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3LAの新入荷紹介 / 神の啓示 / 中華ストーナーとレビューには書いていない話

先週のYoutube配信でRaeinをかけようとして、結果的には『Il N'y A Pas De Orchestre』をガチ解説する回になってしまったんですが、こういうのも良いなぁとやりながら思いました。新入荷レコードの紹介ももちろん大事なのですが、何かの作品をじっくり振り返る、ということも同じように大事な気がします。

つまり、最初に耳にした時点から、その過去の音源を振り返る瞬間までの間に、シーンには色々なリリースだったり動きだったりがあって、そういったことをある程度整理しながら振り返るとその作品が別の意味を帯びていたことに気づいたり、新たな発見があったり。2000年代激情に関してはテキスト化されていないことがあったり、またはみんな名盤っていうけどその理由がよくわからなかったり。いろいろ切り口あるじゃんという気づきがありました。

うまくは言えないが、このあたりを自分よりレコード持ってる人、詳しい人、実際に体験している人もたくさんいるけど、これらの解釈を残していけるのは他の誰もやらないから自分しかいないのではないか、という感じもしていて、それはもしかしたら激情の神(誰?Saetia?)が自分に「あなたはそれをしなさい」という啓示なのかもしれない。

その神への奉仕の褒美として、何か次のリリースが舞い降りてくるかもしれないしね。

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■ 中華ストーナー入荷中国のストーナー/ドゥームレーベルSloomweepの作品が入荷しました。

中国って政府の検閲が厳しくて、普通にポップな音楽するなら問題ないけど、思想が入ってくるとめちゃ厳しいらしく、ましてやラジオから大麻称賛するような煙いストーナーロックが流れる可能性はほとんどないそうで。Black Sabbathの『MASTER OF REALITY』を偶然聞いてしまうような可能性がないような国で、本当にストーナー/ドゥームが進化するのか?とは思っていたんですよ。
でも、届いたNever Beforeは最高でした。


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SAVAGE / Never Before (CD) : http://longlegslongarms.jp/music/products/detail.php?product_id=2351

中国のストーナー/スラッジシーンの圧倒的な進化を感じさせるNever Beforeの最新EPが到着!
めちゃくちゃにヘヴィでズルズルのサウンド、演奏のグルーヴの強さを感じさせるNever Beforeは中国で最初に誕生したストーナー/スラッジバンドとして知られており、そのサウンドは既に中国国内だけに留まらず世界のマニアックスを驚愕させている。中国のメタルシーンにおいて、エクストリームなメタルシーンの歴史は浅いとはいえ、その進化を後押しするのは彼らのようなバンドが欧米や日本のバンドにも負けない強靭なサウンドを世界に向けて提示してきたからこそだろう。本作も5曲入りの"EP"フォーマットの作品であるが、1曲目から10分を超えた大曲から始まりトータルタイムは35分超のアルバムに近いボリューム。ラジオで薬物使用を思わせる曲が流れる可能性は限りなく少ない中国では、この煙たさを表現するためのリスクは相当に重たいはず。中国メタルを聴くならもはやNever Beforeは外せない。

バンドのメンバーが日本にディストリビュートされるということで非常に気合いをいれてくれたようで、ポスターまで頂いてしまいました。日本語の売り文句まで記載されていて、そのテキストもまったく違和感のないものだったので驚いてしまいました。(ポスターはユニオンさんへ送りました)
Twitterでのツイートもたくさんの人に拡散していただきました!ありがとうございます。いつものように、バズり具合と売上枚数は全然比例しないのでそれはもうヨシとしています。


Howl of The Coomb / Ramblin' Roze (CD) : http://longlegslongarms.jp/music/products/detail.php?product_id=2350

今、中華ストーナーが熱い。
サザン・ロックとしてのLynyrd Skynyrd、ヘヴィメタルとしてのBlack Sabbath、彼らを引用しつつパンク精神たっぷりの荒々しいエネルギーで演奏されるRamblin' RozeのアルバムはGUEVNNAにも通じるロックンロールなヘヴィメタル。おいおい今は2020年代だぞという意見もあるかもしれないが、彼らのクラシックロックへのリスペクトは本物で随所に60's〜70'sな要素を満載しつつ、それでも「これが一番かっこいいんだ」と信じてるやつしか出せない謎の勢いを見事に表現している。1曲目を聞くだけでもそれは現れていることがわかると思います。
CDは帯、ステッカー付き。

若いメンバーだからこそ、「憧れ」みたいなものを純粋に表現するのもまたアートとして間違っているとは思いません。でも、彼らが本当に何か、彼らにしか出せないものを生み出す瞬間のほうがロックだとは思うのですよ。
この60's〜70'sなサウンドを体感し咀嚼し、そして自分たちが何をその血に継ぎ足していくのか。それが聞いてるほうも面白いと思うのですが皆さんはどうでしょう?


Live at Moonah Arts Collective / SPAWN (CD) : http://longlegslongarms.jp/music/products/detail.php?product_id=2349

オーストラリア、メルボルンのサイケデリックなストーナーバンド、Spawnの2021年ライブ作品が中国のSloomweepよりリリース!
女性メンバーだけ構成されたサイケデリック/ストーナーバンドも少ないと思うが、このバンドは更に特殊かもしれない。ギターx2、ベース、ドラムに加えて今では鍵盤、シタール、タブラも在籍している7人編成。ボーカルも4人で曲によって入れ替わり、人種も混ざっているので歌詞も英語だったり中国語だったりという密度で、オーストラリア発〜インド経由〜宇宙行きのコズミックなサウンドに独特な味わいを感じる。
CDは帯付仕様でステッカー入り。

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全然音楽性に関係ないから書かなかったんだけど、女性メンバーの一人はステージ4の癌になっているそうで。もう死を覚悟しちゃっている人のサイケデリックストーナーとなると、それはもう何か質が違うような気もしてしまいます。それぞれのメンバーの抱える色々なものも、メンバーみんなで背負っている感じがして、そのシスターフッド感がセーラームーン的かもしれないです(?)

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2000年代前半期のUS激情ミッシングピース状態だったKodan Armadaの音源が、350枚という限定プレスでMiss The Stars Records、Zegema Beach Records、Illuminate My Heart Recordsによってリリースされました。本国では既にレーベル側でソールドとなっているようです。レコードの売り上げの一部はUS国内のLGBTQ支援団体への寄付額が含まれています。
販売開始は 11/13 19:00からに設定しました。再入荷はありませんので欲しかった方は確実にお願いします。
あと価格が高いのはごめんなさい。

st / Kodan Armada (LP) : http://longlegslongarms.jp/music/products/detail.php?product_id=2352

2000年代のSceamoはまさにムーブメントの渦中にあり玉石混交、非常に多くのバンドが生まれては消えていった時代でそんな中でも歴史の中にしっかりと痕跡を残したバンド達がいて、ただKodan Armadaはそういった正当な評価を受けていたバンドではなかったかもしれない。City Of Caterpillarのような、混沌とした破壊的なエネルギーに身を任せすべてのバランスを失くした後に見出されるような不思議な美しさを表現したバンドは本当に数少ない。ツインボーカルで掛け合いながら、何度も形を変えていくうねりの中で生み出される高揚感、感動...そういった本物のScreamoがなぜずっと評価を受けなかったかは疑問だが、とにかく2021年遂に再評価の瞬間が訪れたということかもしれない。バンドの共同生活の中で生み出された楽曲にはさまざまな感情がこもっているし、型をぶっ壊してしまっているからこそ剥き出しになる表現がある。泣いたり怒ったり、本能を吐き出すためのScreamoはむしろ2020年代に必要なEMOだとは思うのだ。

ツイートするまでもなくLPは売り切れたようです。
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本当は、需要を明らかに下回るような超限定枚数でしかプレスしないような作品は入荷する必要はないのかなと思っています。でも今このシーンで300枚というのは、僕は適切なプレス枚数だと思うのです。その300枚プレスが一瞬で売り切れるというのは、明らかにレア盤コレクターが参入してこれまでのレコード生態系のバランスが崩れてしまっていると思います。本当に激情ファンが増えてるのなら、他のバンド、他のレコード、そして3LAのレコードももっと売れていないとおかしい。

竹内まりあの「プラスチックラブ」の12インチが13000枚も売れているというニュースをみて(彼女の他の再発も何千枚と売れている)、そしてナイアガラの再発も予定されているようなニュースをみて、東洋化成のそんな意味のないリリースのせいで今のフレッシュな作品のLPリリースがあおりを喰らっているというのが本当にバカらしいと思うのですがこれが資本主義だしな、とも思うのです。ただ彼らにカルチャーを背負っていこうという気概は感じない。2000年代まで不遇だったレコード産業をほとんど大きな利益を出さずに生き延びてきた分をいま回収してやろうという根性は感じますけど、それは理解できないこともないです。


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