は)ひたすら歌っているという癖があったけれど、薬を飲み始めてからは「歌っていると他の事が出来ない」ようになったので、他のことをする為に歌う事が無くなった。
あと、今までは気付きもしなかった生活環境のちょっとした散らかりとかが目に留まるようになったので、ゴミをその場で分別して捨てたり落ちてる髪の毛を拾ったり…が苦でなくなり、できる。今まで出来なかったのに。

他に実感があったのは

  • 自宅の複数の照明のスイッチが1箇所に集まっている中で、点けたい照明のスイッチがどれなのか分かる(今まで覚えられなかった)

  • 自宅の鍵の開閉時、どっちに回せば閉められ、開けられるのかを理解出来る(今まで適当に回していた)

  • 運転中、BGMが無くても目から入る情報で思考が散らからず集中して運転出来る(気が散って危ない運転をする確率が減ったと思う)

  • 地図が読める(それでも間違うことはある)

  • 衝動的な買い物が減った(買う前に吟味できる・自制できる)

  • 先の予定を考慮して用事をこなす順番を考えられる(今までは考えてもうまく行かないので計画性がなかった)

  • 複数の条件や将来的な変更を考慮して計画を立てられる(同上)

  • ギリギリまで予定を先送りして目の前のやりたい事をやるより、早めに手をつけて予定通りに完遂することのメリットを重視できる(欲や衝動に勝てるときが増えてきた)

  • ずっと付きまとっていた焦燥感・憂鬱感が消えて現実のことにポジティブに注目できる(今までは根拠の無い不安、これまでの失敗体験で頭が埋め尽くされていたが無くなった)

  • ちょっとしたミスに以前ほど落ち込まなくて済んでる(今まではこれだから私はダメなんだ…って逐一凹んでた)

  • 薬が切れる24時間後くらいになると、以前のように脳内はうるさく、全てを閃くようになる。

  • 文章をとっちらからずに読める・書ける(書けているつもり、です)

薬を飲んで劇的に変わったのは、要らないものが捨てられるようになった事。
これまで、いつか使うだろうと思って取っておいたものをかなり捨てる事が出来た。
これまで溜め込んできたものを「仕分けて」「場所を決めてしまう」ために「多すぎるものを捨てる」ことができたのである。
しかも、いつか売ればいいから…と思いつつ、売るための準備が面倒くさくて先延ばしにしていたのも、今は逐一出品しては発送し…の一通りが出来ているので、混沌としていた部屋が地道にだけど、確実に片付いてきている。

尚、片付けをやっていて過去の私があまりに無茶苦茶な環境で暮らしてたのがダイレクトに分かるので、自分なのに自分にすごく引く場面がちらほらある。
分別のためにホッチキスを外すのが面倒で10年以上前から部屋にある書類や、まったく同じシリーズの同じ色の服が複数、なのに1着しか表にでてないから着まわさずにほぼ新品のものが存在しているとか、夏物と冬服がぐちゃぐちゃで同じ引き出しに入っているとかの現象に出くわすと、あまりの生活の下手くそさに頭が痛くなる。

認めたくないけど、薬を飲む前の自分も自分だという記憶はしっかりある。
もしかしたら、片付けの仕方が身についていなかっただけで、薬を飲まずとも整然とした自室を作り上げることは可能だったのかもしれないけれど、あの頭の中がとっちらかって仕方ない自分にはやっぱり難しかったと思うのだ。
なので今は薬を飲んで生まれ変わったような気持ちで、前世の私がかき集めた大事なものを、現実に合わせてチューニングしているようなつもりで片付けを進めている。

ADHDの薬というのは複数あって、私はまだインチュニブしか服用した事はないけれど、脳内が静かで集中したいときに集中できるというこの生活は、本当にとても素晴らしい。
とにかくせっかちで常に何かを閃かなくてはいけないとフル回転し続けるがあまりに自分を主軸に置けなかった多動状態は、頻繁なケアレスミスと強烈な先送り癖を引き起こして、長いこと私の自己肯定感を奪っていたのだけれど、今、己の意思で何をするか、しないかを選ぶ余地のある静かな頭は、私にようやく現実の成功を積み重ねさせてくれる。

私は、大人になってから発達障害という診断が付いたことが丁度いいと思っている。
学生時代にも服薬が出来ていればもっと違う人生になっていたと思うが、私は脳内多動による閃きをそこそこ楽しんで愛していたので、若い頃の活動的な過去を私は後悔していない。
いま、少し落ち着きが求められるような年齢になってからこの静かな脳で過ごせるのが丁度いいのであろう、とも思えているのだ。

このnoteは経過の記録を目的に書き始めたので特にオチとかはないけれど、私はADHDとしてインチュニブを服薬できて大変生活に満足している、ということ。それを言いたかった。参考になれば。

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