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【声劇台本】ボイ(ス)コネ(クト)

【配役】【0:0:5】

劇人A:
劇人B:
劇人C:
劇人D:
劇人E:

【前書き】

不問5人ですが、独り読みでも構いません。

劇中に登場する「声劇」という語句についてですが
「せいげき・こえげき」どちらでも構いません。
演者さんの任意で一人称や語尾、口調など演りやすいようにアレンジして下さい。良識の範囲内で自由にお使い下さい。

著作権は放棄しておりませんが、使用に際して許諾・ご報告などは必要ありません。配信・動画作成に利用される際は、事後報告でも構いませんので、お声がけいただければ拝聴しに伺います。
自作発言はおやめ下さい。このシナリオを利用したことで生じた問題について、作者は関知しません。また、その一切の責任を負いません。

ご了承の上、お楽しみいただければと思います。

【以下シナリオ本体】

opening

劇人A:このシナリオはフィクションです。多くの誇張されたパロディ、オマージュを含みますが、実在する団体、個人、作品とは一切関係がありません
劇人B:それをご理解の上で、自由にお楽しみ下さい
劇人C:「ボイ(ス)コネ(クト)」
劇人D:───それでは、始まります

(間)◯開場ブザーでも可

S01

劇人E:──ある日、とあるアプリが大規模リニューアルを行った
劇人A:そのアプリを寄る辺(よるべ)としていた人たちがいる。それが、劇人(げきじん)
劇人B:彼らがそこで行う集いは、声劇と呼ばれた

S02

劇人C:声劇?なにそれ?
劇人D:声だけでお芝居するの?素人が?
劇人E:──それって楽しい?誰が聴くんだよそんなの
劇人A:なんか人前で話すって恥ずかしいな……
劇人B:うわ、この人の声すごい……好き。え、この人も良い声……もっと聴きたい……!
劇人C:コメントして名前呼んでもらうってなんか嬉しいな……こういうの、ちょっと楽しい……
劇人D:うわ、みんなが演ってるこのシナリオ?面白い……!いいなぁ。なんでこんなお話が書けるんだろう。今まで知らなかったな……こんな世界があるなんて……

劇人E:初心者大歓迎!劇できる人いませんか?良かったら上がっておいでよ!一緒に声劇しましょう!!

S03

劇人A:中でも、少しの時間さえあれば部屋を立て人を募(つの)り
劇人B:有志のライターからシナリオを借り
劇人C:それを共演者とリスナーの前で演じることを、他の何よりも喜びとする劇人が、少なからず存在する
劇人D:時に生活をかえりみることを忘れるほどに、劇に狂う自らをして、彼らは半ば自嘲気味にこう言った
劇人E:──劇廃(げきはい)と

S04

劇人A:この世に数多(あまた)存在する音声配信アプリ。そのたったひとつが少し形を変えるだけ
劇人B:劇人の誰もが、少しの動揺と不安を感じながら、これからも変わらず続く未来を信じて疑わなかった

劇人C:それが、終わりの始まりだった

S05

劇人D:声劇は……声劇はどこにいったんだよ……?
劇人E:シナリオは!?あのライターさんのシナリオがないぞ! 大好きだったのに!
劇人A:シナリオがなきゃ! どうやって探せばいいの!?
劇人B:なんで!? だって、昨日までみんなそこにいたんだ!
劇人C:昨夜もみんなで声劇を演ってたんだ……! あんなに笑ってさぁ……
劇人D:あれが、もう、できないってコト…?

S06

劇人E:──それはまさに、阿鼻叫喚(あびきょうかん)だった
劇人A:日夜、劇人たちの悲嘆(ひたん)が響き、想いが高じて激しい怒りによる罵声(ばせい)すらこだました
劇人B:それは、当然のように様々な考え方や立場を持つ、劇人、ライター、リスナーたちの間に分断を生じさせ
劇人C:──多くの悲劇をもたらす
劇人E:声なき者たちにも……

S07

劇人A:そして、劇廃は叩かれ、追放され、あるいは自ら立ち去り姿を消した。
劇人B:声劇のなにもかもが禁じられ
劇人C:声劇のなにもかもがなくなった
劇人D:声劇は滅びようとしていた

S08

劇人E:これから一体、どこで声劇を演ればいいの?
劇人A:人が集まらない!みんなどこ行っちゃったんだよぉ……!!
劇人B:なんだよこれ、なんだよこれ!なんなんだよこれは!!!
劇人C:シナリオが探せない、アーカイブも残せない、これじゃ……
劇人D:課金なら今までだってしてきたのにさ、今まで普通に出来てたことまで出来なくなってるのはなんでだよ……

S09

劇人B:こんな所に居られるか! 俺はもう、やめさせてもらう……
劇人C:そんな!あんなに声劇が好きだったのに! ……ほら!住めば都って言うし、ここだってきっと慣れればまた……!
劇人B:ここにはもう──あの頃の、俺たちが愛した、あの声劇はないんだよ、ここにあるのは──
劇人C:……どうして、どうしてこうなっちゃうの……!

S10

劇人D:──ほんのひと月を待たず。
劇人E:世界から、多くの声劇もシナリオもなくなった。
劇人A:劇人たちは分断され。
劇人B:劇廃は、滅びようとしていた

S11

劇人C:そんなことはさせない! されてたまるか!!

S12

劇人D:──私はここにいるよ──

S13

劇人E:ある言葉が、胸を焦がす

S14

劇人D:──私がここにいるのは、みんなと同じ場所だよ──

S15

劇人A:……誰かが、つぶやいた

S16

劇人B:俺が声劇だ……!
劇人B:いや、俺たちが声劇なんだ!!
劇人B:──各々がやりたい表現をやる、そのための声劇だろ?
劇人B:演者たちが、ライターが、リスナーが! ……まだ何者でもない、これから何かに成っていくみんながそれを成す!
劇人B:俺も同じだ……同じなんだ!
劇人B:共に! そうだ!

劇人B:俺が! 俺たちが!!
劇人B:声劇だ!!

劇人A:俺が
劇人C:僕が
劇人D:私が
劇人E:──私たちが!!
【以下の台詞は全員で】
劇人A:これが、私たちの声劇だぁぁぁ!!!

S17

劇人A:劇廃たちは動き始めた
劇人B:それは至るところで、示し合わせたわけでもなく、だが一斉に。
劇人C:故(ゆえ)に、時には各地で衝突やすれ違い、派閥を形成することにもなったが──

S18

劇人D:俺が声劇だ……!
劇人E:お前たちが声劇であるものか!!!

S19

劇人A:劇廃であり過ぎたんだ
劇人B:──人の演じ方はそれぞれ!他人の干渉(かんしょう)など!

S20

劇人C:あまり強い言葉をつかうなよ……演じる役まで弱く見えるぞ
劇人C:良い機会だ。ひとつ憶(おぼ)えておくと良い。憧れは、理解から最も遠い感情だよ。──特に、芝居の上ではね

S21

劇人D:こいつ……! 上手いぞ……!
劇人E:機材やツールの違いが、声劇の決定的差ではないということを教えてやる!

S22

◯涙目で相手を見つめながら

劇人A:心という器は……ひとたび、ひとたびヒビが入れば、二度とは……もう以前のように声劇はできない。
劇人A:ひとたび穿(うが)たれた信(しん)は繕(つくろ)えぬ……

◯凛とした態度で主君を叱咤激励する武将の様に

劇人B:──否(いな)! ほころびを繕(つくろ)い、傷口をおさえ、寒さと痛みに耐え、慟哭(どうこく)をこらえて鍛え上げられるものが劇人の義心!
劇人B:……少なくとも今、あなたをフォローしている者は皆そうだ!

S23

劇人C:お前は小説ライブで、オレは声劇だ! そこになんの違いもありゃしねえだろうが!
劇人D:違うんだ……! 俺が演りたいのは……ッ!

S24

劇人E:何故! みんな憎しみ合う! 演者、ライター、リスナー! 何故みんな仲良くできない!? 何故ぇ!!!
劇人E:なぜひとつになれない!!!

◯軽蔑の目で真正面から見つめながら冷酷に

劇人A:お前となんか、ひとつになれるか

S25

劇人B:声劇は好きだ。でも、あの場所を許すことは出来ない
劇人C:それでもいい。君は君らしく、俺は俺らしく暮らそう。共に芝居をしよう。
劇人C:──誘いに行くよ、またDMする

S26

劇人D:声劇なんて単なる素人のお遊びじゃねーか! つまんなくなったからやめたんだ! それが悪いか!
劇人E:……一番過去にこだわってんのは、アンタだろ?
劇人E:……お前、嘘が下手だな。(優しく)

(間)

◯膝から崩れ落ちて嗚咽混じりに
劇人D:……声劇が、したいです…!

S27

劇人A:ある古参の劇廃は言った

S28

劇人B:表で演ってたんだろ? ふん、だがお前はまだ裏の世界を知らない
劇人C:裏……?

◯にやりと不敵に笑いながら

劇人B:──裏劇だよ。来てみるか?こっちの世界へ
劇人C:これって……?ここは何?どうすればいいのか分からないよ……!
劇人B:何処だって、誰にだって「初めて」はあるもんだろ。でもまあ確かに、誰もが優しくは、ないかもしれないがな
劇人B:スネに傷持つ奴、重い何かを抱えてる奴、クセの強い札付き……それでも、みんな芝居がしたい、声劇が演りたくて演りたくて、それがなきゃ生きていけないって、その一点だけで繋がってる奴もいる
劇人C:……なんだか、怖いよ。声劇って、そんなに本気で、色んなものをかけてまで演るものだなんて考えたこともなかった……
劇人C:誰かと話したい、楽しく劇ができれば……それで良かったんだ。いや、そんな世界が好きだった……
劇人B:……嗚呼、ちょっとビビらせちまったか。こいつが俺の悪いクセってやつだな。お前みたいなのを見てると、どうもおせっかいを焼いちまう。昔の自分を見てるようでな(笑)
劇人C:昔の……自分?はは……あなたには僕の(私の)気持ちなんて分かりっこない!声劇が楽しくできるのは、あそこしかなかったんだ!
劇人C:好きな演者さんがいた、ライターさんがいた!そこにいけば、誰かがいて、みんながいた……約束なんかなくたって、そこにいけば、楽しかったんだ……それを奪われた。失ったんだ……!
劇人B:──まあ、過ぎたことはしょうがねえ。それに、合う合わないはどこに行ってもついて回る。絶対に必ずある話さ。そうだろ?
劇人C:……それは、そうかもしれない……

劇人B:だから、探すのさ。オレも、未だに探してる。お前も、自分に合った居場所「仲間」を見つけるんだな
劇人B:まぁ、オレみたいにフラフラと一匹狼が好きなやつもいるが
劇人C:自分の、居場所……安心して一緒に声劇ができる……仲間……

S29

◯ガヤガヤと唄うように高らかに(ミュージカル的なノリで)

劇人D:いいか若造? 芝居は、声劇はどこでだってできる……今までだってずっとそうだった
劇人E:ヤフーチャット、スカイプ、こえ部……数々の寄る辺(よるべ)があった!そこでいくつもの夜を越え!朝を迎えてもまだ鳴り止まない声劇があった!
劇人A:今じゃいなくなった奴も、もちろんいる。どこで何をしているのか、生きているのかさえ知りやしない。──傷付けあって別れた奴もいる。どうしようもなく合わない奴もな
劇人B:だが!確かに俺たちはあの時、声劇を演った!人生の歴史に刻まれたその足跡は決して消えやしない。例え忘れても、忘れられても、どれだけ小さくとも!そのまたたいた星の輝きは!宇宙の果てまで消えない!
劇人C:だから、明日に怯えるのはもうやめだ!出会いなんて一期一会、だって、ライブなんだ。そこに今、共に立っていること!それだけで奇跡なんだ!!
劇人C:泣き言を言ったっていい。嘆いて見せるのも結構だ。だが、前に進まなきゃ、終わることもできやしないんだ!!自分を見失い、立ち止まることもあるだろう、悩むのも当然だ!
劇人C:だが、まずはそこから始めようぜ!だって!!
劇人D:──世界は!!途方もなく広いんだぜ?

S30

劇人E:サーバーを建てよう! 劇がしたい人を集めてキャンプみたいな場所を作るよ
劇人E:ライターさんにも出来る限り声かけて、使えなくなったシナリオもお借りできるようにしようと思う
劇人E:行き場を失ったみんな!ここに来て!一緒に声劇を演ろう!!
劇人E:みんなで一緒に作るんだ!声劇ができる場所を!!!

S31

劇人A:また……みんなであの頃のように、声劇が……できるの?
劇人B:シナリオを、またみんなに読んでもらえる? みんなの声劇を聴けるようになるの?
劇人C:無理だよ、そんなことできっこない。お金だってかかるし、それを維持していく為の人は?その労力はどこから持ってくるのさ。大企業がやって失敗するようなことを、個人がどれだけ集まったからって……
劇人D:……そんなこと、誰もが少し考えれば分かる。……仮に失敗したっていいじゃないか。それはきっと、無駄じゃないよ!動き出した人たちを止める理由には、ならない。
劇人E:そうだよ、上手く行かなくて当たり前なんだ
劇人A:────応援する。自分に何ができるかは、まだ分からないけど
劇人B:私は(僕は)書き続けるよ……!誰も必要としてくれなくても、例え声が届かなくたって!

S32

◯ざわつくように、全員で戸惑いの声を入れても良い

劇人C:声劇……? あいつら声劇を演ってる……どこだ!? どこで演ってるんだ!?
劇人D:このサーバーの向こうで、声劇が始まっている!!
劇人E:あいつら、たった数人だけで声劇を演ってやがる……畜生!
劇人A:禁じられた声劇を演りながら、禁じられたシナリオを借りて、演ってやがる
劇人B:アーカイブは残らないの!?
劇人C:俺たちも入れてくれ!

◯【以下の台詞は全員で】

「「「「「劇人A:俺たちも、中で声劇に参加させてくれ!!!」」」」」

S33

劇人A:分断され、それぞれが散り散りになり消えたかと思われた劇人たち。
劇人B:だが、その繋がりは断たれてはいなかった。
劇人C:──花は、咲き誇ってもいつかは枯れる。
劇人C:しかし、実を結んだ種子(しゅし)が、時代の風に吹き散らされても、また新たな場所で芽吹くように…………

S34

劇人D:一里塚って知ってる?
劇人E:うん?
劇人D:昔の街道、一里ごとに作られた……そこには目印になるような、大きな木が植えてあったりして
劇人D:その下で、旅人たちは出会って、雨風や陽射しをしのぎながらー
劇人D:お互いの旅の話を交わしたり
劇人D:人が集まれば、そこは寄る辺(よるべ)になって
劇人E:なるほどねー。ああ!人が行き来するようになって、そこがどんどん大きくなったら、いわゆる宿場町(しゅくばまち)ってことか

劇人D:そう。……例え、雨が止まなくたって、風がどれだけ強くたって
劇人D:いつかは、それぞれの目的地を見つけて旅立たないといけない日はきっとくるし、誰もがずっと、変わらずそこにいられるわけではないんだけど……
劇人D:だけどそこは、とても居心地が良くて──……

S35

劇人A:思わぬ、新たな出会いも

S36

劇人B:へぇ、あんたも声劇なんだ?
劇人C:え?ひょっとして──?
劇人B:──あたしも。声劇なんだ!

劇人C:はじめまして、って感じ全然しないね。話が止まんないよ
劇人B:うん、お互いに好きなシナリオがこんなにも近いなんて
劇人C:そうだ、アレは演ったことある?すっごい楽しいよ!
劇人B:まだまだお借りして演りたいシナリオがたっくさんある!!

劇人C:……実は私も(僕も)書いてみたりとか……してて
劇人B:え?──シナリオを?見たい見たい!読ませてよ!どこで読める?
劇人C:いや、でもまだ人前に出すのは恥ずかしいっていうか……別名義で書いてて……出来も良くないし……面白くないかも……
劇人B:それはそれでいいじゃんか。実際演ってみて、感想言い合ってさ。ブラッシュアップしていけばいいんじゃない?
劇人B:──芝居だってそうじゃん。一回演ってみて上手くいかなかったら、次はもっと上手くできるかもしれないじゃん。今度は一緒にそれ演ろうよ!!

S37

◯大地が震え、空気が割れるような音

劇人D:バ……バカな、この演技力!シナリオへの洞察力!とっさの掛け合いに空気を読んで返す対応力!……一人一人がオレと互角、いや……それ以上
劇人D:計算外だ! こんな声と表現力を持った奴らが野心を持たずに隠れてたとは!!
劇人E:俺は、それまで当たり前に出来ていたことが出来なくなって、上手くなれたんだ

劇人E:切り札は、先に見せるな
劇人D:見せるならさらに奥の手を持て……か

劇人E:なあ、オレをあんまり怒らせるな
劇人E:何もかもがどうでもよくなることだって、たまにはあるんだぜ

S38

劇人A:良かった……また、声が聴けるなんて……!てっきり……
劇人B:てっきり……? はは、まあそう思うか
劇人B:でも、誰にだっていつかは終わる日がくるじゃない?
劇人B:当たり前だと思って、出来ていたことが、だんだん出来なくなる
劇人B:──だったら、生きてるうちは演ろうって思って。楽しんで演ろうって……そう思えたんだ
劇人A:……ごめんね、何もできなくて。何も知らなくて。でも、あなたの声が聴けて、うれしい。一緒に声劇ができるのが、うれしい。生きててくれて、うれしいよ……!
劇人B:何かして欲しいわけじゃない。同情も、助けて欲しいとも思わない。これは私の人生、私の痛み、私の抱える宿業(しゅくごう)なんだもん
劇人B:これまで通りに変わらず接してくれてありがとう
劇人B:おすすめのシナリオがあったら教えてよ、一緒に演ろう
劇人A:うん……!演ろう!声劇!

劇人B:やはりオレ(ワタシ)も劇廃のままだ(笑)

S39

劇人C:……2年近く出入りしてたのに、こんなになるまで一度も共演したことがなかったなんて不思議
劇人C:あんなコトがなかったら、私たちこうやって、一緒に声劇することなかったかも
劇人D:……そうかもね。……うん、悪いことばっかりじゃないんだ。
劇人D:面倒くさくて嫌なこと、しんどいこと、色々あるけど──単純な差し引きじゃないもんね。
劇人D:自分の中の好きを、大切なものを、嫌いで上書きしなくたっていいんだって思う

S40

劇人E:──前にどこかでなにか書いてた? 別の名前で、そう……あのシナリオを……
劇人A:……君のような、勘のいいガキは嫌いだよ

劇人E:あのシリーズとあの短編、どこにやった?再アップしてよ、また演りたいから
劇人A:ええ~……マジでか……

◯ふたり、笑い合う

S41

劇人B:まだ声劇なんてやってんの? あの頃の人たち、もうほとんど居ないのに
劇人C:……まあ、そうなんだけど
劇人C:でもさー、まだまだ盛り上げていこうって頑張ってる、演者も、ライターさんもいるし、新しい人も入ってきて。楽しいことだってあるんだよ
劇人C:それに!ライターさんの新作だってさ!どんどん増えてるんだ。これから書き始めるって人だってきっと出てくるよ

劇人B:ホント、好きなんだな。声劇
劇人B:そこまで本気になれたら、馬鹿になれたら、良かったのにな

劇人C:他人に強制はできないよ。いや、そんなこと、例えできたって、すべきじゃない
劇人C:……だから、いっそ最後にあっちこっちで、大っきな花火を打ち上げてさ!好きに騒いで、語り合って、芝居して、それが「お祭り」みたいになればって思う
劇人B:……へぇ……
劇人B:祭り……か。世界の終わりをお祝いする?最後の瞬間まで?
劇人C:……そう簡単に忘れたりできないんだよ

劇人C:だってみんな、あの場所で声劇と出会って、あの場所が……好きだったんだから
劇人B:…………そっか、そうかもな。俺は(私は)もう、声劇を演りたいって思えなくなったけど。あの場所は好きだったよ。本当に楽しかった

劇人C:いつか、またいつかさ、みんながふと、立ち止まって、振り返った時──

劇人C:1人ぐらいは、知ってる奴が居たらって思うんだ
劇人C:────俺は居るから。どこかで必ず、声劇、演ってるから

劇人C:そしたらいつかまた一緒に────……

S42

劇人D:そして、ここでも新たに、名もなき一輪の花が咲く
劇人E:それはあまりにも小さく、だけど、誇らしく咲く花だった

劇人A:その輝きに魅せられたか、風がそよいだ。それに目を細め、立ち止まる旅人がいた。旅人は腰をおろすと、まるで花に読み聞かせるように優しい声で、これまでの道中の思い出を交えながら、語り始める

劇人B:暖かな陽が差し込み、雲が寄り添い、優しい雨が降り注ぐ。そこには枝葉をいっぱいに広げた木々があった

劇人C:──あれから暦ではすでに半年が過ぎていた。気がつけば、名もなき草木が、小さな花たちが、鳥や虫たちがあちこちで集まって、ささやくように、歌うように……

劇人D:その光景は、まるで音楽。深いグラデーションになって、赤、青、紫とその色を変えていく。……そこはまるで、虹がかかったようだった

S43

劇人E:ようやっと決めました!
劇人E:散々迷ったのですが、まぁゆるっとやっていこうかなーと

劇人E:みんなと、劇がしたい!!! 以上!!!

◯カーテンコール的な拍手・歓声が巻き起こり、フェードアウト


終わり

   【文責:3パック98円冷奴】


 【パロディ・オマージュ元】

・発想の基本骨子は平野耕太 先生「進め!以下略」をベースにしています。

・ガンダムシリーズから各種名言。
・久保帯人 先生の「BLEACH」より藍染惣右介の台詞。
・原作:南條範夫 先生・作画:山口貴由 先生「シグルイ」より興津三十郎の台詞。
・李學仁 先生(原作・原案)、王欣太 先生(作画)「蒼天航路」より寵悳(ほうとく)の台詞。
・ゆでたまご 先生「キン肉マン」より完璧超人始祖編でブロッケンJr.とザ・ニンジャが交わした台詞。
・TBS「ケイゾク/映画 Beautiful Dreamer」より朝倉、真山の台詞。
・映画「もののけ姫」より、サンとアシタカの台詞。
・井上雄彦 先生「SLAM DUNK」より、三井寿、宮城リョータの台詞。
・矢沢あい 先生「NANA」より、ナナと奈々の台詞。
・那州雪絵 先生「ここはグリーン・ウッド」より、手塚忍の台詞。
・冨樫義博 先生「幽遊白書」より、黄泉(よみ)の台詞。
・荒川弘 先生「鋼の錬金術師」より、エドとタッカーの台詞。

 その他、原典不明のネットミーム。
 最後までご覧いただき、ありがとうございました。
 過度に誇張された部分はパロディとして楽しんでいただければ幸いです。

special thanks to「みんなの遊び場」

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