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パトリシアとSHY BOY


パトリシアがいうには、それは春のせいだ。




“春の空気が好き。誰にでも優しい春が好き。

反射して光る水面も、色づく木々も、本当は一瞬も見逃したくない。

そんな気持ちにしてくれる春だから、私はいつも外ばかり見ているの。

天気のいい日は尚更うわの空。そんな私のこと、笑って許してね。“



彼女はいつも陽射しの中にいる。ブロンドの髪をなびかせて。


柔らかな風に乗ってどこへでも行けそうな、つかみどころのなさもパトリシアのいいところ。だからみんなパトリシアのことが大好きで、ひだまりのような彼女に癒される。


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そんなパトリシアを思う彼はSHY BOY。

彼女の誕生日に花束を贈ると計画したものの、前夜は眠れなかった。

キザだと思われることも、うまく笑えないかもしれないことも、私を知りすぎていると思われることも、全部ひっくるめて緊張している。

“初めて持つ花束に少し緊張してるのは認めるよ。だって彼女を思って選んだ花たちはポーズをとって、渡されるのを待っている。花たちの期待に応えなくちゃいけない。

それに、渡した後に彼女が花束みたいな笑顔をみせてくれるかもしれないし。


そりゃあ見返りを求めないのが愛かもしれないけど、好きな人の笑顔が見たいと思って行動することを本当に見返りと呼ぶのかな。

まあ僕の愛の形は僕が決めるよ。


あっ、でもこんなに緊張していることは彼女に言わないでね。“




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四月にリリースした2つの新しいビールは、2人の架空の男女を表現したビールです。



パトリシアはシトラ、アマリロ、モザイクの3種類のホップを使用し、明るいブロンドカラーのエールビールに仕上げました。


誰にでも愛されるパトリシアなので、シーンを選ばず飲んでもらるようなさわやかさ、軽やかさを大切にしています。

何杯でも飲めそうな心地良い飲み口は、SHY BOYだけでなくあなたも惑わせるかもしれません


SHY BOYはIPAです。シャイだけど、度胸があるイメージの男の子だったので、苦みで彼の奥行きを表現したくて。


さて。彼女を知りすぎている、と自分で思ったほどの出来栄えだった花束は、何だったのかの答えあわせ。


それは、シトラ、アマリロ、モザイクという3種類のホップブーケでした。



ということで、SHY BOYにもパトリシアと同じホップを使用しました。彼の作ったブーケをビールで再現しています。


架空の男女の話という意味では、

同じ種類のホップと酵母を使い、2人はじつは似た者同士、

ビールとしては、

似た材料を使ってもスタイルが違うと雰囲気が大きく違う、という発見につながればいいなと思っています。




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