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「下ネタは冗談」が、無くなる事を願う

2023年3月に入社して、約1か月半が経とうとしている。

自分の顧客を持っており、金融業界の経験もあった前任者と違い、スタート時点からハンデがある私は、未だに一人で焦っている。

あらゆるところに聞いてまわったり、LinkedInで色々ネットワークを広げようと画策しているところである。

そんな中、仕事で知り合った方から、「今度、日本人の集まりがあるので来ません?」とお誘いがあった。名刺交換などもできるから、との事だった。

行動しない事にはネットワークを広げる事はできない。

知らない人の輪に入っていくのは、人見知りの自分にはハードル高いが(なんで営業やってる自分)、ここは勇気を出して行ってみる事にした。



当日は、4名で待ち合わせ、一緒に懇親会の会場へと向かった。

「服装はみんなカジュアルですよ。」と言われたものの、プライベートで出かける機会がめっきり減ったので、カジュアルがどの程度かが分からずドキドキした笑

幸い私一人が悪目立ちする事はなく、心底ほっとしながら会場に入った。

参加者は20名程で、多くが男性だった。
20代、30代と思わしき方も数名はいたが、多くは40代以上の様に見えた。

まあ見た目だけだから明確な事は言えないけれども。

後から聞いた話によると、インドに駐在させる場合は、先に他のアジア諸国で経験を積んでからにする会社が多いらしく、そうなるとおのずとインドに来る時点で早くても30代になる。

「インドに行ってもなんとしても耐えて欲しい」と言う、企業の熱意?が伝わってくるようである笑



初めてで、かつ、突然の参加にもかかわらず、快く歓迎してもらい、挨拶したり名刺交換をしたりさせてもらった。

ちょうど食事が提供され始めたタイミングだったらしく、何度か乾杯をしながら、久しぶりの日本食に心の中で歓喜した。

インドに来て何年目なのか、
前はどこにいたのか、
今はどんな仕事をしているのか、
インドにいる間の楽しみなど

思い思いに雑談をしながら交流を深めていく。

インド国内の日本人社会は小さいので、
あの人は日本に帰ったらしいとか、
XX社さんは担当変わって新しい人が来たらしいとか、
私にとって貴重な情報も飛び交い、耳をそばだてながら他の人の話を聞いていた。

誰かが会話を独占する事もなく、みんなうんうんとうなずきながらのんびりと話しをする。若干お酒が入って酔っている人もいたが、程よい距離感があり、心地よく過ごしていた。

そんな中、近くの男性から急に下ネタを振られてしまったのだが、
思わず「それはセクハラですよ~」と冗談っぽく返してしまった。



その時はあまり気にならなかったのだが、後になってもんもんと考えてしまっている。



下ネタを振られた事自体は、実はあまり気にしていない。

それくらい全然大したことない。

後になって気になってしまったのは、下ネタを振られたのに笑いながら冗談っぽく返してしまった事=受け入れてしまった事だった。

自分が「それは下ネタで、言うべきで事ではない。面白くない。」と指摘すれば、その場は凍り付いたと思うが、その人も「なるほどそうなんだ」と思ったかもしれない。

あくまでも「かもしれない」だけど。

笑いながら返してしまった事で、「あ、これは冗談として通じるんだ」と勘違いさせてしまったことが未だに気になっている。

いつも気づくのが遅い、自分は。




いわゆる典型的な日本のカルチャーから離れて久しいが、この「下ネタは冗談」と言う文化がすごく嫌だな、と感じてしまった。(文化って言っていいのかが分からないが。)

そして、「下ネタを言われても、笑顔でスルーしている自分」がいるのも。

「こんな小さい事で怒るなんてヘン」
「これは冗談なんだから笑えよ」と、

飲み会で気が緩んだ時に下ネタが語られることはあると思うのだが、面白く無いし、その発言に対して怒ると「冗談の通じねえヤツ」と言う無言の圧力があるのがおかしいと思うのだ。




「日本ばっかり悪く言うけど、じゃあインドはどうなんだよ」と言う方もいると思うので、私の経験を共有すると、インドの職場でセクハラされた経験はない。

今までの会社の規模がそれなりに大きいこともあり、セクハラ監視委員もあるし、セクハラとなった場合の処罰も規定されているからなのか、それともみんな注意しているのか、職場で不快な思いをした経験はない。

だがみんなの給与額は情報漏洩しまくっている笑
(みんなお互いに教え合うから)

一方、職場とは関係無いところでは、ある意味無法地帯に近いので、それにあたってしまうかどうかは運次第とも言える。

私は過去に2回ほど、タクシーの運転手に「日本人はセックスしないってホントなの?」と聞かれて、聞こえなかったフリ/ヒンディー語が分からなかったフリを貫いた経験がある。

純粋な興味で聞いているのか?
性的な嫌がらせしようと思っているのか?

よく分からないし、よく分かろうともしていない。私はスルーすることに決めたが、これももちろん怒ってよいし、なんなら殴ってもいいくらいだ。どのように反応するかは個人の自由だけど、怒るに値する対象であり、それで「冗談の通じないヤツ」とはならないと思う。

ちなみに飲み会での発言は、「もしや私だけが気にし過ぎているのか??」と不安になったので、いつもの友人に「こんなこと言われたんだけどさ」と聞いてみると、顔をしかめていた。

友人によると、「性的な話しをする事はもちろんあるけど、ごく親しい間柄の相手に限るし、ましてや飲み会とかで初対面の人にそんなの冗談で言わない。」との事だった。




この下ネタ発言をした人は、多分ずっと日本でも「下ネタは冗談」の文化で育ってきたのだろうと思う。

日本ではこれがなぜかまかり通っているが、海外はセクハラについて非常に明確に規定されているし、セクハラ認定されると厳しい処罰が待っている印象である。

そして飲み会(パーティ)の場で下ネタを冗談として言う事もまず無い。

(私はインドしか分からないので、他の国や、今の日本ではどうなのかぜひ教えてください。)

日本から海外に派遣されてくるからにはセクハラの知識あって当然だと思うのだが、海外でも日本社会にしかいなかったためか、地位が高いために誰にも教えてもらえなかったのか、海外に来ているのに、未だに日本の、しかも古いカルチャーを引きずっている状態を見て、なにやらとても残念に思えてしまった。

これ以外は楽しい時間を過ごせただけにこの出来事がどうしても残念で仕方がない。

日本にいようが、海外にいようが、ジョークはみんなが楽しく笑える内容で楽しく過ごしたいものだと思うし、嫌な事についてははっきり意思表示できる様に自らを鍛えていきたい。



(注:セクハラは、通常職場に使用される言葉ですが、便宜上「セクハラ」としている箇所があります。)

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