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ポストコロナにはパクスシニカなのか?(2020/8/12更新)

今は新型コロナウィルスの感染とその防止に話題が集中していますが、少し中期で考えると、明らかにポストコロナ後の世界は大きく変わると考えています。

食糧不足、不景気、対面コミュニケーションの削減等、今見えているだけでも大きな変化が予想されます。

さらに、過去のペストなどの世界的流行の歴史を見れば、社会格差の変化、宗教の弱体化、労働力の変化なども想像ができます。

そんな中で、私が気にしているのは、「パクスアメリカーナの次に来るのは、パクス・シニカ(中国の覇権)なのか?」という点です。

ご存知のように20世紀に資本主義の発展と世界的な平和をもたらしたパクス・アメリカーナは終焉に向かっています。歴史的に見てもこの秩序の変化は世界に混乱をもたらすもので、現に今までになかった紛争やテロ、各国独自の動きが加速しています。今後は日本も何らかの紛争に巻き込まれるリスクが高くなると思われます。

「領土侵害」の新時代 世界に危険な潮流
https://jp.wsj.com/articles/SB10719124925289504853204586640171280354318

係争地で軍が戦闘 アルメニアとアゼルバイジャン
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020092700284&g=int

こういった流れの中で、新型コロナウィルスが流行する前は、パクス・アメリカーナの次は、パクス・シニカなのだろうと漠然と考えていました。しかし、今回の新型コロナウィルスが流行を受けて、それが加速するのか、あるいは減速するのか?が気になっています。

その疑問を考えたときに、それを決定するのは、この病気の特徴なのではないか思っています。その特徴とは「①感染力が強いが、致死率が極端に高いわけではない。」「②結果、長期間の外出停止と、結果活動の停滞が強いられる。」という点です。

もし、②の長さが、短期の場合は、パクス・シニカが進むのではないかと思います。なぜなら、独裁国家による統制と個人の管理がこの病気のコントロールに効果を上げているからです。結果、ポストコロナ後に国力が残っているのは中国になると考えるからです。(ただし、今回のコロナウィルスの騒動で中国に対する不信感が世界で高まっているので、その影響がどこまであるかも考える必要がります。)

一方で②の長さが長期になった場合は、民主主義が有利だろうと考えます。国家による統制は、国民に多大な負荷と国家への不信を生みます。特に外出が制限され、行動が監視されることが長期間続けば、それは独裁体制への不満につながり体制の変化になると考えます。民主主義であればこういった不満は選挙で反映されるため、国家の崩壊にはなりません。(ただし、民主主義国家はパンデミックのコントロールが弱くなるリスクがあります。)

(2020/8/12 追記)
この記事を書いて、数カ月たちましたがどうも「②の長さが長期になった場合は、民主主義が有利」というのは誤りのようです。
中国では共産党と国民が一致団結をして、コロナを抑え込み、しかも安定しています。また、これが中国政府への国民信頼につながり、民主主義国家よりも優れているという意見も中国国内で出てきています。
一方で民主主義国は抑え込みに失敗し、また国家への個人の不満が高まっています。
結果、後半に書いた「民主主義国家のパンデミックコントロールの弱さ」が露呈し、コロナの影響が長期間になっても中国の覇権は崩れそうにありません。

ただし、コロナウィルスと直接関係ない部分で、米中の摩擦が高まっており、この行方が「パクス・シニカ」の実現を左右しそうです。

最近読んだ、戦略家ルトワック氏の「中国4.0」によると、中国の覇権が強くなるほど周りの国の反発も強くなると予想され、「パクス・シニカ」の実現には、中国が協力してくれる国をどれだけ増やせるかが鍵かと思っています。
その意味では、習近平政権が、領土問題、人権問題、経済問題の舵の切り方に注目していきたいと思います。

ちなみに、パクス・シニカにならなかった場合は、それぞれの地域や利害が近い国家間でのブロック経済のような形がうまれるのではとも思っています。

以上がポストコロナ後の覇権についての私の考えですが、こういったそれぞれの体制の弱点は、お互いの陣営が情報戦で攻撃し合っている点も、どう影響するかも考慮する必要があると思っています。

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