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ディスクレビュー : Syncopated Synthetic Laments For Love / Yaphet Kotto 補足版 / 自分の意見を声にすることの意味 / Skramzはパンク/ハードコアの番外地

2001年に込められたハードコアの怒り

Yaphet Kottoの2ndアルバム『Syncopated Synthetic Laments For Love』が20周年とのこと。早いね〜。スペインのLa Agonía De Vivirよりアナログリイシューとなりました。
オリジナル盤は2001年にEbullition Recordsよりリリース、当時のUSでの対テロ戦争と完全にリンクした形でアメリカ国内情勢と政治的な矛盾、嘘を内外に問いかける形で表現されていく非常に政治色の強い表現だが、音楽的にはパンク/ハードコア文脈に留まらないソウルフルな歌と咆哮の掛け合い、エモバイオレンス/グラインドコア/メタル引用とは異なる表現がミックスがYaphet Kottoの全作品の中でも独特のバランスで成立した1枚となっている。1stも3rdも激情感が強いがこのアルバムはちょっと違う雰囲気。世の中の二面性を扱いながら、バンド自身もボーカルの掛け合い、二本のギターの明確な線引きでコンセプトをサウンド面でも体現していく。強い皮肉の効いた表現、問いかけを持ちながらもバンドは"答え"を出せず、その表現には出口がない。ラストトラック「Instrumental」でのLocked Groove(レコードの再生が終わらずに延々と盤の一定区間をループ再生される特殊な仕様)は完全な再現ではないが、抜け出すことの出来ない彼らの苦悩は表現されているだろう。当時Orchid等が激情のスタイルを確立しつつある重要な時代でのリリース。Yaphet Kottoの2ndでの表現もまた、2000年代の試行錯誤の痕跡、それこそ重要なものだと思います。

tracklist:
A1 Circumstanstial Evidence 3:47
A2 Status Symbol 2:19
A3 Inquire Within 4:00
A4 The Weight Of Remorse 5:22
A5 Fact Nor Fiction 3:57
B1 Syncopated Synthetic Laments For Love 3:06
B2 Highly Enlightened 2:42
B3 Bling Leading The Blind 3:29
B4 Of Epic Proportions 5:56
B5 Instrumental 10:31

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以下補足版記事になります。月2本以上記事買う場合、3LAインナーサークルに入会してしまったほうがお得ですよ。

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