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音雑穢 #1006

神沼三平太 with voicepeak
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子供の頃に、自室の二段ベットの上の段で寝ていた時の記憶だ。
 普段ならすぐに寝付けるはずが、何故かなかなか寝つけなかった。目を瞑って何度も寝返りを打っていたが、ますます目は冴える一方だ。
 困ったなぁと思っていると、柵の方から視線を感じた。
 何だろうと柵の隙間から見てみると、見覚えのないお爺さんとお婆さんがニコニコしながら立っていた。
 不思議と怖いとは思わなかった。ただ、知らない二人がなぜ部屋にいるのかは不思議だった。
 翌朝、昨日こんなことがあったよと母親に告げると、あなたが生まれる前に亡くなった祖父母じゃないかしらと言われた。
 ただそれからは、昼夜を問わず、時々見知らぬ人が部屋に立つようになった。その人たちは、何故か全員満面の笑顔をしていた。
 しかしそれも中学に上がる頃に終わったという。
 後年になってベッドの下の段に寝ていた弟も部屋に立つ人影を見ていたことがわかった。弟にはただの黒い人に見えていたので、とても怖かったらしい。

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