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toB事業立ち上げ時のBizOpsをどこまで設計すべきか

このnoteは「BtoB事業開発アドカレ 」の5日目の投稿です。面白かったらハッシュタグ「 #BtoB事業開発アドカレ 」を付けてシェアいただけますと幸いです。
前回は、@inteltank さんによる「Scrapbox流、導入推進者に寄り添う事業開発」でした。

カジュアル面談プラットフォーム『Pitta』を運営している代表の中村(@3kkabi)です。本エントリは、事業開発・カスタマーサクセス戦略を副業で手伝ってくださっているRightTouch社の増田さん(@Massuo_22)との共著で投稿しています。

Pittaの前身となるMeetyは2020年10月から約3年間事業を進めてきましたが、2023年11月法人向けの「チームプランβ」の提供を機に、ようやく有料化を実現しました。

今回は事業開発に関するアドベントカレンダーということで、Pittaとして初の法人プランを提供するにあたり、本格的にBizOpsの準備を進める中で意識していたこと・気をつけていたことをまとめたいと思います。


Pittaについて

マーケットや事業モデルによって、BizOpsを構築するポイントは異なります。そのため、まずはPittaの事業戦略についてご説明します。
※すでにご存知の方は読み飛ばしてください

我々の事業はいわゆる”採用マーケット”にて事業展開をしています。そして、採用活動の中でも「母集団形成」のファネルに属します。

母集団形成を促進する上では、求人サイト、メディア、ダイレクトリクルーティング(スカウトなど)、ソーシャル、そしてリファラルが主な手法です。近年はRPO(Recruitment Process Outsourcing)が入って求人やスカウトの代行など、外部リソースを使って運用している企業も増えていますが、リファラルは基本的に自社の社員が中心となって進めるケースがほとんど。そして、リファラル採用で躓きやすいのが「リファラル候補者の母集団形成」と「現場社員の巻き込み」です。

Pittaではこうしたリファラル採用の課題を、「カジュアル面談」を基点として社員の友人・知り合い自体を増やしていくことで、これまでのコミュニティや採用活動では生み出されなかった新しい繋がりや、継続的なリファラル母集団の形成に繋げていきます。

2020年10月のサービスリリースから約3年で、利用企業は3,000社以上、月間数万人のユーザーにご利用いただいております

Pittaの事業戦略について

Pittaが属する採用の領域は、基本的には社会に存在するほとんどの企業が取り組んでいます。ゆえに、各社の採用課題はある程度抽象化・共通化がしやすく、市場にも様々なノウハウ・ナレッジがあるため、理想はそれぞれの企業が自社で戦略や戦術を考えてアクションを進めていくことであると考えています。

また、ことインターネット業界においては、一人当たりの採用単価は年々上がっており、同時に様々なツールが存在することで複数のサービス・プロダクトを利用する企業も増えてきているため、企業の採用にかけるコストは増加傾向にあるのではないでしょうか。

よって、「リファラル採用」の各社の期待値は”低コストでいい人を採用する”目的になりやすい。そのような期待値のあるリファラル採用に対し、営業やサクセスなどの”人”が介在しないとサービスが成立しない構造にしてしまうと、必然的にコストが上がり、高単価にせざるを得なくなるため、リファラル採用を進める目的を薄めてしまいます。

よって、PittaはSales-Ledの組織ではなく、Product-Ledに近いモデルを目指しており、Sales OpsやCS Opsなどの仕組み化にしっかりと投資をし、テックタッチ・コミュニティタッチ中心に事業を成立させることで、クライアントに対して高品質で低価格のサービスを提供し続けられるようしていきたいと考えています。

チームプランβ版は5万円/月〜 他サービスと比較しても取り組みやすい価格設定にしています


BizOpsにおいて取り組んだこと、意識したこと

とはいえ、最初から全てを効率化するのは難しいですし悪手だと思っています。特にPMF前のプロダクトであれば尚更で、お客さま・ユーザーの声を直に聞きながら改善をし続ける、効率化とは正反対の動きがとても大事になるからです。

だからこそ、「いかに柔軟性/拡張性を担保しながら、効率化すべきところをしていくか」を大事にしました。

実際に取り組んだ内容の一例として、Pittaチームプランを開始するにあたって収益が発生することによる販売管理・請求管理周りについて取り上げたいと思います。

販売管理・請求管理周りのOps

販売管理・請求管理周りについては、「人の手をかけずに低コスト」×「変化に柔軟に対応できる」を実現することを前提の考えとしました。
そのため、以下のような内容を意識しながら各プロダクトの選定を進めました。

  • 専門性を必要とする仕組みにしない

  • APIなどの自動化が将来的にできるし、手動連携もできる実運用部分に手がかかりすぎない

営業管理・顧客管理は「Hubspot」を採用し、Pittaの各種KPI確認は「Redash」を、より詳細なデータ分析は自社ツールを開発・運用することを先に決めていたため、それらとの繋ぎこみやすさについても注意しつつ進めました。

結果的に、販売管理や請求管理で「Scalebase」を、与信審査・請求・督促・入金などの部分は「マネーフォワードケッサイ」を利用することにしました。

内製の自社ツール ↔︎ Hubspot ↔︎ Scalebase ↔︎ MFケッサイの連携概要
Hubspot × Scalebase × MFケッサイの連携詳細

Scalebaseもマネーフォワードケッサイも、APIを用いた自動連携は機能として可能なのですが、現在の繋ぎ込みで情報が十分なのか、今後連携をするべき情報に変化があるのではないか、ということも踏まえてCSVを用いた手動連携にとどめています。

ゆくゆくはAPI等での自動連携を進めますが、Sales Ops、CS Ops側でGTMの選定、クライアントのヘルススコア構築、再契約等の判断情報として請求・入金の情報を利用、さらには新しいサービスやプランの構築など、データの活用先・連携先を一定整備した上で自動連携を進めようと考えています。

顧客対応周りのOps

全体の設計を進める上で、「サービスの拡張方針(弊社の場合、Product-Led的な仕組み化)」だけでなく「今の事業がどんな顧客にフィットしてるのか」を見極めることが不可欠です。

ここを外して仕組み化を進めてしまうと、せっかく構築した仕組みが自分達のメインユーザーにとってフィットしない形となり、手戻りが頻発したり0から再構築することとなるため、結果的に効率化するための仕組みが非効率になってしまいます。

そのためにも、顧客の声(Pittaにとっては利用していただいているユーザーや契約をしているクライアント企業とその中の人たち)をしっかりと拾い、サービスに対しての要望や期待・不満を適切に拾い続けることがとても重要です。

そのため、クライアントとのやりとりについては積極的にSlackコネクトやFacebookメッセンジャーなどを使用し、気軽に意見や相談ができる窓口をあえて残しています。

もちろん、クライアントの声全てをプロダクトに反映するのではなく、探索期だからこそ、セールスやカスタマーサクセス、サービスのデリバリーの仕組み化を進めるために”外してはならない観点”を見逃さないようにすることが目的です。

いただいたフィードバックはslackチャンネル #user-voice へまずはフロー情報として投稿。同じフィードバックもあえて投稿することにより、そのフィードバックを何度いただいたかがわかるようにしています。

それをCSの古川(@quiettt_life)が取りまとめ、週次のビジネス・開発の両メンバーが集まる定例ミーティングで共有し、開発が決定したものはGithub Issuesでチケット化していきます(弊社の場合、ビジネス側のメンバーも開発チケットを切っています)

また、当然ですが、最低限ヘルプページなどのコンテンツはリリース時に必要です。ヘルプページは「zendesk」を利用しており、合計97ページのヘルプページを事前に制作し、できる限り顧客からのご質問にスピーディー且つ、丁寧に回答できるよう準備していきます。

サービスの思想・運用のTipsについては、公式noteに蓄積していきながら、今後は採用ノウハウ・Pittaチームプランのサクセス事例についてもご紹介予定です。

ゆくゆくはユーザーやクライアントの安心を保ちながら、セールスにおけるセルフサーブモデルの構築や、サポート・サクセスにおけるテックタッチ化、コミュニティタッチ化を進めていきます。

Pittaはユーザーが個人で登録し、カジュアル面談の募集や応募をするプラットフォームだからこそ、利用ユーザーがPittaに対して”価値”を感じてもらうことで、「自分の会社でも使いたい!」となるようなユーザー起点で拡張するループを生み出せる可能性を感じています。

ユーザー・利用企業双方の声をしっかりと拾いながら開発・改善を進めていくことでより良いプロダクトにしていけるよう頑張ります🙇‍♂️

最後に

まとめると、toBビジネスの立ち上げにおいて意識したことは以下です。

  • 対象マーケットの特徴をしっかりと捉え、価値を毀損しないBizOpsを構築する

  • 立ち上げ期の探索が必要なタイミングだからこそ、投下するリソースのメリハリをつける

  • プロダクトやマーケットが変化し続けるからこそ、柔軟に変化対応できる体制を作る

ちなみにPittaでは、今回取り上げたようなBizOpsや事業開発フェーズの構築をテーマにしたカジュアル面談も多数公開されておりますので、ぜひご活用ください。Pitta検索画面にて「事業開発」関連のタグで絞り込んでみてください

Pitta「事業開発」関連タグでの検索画面


また、一緒にBizOpsに磨きをかけていきながら、クライアントのサクセス・サポートをしていただけるCSメンバーをこのnote公開と同時に募集開始します!

弊社のBizOps・CSの仕事について少しでもご興味をお持ちいただけた方は、弊社CSメンバーである古川とカジュアル面談してみてください!(弊社の働き方(フルリモ・顔出し不要)や組織のカルチャーなどについても、ざっくばらんに聞いてみていただけると嬉しいです)

もし、Pittaの今後の展開、法人向け「チームプランβ」について気になった方は私とカジュアル面談しましょう。


最後までお読みいただき、ありがとうございました👋

※アドカレにお誘いいただいたLayerX 事業開発の稲田さん(@HirotoInada)ありがとうございました。

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