ひと畝日記④

前の人が植えていた青紫蘇と赤紫蘇の葉が、夏の間重宝した。紫蘇の実ができたので、畑に行くたびに穂先を摘んで帰る。実をとるのが面倒そうだと思っていたけれど、穂をしごくと実がパラパラ落ちるのが気持ちよいので、本を読んでいた娘に声をかけた。しぶしぶ作業を手伝う娘だったが、だんだん面白くなったようで、おしゃべりしながら、二人であっという間に作業を終えた。

野菜の植え方や手入れの仕方を教えてもらったり、庭で梅干し用の梅を採らせてもらったり、ヘチマやホオズキが食べれることを知ったり、挨拶するうちに畑に来るひとたちの顔ぶれがわかってきたり、なんでもないことが、豊かな気持ちにしてくれる。たったひと畝の畑仕事で、自分の心も耕して水をあげているのかもしれないな。

自分の口に入るものに、なるべく手をかけると、いろんなオマケが付いてくるんだな。

そろそろ苺の苗を植える時期だそうだ。春になったら摘みながら食べて、それでもできてできて困るので、ジャムしたけどまだ余る、ってくらい苺ができたらいいなぁ。妄想を膨らませつつ、紫蘇の実のおにぎりをほおばる。

苺の苗を植える場所がないので、あとふた畝借りることにしよう。