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3LAの新入荷 / Converge,BALLOND'OR,BISHOP / バンドが生み出す人への影響力についての話

こんにちわ、3LAの水谷です。
今回は新入荷を3点と、長めのテキストを一本残しておきます。

■ 新入荷

[予約] You Fail Me Redux / Converge (LP: Transparent Red w/ Black Smoke)

『Jane Doe』以降のConvergeを再定義した名盤、2022年の再プレスは「Transparent Red w/ Black Smoke」で入荷します。レーベルでは予約開始1日でソールド、ディストロの入荷も枚数制限されており、多くはありません。よろしくお願いいたします。発送は2月末予定です。

Jane Doe以降のConvergeを決定づける名盤You Fail Meの2018年再プレスが決定。バンドを一気にメインストリーム級にまで押し上げたモンスターアルバム『Jane Doe』とはうって変わり、プログレ感やメタルコア感よりも「激情感」が前面に現れた本作は、激情リスナー的に聞けば『Jane Doe』よりもシンパシーのある存在だ。そして本作以降のアルバム、そして新作『The Dusk In Us』までの流れは、このアルバムの方向性の進化の歴史であったとも言える。(そして『The Dusk In Us』はその総括のような印象すら受ける)
ソングライティングだけでなくサウンドプロダクションも一新されており、それは以降のDeathwishレーベルがリリースする音源のサウンドの標準となっており、ハイクオリティながらバンドの演奏から繰り出される生々しい感情を削ぐことなく構築された音の城。最初にリリースされたアルバム名は『You Fail Me』だが、その後リミックス&リマスタリングされ『You Fail Me Redux』と改められた。バンドのキャリアでここまで明確に作り直された作品はなく、アルバム名まで変えるほどの、音へのこだわり。このアクションはConvergeを再定義したと言っても過言ではない。『The Dusk In Us』を聴いて、改めてここから聴き直さなきゃいけないと感じた作品でもある。
温故知新。過去の名作を聴きながら、この先の未来を創造しよう。



Discography / BALLOND'OR (LP: Transparent Blue)

バンドのことを何もわかっていないので怒られるかもしれませんが、インディパンク、J-POP、ノイズ、また雑多な音楽性をミックスさせダーティな90's-2000'sなフィルターによりコーティングしたサウンドは基本的に文脈無視な印象でめちゃくちゃです。さらにこのディスコグラフィー作(コンピレーション)という性質上、バンドの歴史の中のいくつかの作品から楽曲をピックアップしているためアルバムの統一性がないためそう感じさせているのかもしれない。しかしながら、もはやUS/UKの作風から外れてしまったら偽物であるという旧世代のロジックは破綻した時代なので、これくらいむちゃくちゃなバンドのほうが却って海外リスナーからしたら"JAPAN"を感じるのかもしれない。UKロック/シューゲイズ化した銀杏ボーイズみたい曲もありますが「C.R.E.A.M.」「NOISE YOUTH」のような曲がミッシングリンクとしてギリギリなラインで海外リスナーとの文脈をつないでいるような気もするし、つないでいないかもしれない。僕がわかっている唯一とも言える真実としては、特定ジャンルに寄らせた音楽性でないならば、これくらいむちゃくちゃやってなければ海外レーベルからレコードがリリースされることはあまりないということ。



Bishop / BISHOP (LP)

同レーベルのLOTHよりも更に虚無で深い絶望感の強いメタルになっており、RAWブラックメタルでもポストブラックメタルでもない、新手のフレンチブラックが誕生している。ヨーロッパ的なクラシカルな旋律というものがないため、全体としての質感が無機質で冷たくなっておりDeathspell OmegaやCelesteにも近いヘヴィスラッジな作品である。タイトルから得られる情報は何もなく、意味性は排除され、最近こういった重く暗い作品でもアルバムの最後には希望が見えるようなサウンドのものが多いが、このバンドは一切そういうのがない。ジャケットからも意味性が奪われているということに気づくべきだろう。つまりは音以外に焦点をあてるべきものはない。全部奪われた時代のブラックメタルなので。憎悪や絶望といったネガティブ感情だけでこうも表現が続くものなのかと思えるほど、全4曲とはいえ全体では40分近い地獄の轟音が続くので聴く前にはそれなりの覚悟が必要。


■ バンドが生み出す人への影響力についての話

2000年代を振り返ると、日本の激情コミュニティにて個々人に影響力があったのはkillieだったなと思う。envyも大きな影響があったとは思うけれど、より大きなステージに向かっていたenvyよりkillieのほうがそのシーンにいた人間にとっては、日々の行動を左右する存在であったと思う。(そのあたりの当時の感覚は別記事のほうにまとめている)

だがあの影響力はどのようにして生まれていたのか、ちゃんと考えたことがなかったかもしれない。うっすらと頭の中にはあったものが、明確になるきっかけがあったので今回はそんな話です。

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