見通せない先行きを受け入れる:2024新年
かつては、1〜2年先なら技術の流れが見通せる気がした時代もあったが、現在はまったく違う。この新年はいわゆる生成AI系技術の変化が激しすぎて何も見通せない。私たちのソフトウェア開発の仕事がどうなっていくのか本の数ヶ月先さえ予想がつかないのである。状況が流動的すぎて「昨対比」みたいな過去からの線形外挿で計画を立てることが全く無意味だと感じる。
天気予報に始まってプロ野球の順位予想やら株価の動向やら、人は予測が大好きである。逆に予想がつかないと不安になるらしい。
だから、人々はわかりやすい処方箋や未来予想に飛びつく。分かりやすい言葉を聞いて安心したいのである。しかし、いくら分かりやすいからといって原理的に予測不能な状況において予測をしようとするのは愚かな行為である。なので、安易に分かりやすい予測や処方箋を出すを人は嘘つきや詐欺師かもしれない、と思っておいたほうが良いぐらいである。
昨今のIT技術の動向はまさに予測不能である。仕事上それではまずいとは思うが、物事の原理に逆って嘘をつくわけにもいかない。だから、予測にもとづいて計画を立てるという方法論を私は当面捨てることにした。今は異常事態。PDCA的世界観は諦めるほかないのだ。
ではどうするのか? ・・・それは各自で考えましょう、というオチでも全然良いと思う。だって、ここに私が何か書いたとして上記のような意味で詐欺かもしれませんよね?
とはいえ、それではあんまりなので、無保証の前提であることを強調した上で書いてみる。
当面、私のめざす行動方針は以下の通りである:
(1)基本的にトレンド予想に基づく計画は立てない。自分(自分たち)がやるべきと思うことを粛々と進める
(2)独自の「思想」と「物語」の強化(なぜ、どうしてそれをやるのか?それをどう語るのか?)
(3)PDCAではなくOODAループ的メンタルモデルで動く
(4)AIの表面的なトレンドやTIPSはナナメ読み程度に見ておく
(5)AIや機械学習の理論や数学/物理学など、より基礎的で長期的な知識に投資する
(6)いつでも方向転換できるマインドセットを持つ
(7)個人的には、ソフトウェア開発という仕事が消滅しても良いように準備する
(8)不安にならない。不安になったところで何の得もない。
直感の通りに勢いで書いたので、このリストはMECEになってないかもしれないし、粒度もまちまちな点はご容赦いただきたい。
しかし、大好きなソフトウェア開発という仕事が自分が生きている間に無くなるかもしれない、と予感したのはこの44年間で初めてのことである。もしそうなったら、とてもとても悲しいが、悲しんだところで現実は変わらない。なにか他のことをして生きていくしかない。手作りプログラミングは趣味として続けていくことになるだろう。
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