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【不思議な体験】鎧の夢

まだ私が二十代の頃、戦国時代らしき夢を見た。大きなお屋敷で、出来上がったばかりの甲冑の胴の部分が室内に飾られていた。

南蛮風の銅製でとてもピカピカしていた。胸から腹にかけて象嵌で絵が彫られている。

竹林の中を二羽の雀が楽しげに遊んでいる繊細な図だ。

鎧と向き合って座った屋敷の主が腕組みをしてこれを見つめていた。出来上がりに満足したというように何度も頷く。

明るい日差しが庭から差し込んでいて、なんとなく幸せな一日のように見えた。そこで目が覚めた。

当時の私は歴史にとてもうとかった。今の私も歴史の知識なんてないが、この頃はとくになにもわかっていなかった。

わからないので友人にこの夢の話をした。友人は大変な読書家で、不思議な夢について話せば色々教えてくれるのだ。

話を聞いた友人は眉をしかめてこう言った。「伊達の家紋だね」

「え?家紋?」

「うん、その鎧のデザインは伊達の家紋だよ」

「は?家紋なんか描かれてなかったよ。描かれてたのは竹林に二羽の雀の絵だよ」

「だからそれが伊達の家紋だっつうの!」

「えー、違うもん。家紋じゃないんだってば!」

「はぁ…」友人はため息をついてジュースのストローをカラカラと回した。

そんなことがあったのが、私が28〜9歳の頃。

それからまた十数年後、40代になった頃にこんな夢を見た。

きれいな日本庭園のような広い庭が見えた。たくさんの武士たち、大名家の人々が、それぞれ家ごと?に庭の一角に待機所を儲けている。(屋外なので敷物敷いたり、屏風立てたりしてるだけの簡易なもの)

大きな茶会?のように感じた。

待機所のひとつが見えた。屏風を立てかけてその裏で着替えをする若い当主を家臣たちが手伝っている。若い当主はとても固い表情で脇差を腰に挟んで心の中で覚悟をする。

『今日、もしなにかあったら、必ず秀吉と刺し違える!』

命懸けの思いで彼はそこに立っていた。脇差を握る手に力がこもる。

そこでふわっと目が覚めた。いつもの戦国時代の夢のようだが、いつもと違うのは時代が信長公の死んだあとのことらしい。

そう思ってすぐまた布団をかぶって眠りに落ちた。

夢の中、男の声が聞こえた。

『自分は秀吉と戦っているのではない。織田信長と戦っているつもりでここに立っている。』

先程の茶会?の夢に出てきた若い当主の声だと感じた。

ふぅん…?

浅い眠りをさまよいながら、夢うつつに声を聞いてまた深い眠りに入ろうとしたとき、枕元に気配を感じた。

男性が座っている。彼は少し身をかがめて、眠る私に聞こえるようにこう言った。

「あの時の鎧は、私が息子のために作らせたものだ」

(あの時!?)

目の前にかつて夢で見た南蛮風の鎧の映像が浮かんだ。竹林に二羽の雀の、あの南蛮胴の…

それからはもう竹林に二羽の雀の夢は見ていない。



🐯(今日もなかなか文章が進まないので、今まで見た不思議な夢の中でも特に当たり障りのないものを書きますた。。。今から当たり障りのあるものを頑張って書く。。。)

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