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ちょっと思い出しただけ

好きだった人からぽっと来たLINE
ある曲のYouTubeURLの後に、「これ聴いたことある?昨日観た映画の主題歌で、すごい良かったんだけど」と。
観ないよ、聴かないよ、と最初思ったけど、無理だった。大抵教えてくれる作品は、わたしの中に刺さってしまうのだ。本当にやめてほしいけれど。

映画自体ちょっと気になってた。
体調が良い日に観るのがおすすめ、とも教えてくれたけど、今日が気分だな、と思ってわりと疲れた金曜の夜観た。観終わった後、そんなにしんどくなかった。男女で受け取り方が違う、っていうやつ?わたしは爽やかな終わりだなぁと思った。

ちょっと思い出すだけにしては、鮮やかで幸福度高い気もするけれど。それがいい。きっと同じ経験をしたふたりはどこにもいない。

ナイトオンザプラネットというクリープハイプの曲に触発されてつくられた映画らしい。

イントロから良さがはみ出しているこの曲。四六時中頭の中で流れるとか、中毒になって繰り返し聴いてしまう、というような困った邪魔をしてこない。夜にふと聴きたくなって、ヘッドホンを着ける。ちょうど良くわたしの生活にくっついてくる。

「このまま時間が止まればいいのになって思う瞬間がこの先つま先の先照らしてくれれば」
という歌詞が、とても好き。
そういう瞬間に出会うために生きてるし、生かされてる。過去のことだけど、今でも笑えたり、ほっこりするエピソードがあるし、これからもどんどん増やしていきたい。出会ってからかなり時間が経っても、笑わせてくれる友達の存在に、改めて過去の自分ナイス。と思える。

どちらの言うこともわかる。運転席と助手席のふたりのピリついた場面は、早く終わってほしいと願ってしまうほど、一方通行だった。
どちらの言うこともわかる。でも折り合いの付け方が想像できない。
「頼ってほしい」
「どうするか決めてから伝えたかった」
「そんなの望んでない」

運命だ、と軽く口にされた言葉って、わたしならすぐに受け流してしまいたくなるけど、それを受け入れる人もいるのだな、と思ったり。一緒に生きていく人を見つけたり決めるうえでのポイントなんて、それ以外にいくらでもあるけれど、人によってはそれもそのポイントのひとつになったりするのだと、気付かされたりする。
言わないと分からないこともある、言わなくても分かることもある。お互いの考えが一致するのなら、どんなに楽だろう。どうしたって、そうはいかないことばかりで、でもそれが人間で、生きているということで。結局伝え合うことが一番いいのかな。。
今だ、と思ってもそれが相手の今、にならなかったりするからな。。。考えれば考えるほど困り果ててしまう。

水族館のワンシーンや、お酒を飲みながら夜に歩くシーンは、映画みたいだなと思った。映画の一部であることに代わりはないけど、その中に映る登場人物は、日常を生きてる。その描写が映画みたいで、楽しそうで、絶対にふたりしか入れない世界で。

池松壮亮の話し方が映画を作っているような気さえした。あの中性的な感じが、なんだか心地いい。

映画から曲ができて、さらに映画ができたのなら、その映画からさらに何か作品ができる、想像力のしりとりのようなものをできないか、と欲が出てしまう。

一緒に過ごした時間があって、それが途切れてしまっても、今日も同じ時間を、お互いにどこかで過ごしている。

同じ空を見ていて、同じ空の下にいる。

どこまでもそれが切ない事実だとしても、忘れられなくても、ちょっと思い出しながら。

ところで君はこの映画を誰と観たの?

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