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「元々サイケデリックロックから好きになったのではなく、ハードコアから掘り下げて色々聴いているうちにこれはパンクと同じくらい好きな音楽だと思った」 Interview with yokujitsu

こんにちわ、3LAの水谷です。僕のディストロ(要はレーベル兼ネットレコ屋ですが)は主にEMOとかScreamoとか、そういうパンクハードコアだけどパンクハードコアの王道から外れてしまった音楽を主に取り扱って輸入したりしているわけですが、日本のバンドももちろん取り扱っています。正直積極的に日本のバンドを取り扱うつもりもないし、サポートのためだけにこんなことをずっとやっているわけではないのですが嬉しいことに最近は日本のバンドから音源を置いてくれという連絡をもらったりします。そしてそう言ってくるバンドに限って前述のEMOとかScreamoといった音楽性のバンドではなかったりします。これは一体なんの法則なのか....。で、自分が「わからん!」となってしまってはいけないので疑問が生まれたらバンドに聞いてみよう、というわけでインタビューをしていたりします。今回は、3LAのディストロで東京のサイケデリックロック、yokujitsuのEPを取り扱うことになったので、いろいろ湧き上がった疑問をバンドに聞いてみました。

Q: バンドの結成とこれまでの活動の内容を簡単にで構いませんので教えて下さい。bandcampをみていたのですが、最初の音源は2018年となっていました。各メンバーはそれまで何か別のバンドで活動していたことはありますか?

nakamura : 最初のリリースは2017年のDEMO CD-Rです。

メンバーは私以外全員変わっているので現在のメンバーで言うと、私は元Light Steps、Culpa Mia、今はleechでボーカルをしています。ドラムのedaは元おまわりさん、KLONNS、現在はHer Vomit is Modern...、Inverted Clap、Soukというバンドをやっています。ギターのzenは現在止まっている様ですがMANDARA SUに所属しています。ベースのhiranoは多分バンド未経験、最近加入したキーボードのdonuts Pは何かやっている様です。

Q: yokujitsuのサウンドはいわゆる「サイケデリックロック」と呼ばれるジャンルに位置付けられると思います。
ただ僕はこのジャンルについての根本のところが全く分かっていない。特にこの現代という時代、日本という国、ドラッグについて最も理解のない国でこのサイケデリックロックをやろうとしたのは何故ですか?

nakamura : 元々サイケデリックロックから好きになったのではなく、ハードコアから掘り下げて色々聴いているうちにこれはパンクと同じくらい好きな音楽だと思ったのがきっかけです。SiegeのGrim ReaperやJerry's KidsのRaise The Curtain、No Commentの長い曲とかが好きで、自然とスラッジ、古いロック、クラウトロックなどに行き着きました。

日本のサイケデリックロックを語れるほど知っているわけでは無いのですが、実際シーンとしてはほぼ無いに等しいかなと思います。ガレージとかノイズ、電子音楽など、親和性がある音楽は何となくシーンがありそうですが、サイケデリックロックはシーンも無いし、単発のバンドがいくつかあるだけな印象です。実際幾何学模様とか南ドイツとか日本にもいいバンドはいたのですが、日本には根付かないと判断して結局海外で活動しています。
ちなみに現代のドラッグカルチャーはサイケデリックロックよりヒップホップやテクノの方が親密かと思います。

Q: bandcampでも前作までの作品も聴いてみました。今回入荷させていただいたカセット音源はこれまでの作品と少し違うかなと思いました。
1つは楽曲タイトルが日本では無くなっている、というところで、和製サイケデリックみたいなところを標榜しているわけでもないのかなと思ったけど
では英語タイトルの曲になって歌詞も英語になっているかというと、むしろ何語で歌っているのかわからない、というくらいボーカルが後ろに引っ込んでいます。
またカセットというフォーマットで世の中に出そうとした理由とは?このあたりを聞いてみたいです。

nakamura : どう答えていいか分からないので自分がボーカルをやってきた流れで書きます。
まずそもそも歌が下手過ぎて歌いたく無いのですが、なかなか思うようなボーカルに会えず、仕方なく歌っている所があります。活動している間ずっと「覚悟を決めて自分で歌おう」「ボーカリストを探そう」っていうのを繰り返していました。

ボーカルのスタイルとしてははっきり聞こえず曖昧な感じにしたくて、それができれば日本語でも英語でもどちらでもいいかなと思っています。あとただリズムだけを優先して言葉を切り貼りした歌詞よりも、ちゃんと歌詞として意味がある方が好きですし、大切にしています。その辺りの考えと、当時の自分の技量を考えた時に、まずは日本語で納得いくボーカルを目指そうと思い歌詞やメロディを作っていました。そんなわけでCULT EPを録音したのですが、結果的に自分の中ではボーカルが浮いており、それこそ和製サイケデリックの様に聴こえて嫌だったので、次のHighwayではとにかくボーカルを小さく小さくミックスしてあの感じになりました。今思えば音量以外にミックスで馴染ませたり曖昧にする方法もあるのですが、当時はその辺りの知識もなく、とにかく小さくして馴染ませようとしました。

上記の両作とも、歌詞やメロディ自体はそこまで悪くないと思ったのですが、やはりボーカルが浮いている感じが気になり、あまり納得いく作品にはなりませんでした。でもそういうところが気にならない人からは時折褒めてくれたりもして、まあひとまず良いのかなと思いながら気持ちに折り合いをつけていました。ボーカルに限らず演奏の拙さはありますが曲自体はいいと思っているので。
そんな中でやっているうちに、ボーカルのコツというか、なんとなくこう歌えば狙った通りに歌えるくらいに上達してきて、自然と英語を混ぜてみても馴染む感覚もあったので、今回のEPは英語でも歌っています。Exploitは日本語と英語、Just Vibesは英語のみです。今後も曲によって使い分けていこうとは考えています。タイトルは日本語でも良かったのですが、なんとなく英語でつけてみた程度です。

そして今回の作品で違うところですが、自分で録音とミックスマスタリングをしたのが大きいかと思います。上記のボーカルのこだわりって人に伝えるのが難しくまた細かいですし、何回も何回もやり直しをお願いすると申し訳なくなってしまい、結局作品としてはどこか妥協をしてしまうというか、不完全燃焼な感じが残るなと思ったので、だったら自分で納得する様な録音にしたいと思い、今回は自力でやることに決めました。
一般的に良い音とされているミックスマスタリングや録音方法とは違うのでしょうし、実際機材の問題もあってローファイな感じにもなっているのですが、結果的にボーカルの曖昧さも、それ以外の全体的なバンドとしての雰囲気も録音にマッチしており、それなりに納得できる仕上がりになったと思っています。その辺りが以前の作品と雰囲気が変わった理由の一つかと思います。

フォーマットについては、上記の通りそれなりに納得した音が取れたので今回はフィジカルを出そうと思ったのですが、2曲入りでCDだと味気ないですし、7インチで出すお金も実力もまだ無いのでカセットに決めました。実際作品の雰囲気にも合っていて、ぜひカセットで聴いていただきたいです。狙った音が伝わるかと思います。

あと和製サイケデリックは標榜しておらず、サイケ寄りのインディロックやインディロック寄りのサイケを狙っています。和製サイケデリックはポツポツいるので、それらのバンドにお任せしています。

Q: パンク/ハードコアの流れとはいえ、今のようなスタイルのバンドをやるにあたって
バンド内での同意というか、このバンドみたいにやろう!みたいな共通言語になるようなバンドはありますか?
少なくともメンバーがそれぞれ好き勝手やっているバンドの音ではないなと思ってます。

nakamura : バンドの音はThe Black AngelsとBrian Jonestown Massacreやその周辺が最も強く影響を受けていて、次点でDead MeadowやCult Of Dom Kellerあたりが続き、その他サイケ、インディロック等適当に好きな音楽の要素を入れ込んでいます。

このバンドはコンセプトや狙いが明確だけどニッチなので、まずはそこの理解や色を揃えるところに力を入れた時期もありました。
今のメンバーは基本的なコンセプトを理解してくれていて、とてもやりやすいですし、ありがたいです。過去にもっと技術的に上手い人もいましたが、それよりもセンスが合うメンバーを求めていましたし、結果狙った音に近づいているかと思います。
好き勝手やる人が集まってケミストリーが起きるのも楽しいのですが、上手くいかず不安定な状態が続くし、自分達は地道に突き詰めていく、そういうスタイルが合うのかなと思います。

Q: Hervestというweb zineをやられていますよね?
バンドのアカウントで全然宣伝していないように見受けられましたので自分の記憶違いかもしれませんが、もし間違っていたらすみません。

nakamura : やっています。音楽の情報も多過ぎてSNSでも追いきれないので、良質なパワーバイオレンスやサイケデリックロック、インディロックに絞って紹介するジンがあったら面白いなと思ったのでやってみました。そんなに告知せず、細々とやっています。というのも、SNSで流れてくると結局上記の情報過多と同じでしか無いですし、どちらかというともはやTwitterの検索機能にすら劣るGoogle検索で気になるバンドを調べた時にヒットして嬉しくなるような、そんな立ち位置を狙っています。

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Text by Akihito Mizutani (3LA -LongLegsLongArms Records-)

Exploit / Just vibes / yokujitsu (CASSETTE EP)
http://longlegslongarms.jp/music/products/detail.php?product_id=2244

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