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第一歌集『中指いっぽんのうた』の冒頭10首。


はじめまして! 或いは、こんにちは。赤い電動車椅子の詩人ミカヅキカゲリです。



第一歌集『中指いっぽんのうた』の冒頭10首。




1.春

脱走し初めて気づく自由ではないと云うこと春の束縛

「千春って呼び捨てにして」と云われた電話の後で呟く「千春」

透明な冷たき水のただなかを君と歩こうあどけない日を

熱のある喉(のんど)にひやり迸る いちごの果汁、「だいじょうぶよ」と

木苺のジャムのチェックの瓶のよな君をふわりと抱き締めて春

走っては眠り目覚めてまた走るあなたとふたり野生の獣

ひとりでも風に乗って飛べるんだたんぽぽわたげは独力飛行

オルゴールの蓋を開ければ売られゆく宵の心を慰み呉れる

今宵 君 虹のピエロとなるからね 25時の野原で逢おう

宵闇に紙風船を放つとき空気孔の銀色光れり


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