【おかしな夢】三河で行商
去年、こんな夢を見ました。
夢の中、私は細々と行商のようなことをしていました。好きなところに旅行して、その地で自分が作ったハンドメイド雑貨を売ってわずかなお金を稼ぎ、それを交通費などに当てています。全くの赤字でしたが、ただの旅行よりもやりがいはあるのです。
その日の私は愛知県の三河地方のショッピングセンターにいました。もちろん夢なので架空の商業施設です。今日はここの一角に場所を借りて販売することになっています。
夢の中ですが、自分がいきなり三河にいることにちょっと驚きました。『あれ?今日は三河か・・・。そっか、あたし、なんかやっぱりここに来ちゃったんだなぁ・・・』ぼんやりと納得して、今日の我が店をセッティングします。
店といっても簡易なものです。施設側が用意してくださった折り畳みの長机を広げてテーブルクロスを敷き、そこで雑貨をディスプレイして販売します。
ショッピングセンター中央の広場に面した壁際の隅に、大阪から自力で運んできた商品を置いて、一人黙々と机を広げ始めました。今日も一人で来たので話し相手はいるはずもありません。すると、突然背後から誰かに呼びかけられました。男の声です。
振り向くと、そこには三人の甲冑を着た武者が立っています。真ん中の男がリーダー格のようです。
「やぁ、水くさいですねぇ。三河に来るなら先に言ってくだされば、我々がお手伝いしますのに!」
真ん中の男が爽やかな声で言いました。三十代後半くらいで、色白で涼しい目、すっと高い鼻、微笑みを浮かべる薄い唇、人当たりの良い柔らかい雰囲気。(この人の雰囲気、身分の高い人の小姓だったタイプだと思う。訓練された物腰に見える。)
「あ、あ・・・えと・・・」私は動揺して言葉が返せません。ああ、この人知ってる。誰だっけ、えっと、榊 原・・・・?
彼の柔らかい話し方がすごく懐かしくて居心地がいいけど、恥ずかしい・・・・、なんかこんなところ見られたくなかった・・・・。だってなんか今の私、貧乏くさいし・・・・
動揺する私を尻目に、三人の武者は私を下がらせて机のセッティングを始めました。「わわわわっ!!ちょ、ちょっと待って!!いや、そんな手伝ってもらうほどの店じゃないんでっ」
本当に一人で十分やれる小さな出店を、こんな立派な男たちに手伝ってもらうわけには・・・
慌てる私をよそに、私の店が準備されていきます。なんか机が増えて、場所が勝手に拡張されていく・・・・。いやいや、ちょっと待って、私が借りた場所は机ひとつ分だからっ、勝手なことしたらショッピングセンターの人に怒られるっ
「うわああっ!ほんと、もうやめてっ、ありがとう、ももも、ここ、これでいいんで!!あとは一人でやれるんでっ」
もういいと言うのに、男たちはテキパキと動いて店を大きくしていく・・・・
「ありがとう!だからもうやめてーーーっ、ぎゃーーーー!!」
私は彼らの優しさが嬉しい反面、困ってしまう。あまりにも大袈裟すぎる武者たちの親切にめちゃくちゃ慌てる私・・・ すると今度は背後から、貫禄のある声が響きました。
「おまえたちも手伝ってあげなさい」
「えっ!?」
いつの間にか広場の前に大きな武者が二人立っています。背の高い二人の屈強そうな男たちは双子でしょうか、面長で細い目がよく似た若い兄弟です。「手伝ってあげなさい」という言葉に兄弟は同時に頷いて、クルッと回って広場のほうに向かいます。
「ええええええっ!!?ちょっ、ちょちょちょっと、待って、待ってぇぇぇ!!!」
大きな兄弟は広場の真ん中に大きなテントを組み立て始めました。(いったいどっから出したんだ!)
「うわああああああああっ!!ほんとにやめてっ!!やめてぇぇぇぇぇ!!お願いだからやめてっ、うわあああん、恥ずかしいーーーーっ」
ああ、もう、なんでこの人たちはやたらと目立つことをするんだ・・・!!なんて親切で、お節介で、ありがとう、嬉しいけどちょっと迷惑・・・・みんな大好きだ・・・
みんなの優しさに泣きそうになって、先程貫禄のある声がした方を見ると、「うえええええええええっ!!?とっ、徳川家康公ーーーーーーーっ!!!!」飛び上がってびっくりする私。
そこには床几に腰掛けた家康公が、組み上がっていくでかいテントをじっと見つめておられ・・・・
私はただただ驚くのに疲れてきて、
「ていうか、・・・あんなデカいテントで私の雑貨を販売するんですか・・・・?」
(ちょっとしか商品を持ってきてないのに・・・・ どうすんだよこれ・・・)
と、途方に暮れたところで目が覚めました。
なんか違う意味でホラーだった。三河武士こわい・・・・大好き。
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