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連結決算は引き算だけ!

私が長年担当してきた『連結決算』について。
連結決算は、上場企業で子会社がある会社だと必須となっているけど、非上場企業で連結決算を導入している企業グループってどのくらいあるんでしょうかね?

非上場企業で子会社を持っている会社ってけっこうあると思うけど単体での数値管理、決算が中心になっていて、連結決算を導入している企業グループって徐々に増えてきているとは思うけどまだまだ少ないという印象がある。

そもそも『連結決算』とはなんなのか?
親会社や子会社、関連会社などのグループを『1つの会社』に見立てて行う決算のこと。ちなみに子会社と関連会社の違いは親会社が持っている株式割合の違いで、子会社は51%以上を親会社にもたれている会社のことで、関連会社は20%以上50%以下を親会社にもたれている会社のこと。

複数の会社の集合体をあたかも1つの会社のように見せるって、連結決算の実務を知らない人が言葉だけ聞くとかなりハードルが高いという印象を受けるだろうだけど、実はほとんどが引き算だけで出来上がっているので、勘定科目や仕訳を知っている人なら経理担当者じゃなくても誰でもできる。

1つ会社としてみるってことなので、グループ内の取引は全部なかったことにする。親会社と子会社、子会社と関連会社などグループ内で売り買いしてそれぞれの帳簿に売上とか仕入とかで計上しているもの、もし現金でなく掛で取引をしているなら、売掛金と買掛金、未収入金と未払金などをすべて取り消せば完了!
超簡単だよね(笑)

例えば、ラーメン店を経営している親会社が子会社の製麺所から麺を仕入れている場合を考えてみる。

子会社の製麺所が小麦粉やかんすいを外部の会社から購入し、麺の形に仕上げて、親会社に販売する。親会社はその麺を使ってラーメンを作りお客様に販売する、という流れになるかと。

この場合、外部との取引って、小麦やかんすいの仕入とお客様にラーメンを販売した点だけだよね。なので、『子会社が親会社に麺を販売した』逆に見ると『親会社が子会社から麺を仕入した』という取引をなかったことにすれば、1つの会社のように見えることになる。

小麦粉とかんすいを仕入れた金額が50円で親会社には100円で麺を販売し、親会社は200円でラーメンをお客様に販売し、それ以外の人件費やら設備費なんかを無視して考えると、

子会社では売上高100円、売上原価50円となり50円の利益
親会社では売上高200円、売上原価100円となり100円の利益
この2社をあたかも1社としてみるので、それぞれの数字を合算する。
すると売上高300円、売上原価150円となり150円の利益となる。

ただし、子会社の売上高100円、親会社の売上原価100円はグループ間でお金を移動しただけ、言い換えると1つの財布の中で違う場所に100円を移動しただけだともいえる。なので、この取引をなかったことにする。

その結果、売上高200円、売上原価50円となり150円の利益となる。
これが1つの会社と見た場合のこのグループの決算数値となる。このような作業を『連結消去』なんて呼んだりする。この『連結消去』のための仕訳を作成するのが連結担当者の主な仕事だ!だから引き算が出来れば十分(笑)
(そんなわけないと怒られそうだけど(笑))

お気づきかもしれないが、連結決算をしなかった場合と比較すると、売上高と売上原価はそれぞれ100円減っているけど利益は変わっていない。基本的には『連結消去』は利益に影響を与えない。親子間の取引で売上高と人件費や消耗品費などというように段階利益をまたいだ取引というのもあるけど、最終的な当期利益には影響がない。これを知っておけばチェックも簡単に行える。

連結決算は、ほぼほぼ引き算で成立するのだけど、それでも通常の決算に新たな作業が上乗せされることになるので、リソースに限りがある非上場企業では実施しにくいのも確かなことだ。連結決算ができる人材を確保するだけでも結構大変だし通常の経理担当者を採用するよりコストがかかる。

さらに上場企業や非上場企業でも有価証券報告書を提出する義務がある会社は連結決算を行う義務があるんだけど、それを考えると『投資家のための作業』って感じがするので対応義務がない中小企業ではなかなか導入が進まないのも無理がない方とは思う。

それでも、自分が保有する企業グループが本当はいくら売っているのか、いくら儲かっているのか、グループ内での不正な取引は発生していないかなどが確認できたりとメリットもたくさんある。対応義務がないってことは、連結決算の良いとこだけ取り入れて経営に活かすって方法もある

ちょとグループ会社が増えてきたとか、将来上場したいとか考えている社長さんは連結決算の導入を検討しても良いと思う。簡単だし(笑)

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