「ただ音楽が好きというだけでは、僕はバンドを続けることができない。」 Interview with lang (2021)
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「ただ音楽が好きというだけでは、僕はバンドを続けることができない。」 Interview with lang (2021)

3LA

2020年にリリースされ、現在国内ソールドアウトとなっているlangの『cahier』が、Dog Knights Procductionsの手により12インチとしてリイシュー!! ということで、『cahier』リリース時の計画がすべて白紙となり、2021年にはバンドのメンバーチェンジがあり、様々なことが組み直しになってしまっている今...そんな時だからこそインタビューしていくしかない。今回はVoの和田さんが答えてくれています。

Q: 2020年、langの『cahier』リリース前からコロナ禍と言われる時代になったと思います。多くの人が活動を制限される中で、2020年以降、langは何かしていましたか?

和田: 有難いことにライブのお誘いも多くいただいていたので配信ライブ中心にライブは良いペースで行えていました。
しかし、一番はメンバーチェンジですね。特に約10年ほど共にした、ドラムが代わることは演奏面においては、当初の不安は大きかったです。

Q: 『cahier』の曲ってコロナ前に書き溜められた言葉だと思うのですが、コロナ後、自分の中で言葉について考え方が変化した点はありますか?いや、言葉に限らず音楽の意味的なところでも良いのですが。

和田: コロナが直接的に言葉に対して変化を与えたということは、全くなかったです。一方、コロナ禍で、たまたま個人的な人生の転換点が幾つも重なりました。生き方の変化と共に自分の中から出てくる言葉も変わってきている実感はあります。僕自身、この新しい生活の在り方の中で、どのように表現すべきかのチューニングはまだ整っていないと思います。
『調べ』は20代前半、『there is no reply~』は20代中頃~後半、『cahier』は30歳前後になって書いたので、次作含め、各アルバムでそれぞれテーマが異なっています。同様に、これから書くのテーマは現在生活の中から見出そうとしています。

Q: 30代って試練の時だと思うんですよね。20代って良くも悪くも先輩とか自分の先の道を進んでいる人がいるじゃないですか。だからある程度道筋が見えていたり参考になる人や生き方があったりするんだけど、30代で自分の方向が定まっていったときに前を走っている人がいつのまにかいないというか。
誰かに影響受けたとしても、もう自分で切り開いていくフェイズだと思う。やっぱりこの先は、"生活の中から"っていうのがキーワードになるんでしょうか?

和田: 昔から何かに属するということが苦手で、実はlang自体もこれといった先輩の存在はいなかったんです。そのため追う対象を捉えることはなく、常に生活の中が起点になっています。
僕個人としては、50代になっても先輩の後を追って生きている人もいるし、10代から試練の人もいると思います。その上で僕の変化は、どうしても生活の変化に紐づいてしまうということです。
2nd時代までは、僕自身“持たざる者”であったのですが、ここ1,2年の間に家庭を持ち、持たざる者ではなくなってしまったということが大きく変化に繋がっています。

Q:「持たざる者ではなくなってしまった」これって人生において何より優先して守るものが出来たことによって、自分の生活の軸がいままでと変わったということですか?
むしろ「持たざる者ではなくなって"しまった"」という物言いに、そこに何か和田さんの中の"不安"のような心理があるのでは?とも思うのです。

和田: 何より優先するものができて、生活の軸は変わったという訳ではないですし、不安もないです。ただ、以前と比べると、生活に満足しているので今の自分は持たざるものではないと思います。一方で、僕は”何かに欠乏していたい。持たざるものであり続けたい”という心を持っています。そのギャップが大きいので、先ほどの回答で”なってしまった”と答えたのだと思います。
ただ音楽が好きというだけでは、僕はバンドを続けることができない。だからこれからの表現や過去に書いた詩と今まで以上に向き合っている自分もいます。

「詩の中に深く没入できるか。ずっとここだけを意識してライブを行っています。」

Q : ちょっと脱線の質問です。
尾崎豊好きなのは知っていて僕も好きですが、彼は30代にならずにいなくなっているから何の参考にもならないじゃないですか。多くのロックミュージシャンは20代で死ぬか、30代以降名盤を生み出さずにズルズル活動しているバンドが多い。特に激情、Emo/Screamoにおいてもほとんどのバンドは若くして解散するし、正直Screamoを30代過ぎてもマジで取り組んでいるバンドが多いのは日本くらいなんじゃないかと思ってます。そんな中で和田さんは激情/Screamoという音楽についてなにかこだわるところはあるんでしょうか?または全くそんなこだわりはなかったりしますか?

和田: 「langはフォークだ」と言っていたのは、決してひねくれだけでなくて、楽器隊の曲作りにおいて激情/Screamoへの意識は全く無いんです。勿論、作曲者の太田は通過した上で、表現においてはそこに捕らえられていません。
スタジオでもイメージを言語化する際に出てくる曲やバンド名でそのジャンルに属する名前が出てくることは全くと言って良いほどないですね。ピアノのイメージとか、毎回そんなニュアンスを言っている気がします。恐らく僕がボーカルをつける際、DaitroとAmanda Woodwardのボーカルが好きで、
且つあの歌い方は詩との連動性が高まりやすいため、手法としてその2バンドのニュアンスは引っ張ってきています。なので、今考えると激情/Screamoに分類されるのは僕が要因なのではと思いました。本当にそのジャンルをストイックに好きな人からすると僕らのことは認めないとは思うんですよね。
実際、僕らの同世代で20代中頃くらいで特に人気だったのは、blue friendやasthenia等だと思いますが、彼らと交わることも実際ありませんでしたし。
実は尾崎に関しては、あまり生き方や歌詞に対してよりも、ボーカルの入れ方にかなり影響を受けてるんです。
『誕生』と『放熱への証』は改めて凄まじいアルバムです。

Q: 尾崎のボーカルの入れ方って、音程とか音量も含めて、全然うまくコントロールし切れてないなと思います。ライブも最初から全力でやるし、声も枯れがれになってる。でもそのギリギリ感が、やたらエモーショナル感を引き立たせるというか、そういうところですか?

和田: 僕はライブ盤より、通常の丁寧に歌ってる方が好きなんです。
例えば、langの「煩悩」の最初は、「Freeze Moon」参考にしていたりと単純にボーカルラインが好きなんですよね。僕の場合、基本棒立ちなので、全力でやりきることよりも、詩の中に深く没入できるか。ずっとここだけを意識してライブを行っています。何だかlangというよりも僕だけの話になってしまい恐縮です。

「0からまた作り上げることに対しての怖さと楽しみ」

Q: メンバーチェンジについて、新しいメンバーはどのように決まりましたか?そのメンバーはlangの理念に共感してくれていますか?

和田: メンバーに関しては、太田が主導でしたね。トシ君(ixtab/ SHE GET A CYCLE)は次のギター候補として考えたときに、全員から必ず名前がでてきていました。
ドラムのシュンスケ君に関してですが、もう解散してるんですがerieというバンドとlangが結成した当初仲良くて。そのerie友人として打ち上げで元々彼とは親交がありました。erieの活動が止まってから、何年も縁遠くはなっていましたが、前ドラムの湯田ちゃんが、よくシュンスケ君は上手いよということを言っていたのを思い出して元erieのドラム経由(彼は今Presence of Soulでサポートしています)で連絡先を教えてもらって、今回声を掛けた経緯です。
2人とも二つ返事で、やりたいと言ってもらえて嬉しかったですね。初スタジオから、約3か月経ちましたが曲が生まれ変わった感じがしています。前メンバーとも明らかに異なる、とても良い演奏だと思います。
理念らしい理念はないバンドですが、元々がスタジオで曲を作りこむことの苦しさが好きだったりするので、そこの部分は楽しんでもらえてるんじゃないかなとも思います。

Q: 2020年のViva Belgradoとのツアーがキャンセルになってしまって、あのイベントはlangをあちらの国のリスナーに大々的に伝えるチャンスだったので残念だなと思ってます。しかし、今後もいくつかの計画があると思っていて良いですか?

和田: ツアーに関してのキャンセルに関しては、かなり前から綿密に話を進めていたので、非常に残念でした。The Tidal Sleepのツアーでの流れで、演奏も気持ちも良い状態でいけると感じていました。
実は、今回詳細までは発表していなかったのですが、後にViva Belgrado側も来日して、交換ツアーを行う予定でした。特に大阪公演では、STUBBORN FATHERに孔鴉の名義で組んでもらえた日もあり、個人的にとても楽しみでしたね。様々強力してくれたバンドに改めて感謝をしています。
一方で、Vivaのメンバーや2ndのrecでお世話になったSantiとも連絡は取り合っているので、いつかは実現できると信じています。もう一度、あの景色は見たいです。

計画については、近々発表されるであろう、Boneflowerとのスプリットの話に加え、他にも3wayの話をもらっています。それも3国とも国がバラバラなことに加え、コロナの影響もあり牛歩ですが進めています。
でもやっぱり、langとしてのフルアルバムを作りたいですね。

Q: langって今まで国外に情報が漏れていない日本の秘宝みたいになっていて、2ndのLPがDog Knightsからリリースされたとき結構話題になったというか、評判がやたら良かったのを覚えています。
Viva Belgradoのメンバーとの交流の中でlangというバンドがどう見えているかとか、そういった話ってしましたか?boneflowerも良いバンドだなぁと思ってます。

和田: Instagramが海外の人とのDM用なのですが、ヨーロッパやアジアなど、結構な数が今もDM来ていて、ヨーロッパの若い世代のバンドからもスプリットの話もあったり。これに関しては、日本以上に楽器陣の演奏のこだわりが伝わっているのではないかと思っています。
Vivaとは、お互いの音楽を細かく語ったりはしませんが認め合っているような感じですね。いつもバカ話ばかりです。結局は、ひねくれ度合とか人間的な感覚が似ているような気がします。
ただ今回、Viva Belgradoの新作には完全にやられました。勿論、音像は違えど、自分たちが目指す次の形を体現していて素晴らしいです。あのアルバムは本当に凄い。世界的な彼らの活躍を目にするととても嬉しいですね。

Q: 新しいバンドの音も楽しみにしています。アルバム期待してます。

和田: ありがとうございます。
新しいメンバーでまた、0からまた作り上げることに対しての怖さと楽しみが入り混じっていますが僕も楽しみです。

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Text by Akihito Mizutani (3LA -LongLegsLongArms Records-)

cahier / lang (12inch: Blue Ltd200/White Ltd200)
http://longlegslongarms.jp/music/products/detail.php?product_id=2206

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