君とまた会えることを願って


あー最近note書けてないなぁ、、、

書かなきゃなぁ、、、

なんて考えてると永遠と書かないことが判明しました。

どうもinad.brvgです。

そう考えていると書けないので、転載します。

今年の4月ぐらいに書いて、LINEのタイムラインに投稿したお話です。

よろしければ読んで、ほっこりして頂けたら嬉しいです。

やっぱりコロナ心配ですよね、、
多かれ少なかれ、自分は無事でいられるのか。自分の大切な人は無事なのか。心配すると思います。
私からの提案ってわけじゃないですが「心配してるよ」を伝えてあげてほしいです。
やっぱり気にかけてもらえると嬉しいじゃないですか。
珍しく、この前逃げ恥を見たんですよ。GYAOで。


なんとなく、帰りを待っていれくれる存在がいることはその人の強い支えになるなあとか思ってました。

そんな時、あるお話を思い出しました。

ある国に大商人の息子がいました。彼には兄がいて後継ぎはその兄になる予定でしたので、ある日弟は父親にこう言いました。
「お父さん。あなたが死んでもらうはずの財産を今すぐ僕にください。」彼がどう言った真意でこの言葉を言ったかはわかりません。

父親は悲しい表情で息子の願いを受けいれ、弟の取り分を渡しました。
次の日、弟息子は荷物をまとめてどこか遠い国に旅立ってしまいました。
彼の目にはもう年老いた親父も口うるさい兄も写りません。ただ一晩で得た巨額の富とまだ見たこともないような煌びやかな生活に胸躍らせ、自分が巨人か英雄かのように堂々と歩き続けます。

見たこともない街に着きました。弟息子の目に入ってくるものは、全てが新しく、刺激的なものでした。見たこともないような煌びやかな服を着た人たち。味わったことのないほど贅沢で、豪快な料理。スリリングで飽きがこない遊び。目を見張るぐらい美しい女性たち、、、

弟息子にとって毎日が人生の全てでした。何も厭わず、目先の楽しみに心奪われ、みるみるうちに父親がくれた財産を使い果たしてしまったのです。
次第にどうでしょう。それまで彼と仲良くしていた友人たちは彼から離れていきます。いつも彼からぴったりくっついて離れない町1番の美人姉妹も掌を返したように彼を罵倒し、別の金持ちの腕に寄り添って町を歩いています。

弟息子はどうしたことでしょう。きっと置かれた環境を呪い、その不遇さ、世の理不尽さに嘆いたことでしょう。しかし、みんな口々に言います。その言葉は本人も自分の心に秘かにささやいていました。「自業自得だ」と。


ー町から遠く離れたあるお屋敷ー
その日も1人の老人は、窓をじっと眺めていました。いつもと変わらないその景色を、何か思い詰めたように見つめ続けます。息子の父親です。彼には自分の息子のすることがわかっていました。今彼がどうなっているのかも。自分が手塩に育てた子どもです。わからないはずがありません。

財産を渡さないこともできたでしょう。しかし、そこには父親なりの愛があったのかもしれません。いつもと変わらないそぶりを見せながらもため息の数が増えた主人を使用人たちも密かに心配しています。窓辺にもたれて、いつもと変わらないざわめく並木に、今日も父親はそっと同じ言葉を呟きます。
その言葉とは、、、弟息子の名前でした。
祈るように、囁くように、そっと、その名前を繰り返します。

弟息子が最後に話した言葉が脳裏に響きます。そのたびに心が刺さるように締め付けられます。自分の死際を言われたことが傷ついたのではありません。父親にとってはこの命さえ惜しまないほどに、息子を愛していました。その思いが届くことはなかった。そのことが何よりも父親の悲しみでした。

ーそれから数日ー
弟息子は、なんとか仕事を見つけました。豚番です。始めは仕事ができればいい。それだけでまだ頑張れる。そう思っていました。しかし次第に空腹と疲れがピークに達し「どうして商人の息子である自分が、こんな汚れた仕事をしなくてはいけないんだ。」と不満を漏らしそうになっていました。その言葉を吐くことなく、留めておけたのは自分自身の罪意識でしょう。こうなったのは自分のせいだ。仕方がない。と。もしかしたらそんな境遇に置かれてもなお偉ぶってしまいたくなる自分に内心うんざりしていたかもしれません。賃金は決して高いものではありません。彼は、豚が食べている餌で自分の飢えを満たしたいと思うほどでした。

ある日、我に帰った息子は決心します。
「父のところには使用人でさえ私より豊かな生活だ。父のところに行こう。もう息子と呼ばれる資格はないが。頼んで雇い人の1人にしてもらおう。」

そうして息子は歩き始めます。家への道を。
後ろめたさもあったことでしょう。家が近づくにつれ、足取りは重く、鼓動が早くなるのを感じます。
怒られるだろうか。あんなことを言ってまで、もらったお金も使い切ってしまった。拒絶されるかもしれない。いや、されて当然なのかもしれない。
もう父の顔を見ることさえおこがましく感じてしまう。仕方がないこと。全て自分の責任なのだから。

ーー屋敷のいつもの部屋の、いつもの窓辺にもたれていた父親は、いつも見ていた景色に、いつもと違うものを見かけます。はるか遠くでした。それが人であるかそうでないかの区別などつかないほど遠くです。しかし父親にはそれがなんなのか。いや、誰なのかハッキリとわかっていました。使用人に慌ててなにかを指示したかと思うと、一目散にお屋敷を出ていきました。あまりの嬉しさに、上着を羽織ることも、靴を履くことも忘れてしまっているのではないかと思えるほどです。父親自身それを確認することなど意味を感じていません。確か10分後に大事なお客と商談の話をすることになっていた気もします。しかし目の前にあることの喜びは、他のものが褪せて見えなくなってしまうぐらい大きなものでした。

ーーようやく屋敷が見えるぐらいの位置に息子はいました。数ヶ月前には、振り向きもせず歩いた道を今は厭いながら、重い足を動かして屋敷へ向かいます。空腹も疲れもそして自分への自責感情も、とっくに限界を超えていました。
目の前が朦朧とします。そんな息子の目の前には肩で息をしながらこちらを見ている父親がいました。
息子は驚きました。すぐに謝ろう、言葉を切り出そうとした息子は不意に、強い力で父の懐に引き込まれていくのを感じます。父親の大きな体に優しく包まれます。暖かい腕の中。懐かしい父の匂い。かつて自分が当たり前にいた場所がどれほど暖かったのか思い出されます。
息子よ。よく帰ってきた。
優しい父の声に息子はようやく気がつきます。自分に注がれていた愛情がどれほど大きかったのか。それをどれだけ見ないようにしていただろうか。その愛に包まれることがどれほど、傷ついた心を癒し、安らぎを与え、明日を生きる力の源になるのかを。
ざわめく並木も今は静かに、ひっそりと立ち並んでいます。それは二人の涙を邪魔しないように。この感動にしばらく身を置いているようにも見えるかもしれません。

その日は屋敷中で、それは大きな宴会が開かれました。

その日から息子は別人のようになりました。自分が何者なのかを正しく知ったからです。よく働き、兄を支えて、たくましく、笑顔の素敵な青年になりました。
彼をそうさせたのは、変わらない父の愛でした。どんなにボロボロになってもいつも帰りを待っていた親の心が息子に届いたのです。

今度は息子が、他の誰かを愛することでしょう。自分が受けた愛を、同じように助けを必要としている人に。

おしまい

長い分でしたが読了感謝します。時々あげて行こうかなと思いますのでまた読んでくださいね笑😉
皆さんの心の支え、ポジティブな娯楽となりますように。
コロナウイルスの1日でも早い収束を願って
お祈りしています

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