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炎症性腸疾患(IBD)

みなさん、こんにちは。
今回は、当社が注目している病気の一つである炎症性腸疾患についてお話をしたいと思います。

炎症性腸疾患と聞いて、どのような病気をイメージされますでしょうか。
文字から腸に炎症が起きている、おなかが痛くなるなど想像できると思います。


炎症性腸疾患は、潰瘍性大腸炎とクローン病の総称

炎症性腸疾患は、英語ではInflammatory Bowel Diseaseと言い、一般にIBDと略されます。
炎症性腸疾患とは腸の粘膜に炎症を引き起こす病気の総称で、一般的には潰瘍性大腸炎とクローン病のことを指します。
そこで、今回は潰瘍性大腸炎とクローン病について少し詳しく解説します。


IBDは、潰瘍性大腸炎とクローン病の総称

潰瘍性大腸炎って何?

潰瘍性大腸炎は、英語でUlcerative colitis(UC)とも言います。
大腸の粘膜(もっとも内側の層)に慢性的な炎症が起きて潰瘍(粘膜が傷つき、炎症が酷くなった状態)や、びらん(粘膜がただれた状態)ができる病気です。

潰瘍性大腸炎は大腸粘膜に潰瘍やびらんが発生する難病

一度発症すると完治が難しいため、日本では難病として指定され、20万人近くの人がこの病気に悩まれています。特に若い年齢で発症することが多く、20~40代が発症のピークとなります。
故安倍晋三元内閣総理大臣や、タレントの若槻千夏さんもこの病気を発症されたのをご存知の方もいらっしゃるのではないかと思います。また、スポーツ選手にもこの病気と共存しながら競技をされている方も多くいらっしゃいます。

潰瘍性大腸炎の主な症状としては、以下が挙げられます。

  • 下痢

  • 腹痛

  • 血便等

  • 残便感等

進行すると発熱や体重減少、貧血や脱水が起こり、さらに進行すると関節や皮膚、目、心臓、膵臓にも影響が出てくる可能性があります。

潰瘍性大腸炎の原因は明らかとなっていませんが、食生活、腸内細菌、ストレス、免疫反応の異常などが考えられています。

ストレスも潰瘍性大腸炎の原因の一つ

治療は、炎症が治まって症状も落ち着く「寛解」の状態をいか維持するかを目指して行われます。

治療法としては外科治療、薬物療法、血球成分除去療法※1などがあり、患者さんの症状に合わせて医師が選択します。

※1:血球成分除去療法とは、炎症に関与していると考えられている白血球を血液から取り除くことで、炎症を落ち着かせる治療法

クローン先生が発見したクローン病

クローン病は、英語でChron's Disease(CD)とも言います。
クローンとは言っても、クローン人間やクローン羊のような遺伝子を操作してコピーを作るものではなく、病気を最初に報告したブリル・バーナード・クローン先生の名前に由来してます。

クローン病は遺伝子操作のクローンとは関係ありません

クローン病は、潰瘍性大腸炎と同様に難病として指定されており、4万5千人近くの人がこの病気に悩まされています。
特に10代~20代の若年者での発症が多く、男性と女性の比は約2:1と男性に多くみられます。アメリカの元大統領のアイゼンハワー氏もクローン病であったと言われています。

クローン病の主な症状としては、腹痛や下痢、発熱、体重減少が挙げられます。
潰瘍性大腸炎が主に大腸に炎症が生じるのに対して、クローン病は大腸や小腸だけでなく、口から肛門までの全ての消化管に炎症又は潰瘍などができてしまう病気です。
重症になると、腸に穴が開いたり、腸が狭くなったり、関節、目、肛門などの腸管以外の合併症も多く見られます。
潰瘍性大腸炎でよくみられる血便は、クローン病ではそれほど多くはありません。

クローン病の原因もまだ分かっていませんが、遺伝的素因や環境因子(食事、喫煙、衛生環境)が複雑に絡み合って免疫異常が引き起こされるためと考えられています。

治療は、潰瘍性大腸炎と同様に、「寛解」をいかに長くするかを目指して行われます。
治療法としては、外科治療、薬物療法、栄養療法、血球成分除去療法※1などがあり、患者さんの症状に合わせて医師が選択します。

※1:血球成分除去療法とは、炎症に関与していると考えられている白血球を血液から取り除くことで、炎症を落ち着かせる治療法

いくつかの機関が治療を目的に治癒材を開発中

炎症性腸疾患は慢性疾患であり、粘膜治癒により粘膜での炎症が認められない状態を維持することが重要です。

炎症性腸疾患に苦しんでいらっしゃる多くの患者さんのために、当社もその手助けとなる製品の開発を進めてまいります。