(感想)劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン


相変わらずの読みづらさだと思います。
すみません。


明るい頃に見始め、観終わった頃には部屋の中も外も真っ暗になっていたので慌ててカーテンを閉めました。


まず出てきたのがあのTVシリーズで号泣した、お母さんが先立ってしまう親子の回に出てくる娘さんのお孫さんだと分かった時は「良い演出だなあ……」としみじみした……。


感じたことをぽんぽんと書いていきたい。↓


ギルベルト少佐が生きているかも知れない、のは想像はしていたんだけど自責の念だったとしてもヴァイオレットに「絶対会わない」を選ぶ展開にはびっくりして、彼がずっと抱えていたのはそれくらいの重いもので、ほとんど葛藤や後悔だったんだなと初めて知ることになった。

実は主軸のこの二人にはあまり感情移入ができていなかったんだけど、それは自分が「戦争」というものを体験したことがないのでそこにどのくらい人を追い込むものが在るのか、どのくらい切実な気持ちが生まれるのか「例えきること」が出来てないからだと思った。
想像してみても、たかだか20数年しか生きてない自分が、今までいちばん辛かった出来事を思い出してみることや今まで見てきた戦争に関しての映画やドキュメンタリーを想像することが限界だろうと感じる。


そして「戦争と、自分の人生・関わってほしくない人物の人生が交わってしまう」という事実がその想像と一致することは絶対ないと思う。
だからか、二人のシーンではその時だけとっても遠いところにいるような感覚に陥ってしまっていましたが、手紙を読んだ少佐が走り出してくれて安心しました……。

(4/3 追記
感想を唐突エッセイで濁さないように、別記事として「ヴァイオレット・エヴァーガーデンの2人に入り込めなかったのは何故なのか、という自分模索」という記事を書いてたんだけど自分で読み返してて「この人、人生楽しいのかな?」という印象しかなかったので、気が向いたら公開するかと思いますが、お蔵入りです。ただ、ギルベルト少佐とヴァイオレット、この二人に感情移入出来ない理由として「想像できない・知らない範囲にいる2人だから」と書いてありますが、ちょっと違いました。嘘つきましたすみません。)



ともあれ、ユリス君がリュカ君と電話するシーンでは嗚咽するくらい泣いてしまった。
ユリス君の、実はこれがこうであれが……で説明するんじゃなくて、ただ「ごめん」って言うところが胸がいっぱいになってるんだろうなって伝わってきて込み上げてきた。

(4/3追記
元気な時に、「こんな姿を見せたくないからお見舞いにきてほしくない」とヴァイオレットに伝えてたじゃないですか。それをそのままリュカ君に伝えることも演出として出来たと思うんです、彼がどのくらい喋る元気がなかったのか、どの程度苦しいのかまでは観ている側には分からないのですから。でもそうさせなかったのって同じように演出なんですよね…凄くないですか?その繊細さ……。なんか思い出し泣きしそうです。ほんのそこだけの場面に、「誤解をとくよりも、謝りたい」「真実を伝えることより、電話の向こうにいる彼のその時傷ついたであろう気持ちを治せたら治したい」というユリス君の姿勢が見えた気がして、本人は咄嗟にそうしただけで無意識かも知れませんよ、でももうすぐ死んでしまうかも知れないと悟っている人間の、言動としての切実な判断を感じて本当になんか上手く言えないんですけど揺さぶられた情緒が涙となって崩壊しました。)

お見舞いに来るなとまで伝えてしまった上での、リュカ君の「実は病院に行ったんだ」とか「窓からユリスの顔が見えたよ」っていう報告を聞いた彼の後悔や喜びの気持ちは計り知れない。

お互いに電話だから、目の前にいないから、自分の思ってたことを丁寧に一所懸命に相手に届けようとしてる「集中」を感じて切なくなった。ふたりが最後に電話だけでも出来て良かったな…。
声優さんの演技がとても素敵だった。




社長さんが一貫してすごく優しい人だったというのを強く感じた。
確かに過保護と言われれば言えてたけど、あそこまで親身になってヴァイオレットの身を案じて気にかけて一喜一憂して、頼まれていたとしてもそれ抜きで真剣に彼女と向き合おうとしているのが伝わってきて「なんて人だ…」とずっと思っていた。
あの社長さんが居てくれて、ヴァイオレットを受け入れてくれて本当に良かったと思う……。最後なんて多分「ヴァイオレットちゃん花火だよ」とかつい言いそうになってああそうだ居ないんだったな…ってちょっと感極まってる風にしか見えなくて私も感極まりそうだった。
彼の姿勢にはヴァイオレットも視聴者も救われたのではと感じる。


あと唐突ですが、ディートフリート大佐のことが好きになりました。TVシリーズから最初は偉そうで意地悪で冷たいなあと思ってたし、ヴァイオレットを心配する社長に「お前は保護者じゃない」と投げるシーンも完全に「お前が言うな……!!!」感が凄かった。お前こそ武器扱いする権利もねえよ、というような社長の怒りが伝わってきました。
正直いうと、TVシリーズから劇場版の中で一番リアリティと親近感を覚えたのはこの人だった。
親近感という部分は、歳が離れたやさしい下を持つひねくれぎみで斜に構える上なところが全く一緒だったからなんですがそれはいいとして、大佐って劇場版あたりでは微笑むまでに柔らかくなっててそのゆるやかな変化がかなり人間を表してるように感じて好きだった。
目が覚めるかのようにヴァイオレットに懺悔するっていう展開も演出としては選べたかも知れないけど、そうはならずに。

ヴァイオレットと接しながらいなくなった弟のことを改めて考えたり感じたり、弟のことを大切に思う他人を感じたりしていく中で「少しずつ芽生えるように変わっていく」表現が良かった。たしかな一日一日によって変えられていく感じ。
ヴァイオレットが居なければ、「ギルベルトを失った感覚」によって気持ちがもっと孤独になっていってたかも知れない。彼女との間に壁はあったけど無意識に救われてたんじゃないかなあなんて思ったりした…。
変わり方も改心するといった感じじゃなくて「ヴァイオレットを武器扱いするような人間性」は多分そのままあるんだろうけど、それ自体が柔らかくなることによって周りの他のものとも触れやすくなっていく感じというか。
良い人になりました!黒か白か!ではなくて、大佐にとって今までになかった経験である、少佐を思い続けるヴァイオレットと接し続けることで「ああ、そうなんだ」という風に、名前もついてないような姿も分からんようななにかが内に生まれて、それがまた時間が過ぎることによって形を変えていく様子が「人生という時間の中で、人間は変わっていくんだ」という事実をただ表しているようでしみじみとした。
最後なんて、「今すぐお前を麻袋に詰めてヴァイオレットの前に放り出したい」みたいなこと言ってて「キャラクター」としてはもっと皮肉っぽく言えばいいのに、絶対あんなことをあんな直情的な言い方しないだろうに、とても良かったなあそこは…。
あの台詞で「ヴァイオレットと少佐」をやっと彼なりに理解して自分の中に落とし込めたんだなと伝わってきて胸が熱くなりました。「芯はぶれてないけど変わった」んだなと。

4/3追記
もしくは彼自身も気付いてないけれど、人間性が実は姿を変えていて、戦争は終わったとしても、もしまたヴァイオレットのような子供と接した時に「あの時」のような接し方をしない彼がそこには居ることもあるかも知れませんね。回想でギルベルト少佐にぶっきらぼうな様子で帽子を被せてあげるところとても好きです。)

申し訳ないのですが、あまりの人間くささに主軸のふたりよりドラマチックに感じてしまいました。


メイン二人でもなければ号泣したわけでもないところについて好きです好きですと語るとは思いませんでした。


最後の最後、その多くを「あとはあなたのご想像にお任せします」だったのも素敵だった。みんなのその後を見せてもらえるなら見せてもらいたかったけど、でも浪漫でしたね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?