見出し画像

映画「レイダーズ失われたアーク」とエンタメ王国アメリカの戦略

「レイダーズ失われたアーク」って、どんな映画?

年代:1981年
分野:冒険ノンストップアクション+ちょっとオカルト
撮影:カラー
時間:1時間55分

物語をひとことで言うと
モーゼの十戒を納めた幻の聖櫃を探すナチスと、防ごうとする考古学者の冒険もの。

第二次世界大戦中、ナチスは破壊的な力を得られるというモーゼの失われた聖櫃(アーク)を探していた。この動きを察知した米国政府は、ナチスの手にアークが渡らないように、遺跡に詳しいジョーンズ博士に探索の依頼を出す。

ジョーンズはアークの秘密に詳しい恩師、レーブンウッド教授をネパールの山中に訪ねるがナチスに妨害される。やがて探索の場はエジプトに移り、アークには思いもよらぬ秘密が隠されていた事が明らかになる。

スピルバーグにはまった一作

「レイダーズ失われたアーク」はレーザーディスク(LD)を持っている。プレイヤーは度々故障した上に再生機能がおかしくなり、遙か昔に廃棄してしまった。

つまり、ディスクはあるが再生できない。今どき、こんなものは買い取ってもくれないだろうし、著作権上の問題があるらしくDVDへのダビングもしてもらえない。いつかまた見られる日が来るのだろうか?

ロードショーで見て、LDでも何度も見ているので記憶は定着しているが、もう一回見ても時間の無駄にならないと思う作品。ノンストップアクションの走りとも言えるスピルバーグ監督最高のエンタメ作品。

レイダーズ失われたアークのレーザーディスクパッケージ表面の一部

映画狂いから英語にはまる

別の記事にも書いたが、映画好きが高じ中学生頃から英語も好きになった。字幕では物足りなく何をしゃべっているのか知りたくなった。画面を見ていると、しゃべっている時間に対し、明らかに字幕の方が短い。

台詞を全て翻訳していると画面が追えなくなるためと思う。そう考えると余計に<飛ばされた中身を>知りたくなる。どうしても聞き取れない台詞がある時に便利だったのがシナリオ本という存在だ。

下は「レイダーズ」のシナリオ本なのだが、Lawrence Casdanが書いたシナリオが掲載されている。台詞だけではなくト書きも入っている。もちろん英語である。英語好きにとっては有り難い存在。そこまでして見たいのかと呆れる人もいるかもしれないが、映画狂いにゴールは無い。

シナリオ(英語)本

映画馬鹿はどこまでも行く

探索の旅はアメリカに至る。という訳ではなく、たまたまフロリダのディズニーワールドに行ったのだが、そこにはなぜかMGMスタジオがあり、「レイダーズ失われたアーク」のアトラクションがあり見に行った。

映画撮影のバックステージを見せるようなライブイベント。映画を見てから後に見ると、そのリアルさにきっと圧倒される。何かが爆発すると爆風が来るし、燃えさかる炎の熱までもが観客席に来る。本当に熱い!

24年前(1997年頃)に見たアトラクションなのだが、下の映像を見る限り、現在も同じイベントがあるらしい。もし行くなら、事前に映画を見た方が良いと思う。再現性のすごさを、きっと実感できるはず。

ディズニーワールド、MGMスタジオ「レイダーズ」のライブパフォーマンスショーの様子(オフィシャルサイトから)

ワンコンテンツ・マルチユースの極地

ハリウッド・メジャーのすごさは、映画を作り、後続作を作るというだけでなく、ありとあらゆるジャンルで再生産を繰り返すこと。しかも、その品質が非常に高いこと。

ライブアトラクションで映画とほぼ同じ場面がリアルに、映画以上の迫力で(何しろ目の前で爆発も起こる)再現される上、観客参加型。手抜きの出来ない完成された演出だった。このイベントを見ると、もう一度映画を見たくなる程、記憶を呼び戻し強烈に定着化される。

残念だった日本のシネマパーク

同時期の日本には、鎌倉シネマワールドという<場所>があった。閉鎖された松竹大船撮影所の敷地にオープンした、映画をモチーフにした<施設>だったのだが、典型的な箱物でプロ映像作家が手がけるような仕事ではなかった。

アメリカのエンターテインメント業界のお金のかけかた、演出、マーケティングと比べると天と地の差。長期的なビジョンや戦略がないまま小手先のアイデアで走り、止める者もいなかった?という気がしてならない。

鎌倉シネマワールドは、わずか3年で閉館。大船の地に残るのは、周囲のささやかな思い出だけ。

最高だったノンストップアクション

「レイダーズ失われたアーク」ロードショー公開時に一緒に見た映研仲間の一人(女性)は鑑賞中に過呼吸状態になった。「見てて疲れちゃった」との感想で大満足の様子だった。

当時、この映画が出来る前のアクション映画でこんなスピード感のものは無かった気がする。今ではごく普通になったが、当時の私たちにとっては、ハラハラドキドキがずっと高速で繋がる初めての映画体験だった。

スピルバーグのスピード感あふれる演出は、はるか後年にこの映画にも活かされている。

「レイダーズ失われたアーク」は、公開時点で次回作が決まっていたのも流石。ヒットの確信ではなく、最初からヒットを続ける戦略があったという事だと思う。

アメリカから遙か彼方に住む日本人である私が、ロードショー、LD、パンフレット、シナリオ、アトラクションなど継続購入し体験している。こういう消費の現実を、日本の映画業界はマーケティング観点でちゃんと研究してほしいと思った。

キャスト、監督、スタッフ、制作会社など

キャスト
出演:ハリソン・フォード、カレン・アレン、ポール・フリーマン

監督、スタッフ
監督:スティーブン・スピルバーグ
原作:ジョージ・ルーカス、フィリップ・カウフマン
音楽:ジョン・ウイリアムズ

制作会社、配給会社
制作:ルーカスフィルム?
配給:CIC