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『盗作』を、読む。
最後まで読むのに時間が掛かった。本を読むのは久しぶりであったが、読むことは嫌いではない。"登場人物の思い" "情景" "温度" "流れている音楽" "生活音"を感じながら読んでいたら、いつの間にか目蓋が閉じていた。夢の中でも情景が動いていた。不思議だった。
私には難しい言葉が幾つもあり、何度も「おじさんの話、やっぱりむずかしいね」と心の中で呟いた。感じ方は登場人物に出てくる少年と同じであった。もっと色々な言葉や表現、音楽を知りたいと思った。
"君にはわかるか。俺の言っている価値の話が。なぁ、わかるか"
いつくか、読者に問いかける場面があった。その度に考えた。考えれば考える程、この人はどんな人間なのか知りたくなった。どうして盗作をしているのか…
『盗作』という言葉だけを聞くと少しゾッとする。けれど、普段"物を盗む"ということを意識していないだけで、自分自身も気付かないうちに"物を盗む"ということをしているのかも知れない。そう思うと『盗作』という言葉は身近に感じることができる。善悪は分かっている。だが、途中から善悪が分からなくなるのはこの小説の狡いところ。
この本に隠された秘密。
それを知った時に、この本が愛おしくなった。自分はこの本にどんな思いを詰め込もうか。自分なら何を残すだろうか。はぁ…全部見透かされてる気がしてため息が出る。
音楽アルバムを買って、こんなに楽しませて貰ったのは初めてだった。私の"好き"が詰まっていた。
また時間ができたら読み返したい。
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