スカイリムプレイ日記~狩人ちゃん~ #90
こちらの続きです
子供たちを連れてリフテンのハニーサイドへやってきました。いずれはソリチュードに戻るつもりですが、しばらくはこの場所を拠点にしていきます。
子供たちは初対面のイリアさんと食卓を囲み、さすがに緊張している様子でしたが、少しずつ打ち解けている様子でした。
砦を訪れ、ライラさんとだべりながらリフテンについての歴史を学びました。
ライラさんが貸してくれた『十字ダガー:リフテンの歴史』という本によると、リフテンはかつてキャラバンやモロウウィンドとの貿易拠点として、無数の露店でタムリエル中の品が売られる商人の町として栄えていたそうです。しかし第四紀98年、”真空の夜”の混乱の中で当時の首長が暗殺され、『十字ダガーのホスガン』が首長の座に就きました。民衆の多くはホスガンを暗殺の首謀者と見て抗議しましたが、ホスガンは権力を使って抗議に集まった人々を一掃し、外出禁止命令を下したのです。違反者は法的手続きもなく即刻投獄、累犯者は処刑されました。
40年にもわたる恐怖政治と法外な課税、そして血税を使い贅の限りを尽くした城の建設。城は圧政の象徴として”ホスガンのフォリー”と呼ばれ、リフテンの通りはゴミと病気と飢えに苦しむ民衆で溢れたといいます。
その後の第四紀129年、民衆たちの我慢はついに限界に達し、衛兵を抑え込み、首長ともども”ホスガンのフォリー”を焼き払いました。
圧政の終わりと共に大勢の人の命が奪われ、街の大部分は廃墟と化してしまいました。リフテンがその後小さな町として立て直すまでには5年の歳月を要し、50年以上経った今でも完全には復興していません。
リフテンにそんな歴史があったとは知りませんでした。今も50年以上続く復興の最中にあるのですね。問題につぐ問題。その中で代々の首長たちは後世に向けて少しづつ礎を築き続けているのでしょう。
宮廷魔術師のウッドエルフ、ウィランドリアさんの部屋に伺いました。物忘れの激しいウィランドリアさんは、会話をしているとこちらがおかしくなりそうなほどの変わりものです。今まで会った人の中で順位をつけるとしたら、シェオゴラスの次くらいの位置につけるのではないでしょうか。
ウィランドリアさんは何か困りごとがあるようです。辛抱強く話を聞くと、普段から忘れものが多い重要な彼女の遺失物を回収してほしいということでした。
「私はよくものを忘れるのよ。想像つくでしょう。こんなに散らかしているし、ちゃんと片づける習慣をつけなきゃだめね」
「えーと。最後にドゥーマーの攪拌匙を使ったのは、イヴァルステッドに住んでいる友人ボティの家だったわ… たしかフェルスター農場って名前だった。オリハルコンのインゴットはウィンターホールドの宿屋”フローズン・ハース”。なぜそこに忘れていったのかは覚えてないわ。それから極大魂石だけど、ウィンドヘルムのホワイトファイアルって錬金術のお店に置いてきた。あれは良い取引だったわ」
ほとんど覚えのある場所です。忘れっぽいウィランドリアさんですが、忘れ物の心当たりは驚くほど具体的ですので、探すのは簡単そうですね。
イヴァルステッドの農場でドワーフの攪拌匙の入ったカバン。
ウィンターホールドの宿屋でオリハルコンのインゴット。
最後はウィンドヘルムの錬金術の店、ホワイトファイアルで大魂石を回収しました。
見事に忘れ去れていたかばんたち。なかなか苦労が多そうですね。
『氷の上の血』③解決編
アラネアさんとウィンドヘルムを歩くのは初めてなので、リフテンに帰る前にゆっくり観光することにしました。この街を脅かしていた『ブッチャー』事件の顛末、私の推理や犯人だった宮廷魔術師の逮捕劇を語りながら、石畳の道を歩いて行くと――
――アラネアさんがふと足をとめ、行先を指さしました。
「その、服を剥ぎ取られた若い女性の死体というのは…あのような?」
「え?」
なんと、あの墓場での死体と同じように、服を剥ぎ取られた女性の死体が転がっているではありませんか。
衛兵に駆け寄り話を聞きます。
「ここで何があったんですか?まさか、また殺人が?」
「ああ。ブッチャーはお前が捕らえたと思っていたが…」
「町はもう安全だって言ったな。どうしてこんなことが起きた?」
衛兵は恨みがましい目を向けてきます。返す言葉が見つかりません。正直言って、犯人が捕獲されたあの時、私の中にもたしかにかすかな違和感があったのです。
「…とにかく、殺人者はまだこの辺りにいるはずです」
「だろうな。ブラッドワークスに行って、ウーンファースと話すべきだ。どの時点で証言がおかしくなったか調べる必要がある」
大変なことになりました。ブッチャー事件はまだ解決していなかったのです。血の気が引いていく私を落ち着かせるよう、アラネアさんが冷静に確認をとってくれました。
「ウーンファースというのは、その王宮魔術師の名ね。ブラッドワークスというのは?」
「ウーンファースが入れられている監獄です。急ぎましょう」
王宮へ入り、兵舎から地下へ。
檻の中で佇むローブの老人。彼と会うのはあの日以来のことです。
「殺人者が再び現れました」
「ほう、そりゃ残念だ。にもかかわらず私はブラッドワークスにいる。どうやらお前は腕利きの捜査官ではないようだな」
過ちを振り返っている時間はありません。
「申し訳ありませんでした。本当の殺人者を探すのを手伝ってほしいのです」
ウーンファースは不思議そうに問いかけてきました。
「そもそもなぜ私の犯行だと思ったのだ?私も殺人犯を追っていたのだぞ」
そう、なぜ我々は彼を誤認逮捕してしまったのか。あの時私が集めた証拠を思い出します。
空き家で見つけたブッチャーの日記。死霊術の儀式の痕跡。怪しげなアミュレット。そして人々の証言――
「死霊術?いいか、若いの。私はウィンターホールド大学の名士だぞ!ギルドでは死霊術を何百年も禁じてきたのだ。日記も付けた事もない。誓ってもいい」
完全なる否定です。しかしこのアミュレットについてはどう説明するというのでしょう。王宮魔術師に受け継がれているというこのアミュレットこそ、彼の関与を裏付ける証拠ではないのでしょうか。
「そのアミュレットとはどんなものだ?」
私はアミュレットを取り出して見せました。ウーンファースさんははっと息をのみ、そして頷きました。
「よく知っている…いや、聞いたことはある。その彫刻はかつて頭蓋骨であったことは保証してもいい。それが死霊術死のアミュレットだ。伝説のな」
「お前の読みの半分は当たっていたわけだ。事件の核心には死霊術が関わっている」
「でも、これは王宮魔術師とは関係なく、あなたは死霊術師ではなかった…そうすると、カリクストさんの証言が間違っていたことに」
「ふむ…カリクストとその著作はその種の事で誤解されがちだ。よくある事だ」
いわゆる陰謀論者だったというわけですね。ろくに裏付けもせずに乗せられてしまった私の落ち度です。当然、最終的な責任は執政のヨルレイフさんにありますが。
「どうしましょう。このままでは犠牲者が出続けてしまいます」
「うむ。殺人が発生する時間のパターンを記録してきた。殺人がなんらかの死霊術の儀式に関わっている事が掴めた。次の事件がいつ起こるか分かると思う」
「さて、ラスト・シードのロレダスからハースファイアのミダスまで… まもなく起こるはずだ。すぐにでもな」
「明日の晩、石地区に張り込むんだ。殺人犯が次にそこで凶行に及ぶのはまず間違いない」
ウーンファースさんの助言に基づき、夜になったら石地区の見回りをすることになりました。夜になるまでの間、アラネアさんが興味をもっていた灰色地区の酒場で過ごすことにします。
ここにいるダークエルフはもともとアラネアさんと同じように200年前の”赤い年”、火山の大噴火をきっかけに故郷を失った難民たちです。
ストームクロークのお膝元で、タロス信仰が色濃く、ノルドの権力が強いこのウィンドヘルムでの生活は、ダークエルフたちにとって苦々しい迫害の歴史との隣り合わせでした。それでもこの地で根を張り生活を営むのは、過酷な状況を共に乗り越えてきた仲間たちの存在が大きいからなのでしょう。
そう考えると、ずっと孤独にアズラの見せる未来を見続けていたアラネアさんにはそれほど居心地のいいものでもなかったのか、夜になって客が増えてもずっとそわそわしている様子でした。
夜も更け、見回りの時間です。
灰色地区を出て石地区へ向かいます。
浮浪者のシルダさんにお金を渡し、身を守るため今夜は宿をとるよう説得しました。これだけ無防備でも襲われないところをみると、彼女はブッチャーの標的からは外れているのかもしれませんが、これで襲われてしまっては夢見が悪いので。
商業地区を抜けて墓地の方へ抜けようとすると、若い女性とすれ違いました。
宿屋のカウンターにいたエルダさんです。今頃仕事で忙しい時間のはずなのに、なぜこんなところにいるのでしょうか。そのままやり過ごそうかとも思いましたが、気になって後を追いました。
エルダさんの後をおって通りを抜けると、警告のため声をかける前に彼女の背後に誰かが立っていることに気が付きました。
一瞬のことでした。男は露店に向かって立っていたエルダさんの背後から彼女を斬りつけたのです。その素早く確実な一撃でエルダさんはこと切れました。一瞬の出来事でした。
犯人は駆けだした私に気が付き、そのまま逃走しました。エルダさんを確認するため行方を見失いましたが、行先には心当たりがあります。
ブッチャーの隠れ家となっていた空き家です。中は当然真っ暗闇。しかし抑えきれない息切れの気配がしました。
隠し部屋のあった部屋から飛び出し、襲い掛かってきたのは、骨董品店の店主、カリクスト・コリウムでした。彼の証言は誤っていたのではなく、ウーンファースさんに罪をなすりつけるため意図的に捏造されたものだったのです。
アラネアさんが召喚した氷の精霊の打撃を受けてもひるまず襲い掛かってきます。それでも暗闇の中で弓を引き、飛ばした矢が命中しました。
矢を受けて背後に倒れたカリクストは、氷の精霊に激突し、そのまま絶命しました。
真犯人を仕留めたその足で、執政のヨルレイフさんの元へ急ぎます。眠っていたヨルレイフさんをたたき起こし、怒られる前に真犯人とその死を告げました。
「自分の間違いを訂正してくれて、感謝する。ウーンファースをすぐに釈放しよう。この街に大きな貢献をしてくれたな、友よ」
ヨルレイフさんの部屋から出ると、釈放されたばかりのウーンファースさんと出くわしました。
「あの、ありがとうございました」
「ふん」
やはり誤認逮捕のことを怒っているらしく、私からは顔を背けましたが、アラネアさんを見止めるとぼそりとつぶやきました。
「…力はこの世の鍵だ。いくらだって身につけられるのだ、探し方さえ知っていればな」
アラネアさんにはその言葉に響くものがあったらしく、しばらくウーンファースと見つめ合い、その背中が階段の向こうに見えなくなるまで見送っていました。
ウルフリックに仕える王宮魔術師、ウィンターホールド大学の名士、死せる者ウーンファース…魔術師同志でなにか通じるものがあるのでしょう。
宮殿を出ると、衛兵たちから殺人事件の解決について称賛を得ました。多くの命を奪い、この街に恐怖を与えた殺人鬼をこの手で葬ることが出来たのだと実感します。
誤認逮捕がなければ二つの命は救えたのだと思うと口惜しいのですが…
カリクストの遺体から回収した鍵を使い、主のいなくなった骨董品屋を訪れました。ぼんやりとした蝋燭の光が静かに揺れています。
始めてここを訪れたときに見て回ったツアーの際にも説明を受けた”エンバーミング・ツール”が棚に飾られていました。
あの時、確かにここで目にしていたはずなのです。事件の後に死の間でヘルグリッドさんから凶器について話を聞いた時、そのことを思い出していたら――後悔しても仕方のないことだとはわかっていますが、命を奪われた女性たちのことを思うといたたまれない気持ちになります。
ふと、背後を振り返ると梯子がかけられていることに気が付きました。上って見たところ、意味ありげな宝箱が置かれています。鍵は家の扉と同じものでした。
中を開けると、凶器や儀式に使われたらしき大量のエンバーミング・ツールの数々とリネンラップ、鋼鉄のダガー、そして、日記を見つけました。
日記には彼が死霊術の世界に取り込まれてしまった理由のすべてが記されていました。
『愛しのルシーラ』……永遠に失った一人の人物を呼び戻すため、彼はあらゆる命からその断片を集め続けたのです。他の女性たちの人生を犠牲にして。
この部屋の真ん中で椅子に座り、コレクションの数々に囲まれながらじっと座っていた彼が待っていたのは、旅の客ではなく、獲物を狩るための夜闇だったのです。
そんな彼が開く運命の書には、いったいどんな物語が綴られていたのでしょうか。
リフテン
リフテンに戻り、ウィランドリアさんの元へ荷物を届けに行きました。
「あなたを知っているわ。どこで会ったんだろう?」
どうやら私のことも、私に依頼したこともすべて忘れてしまったようですが、頼まれていたものを見せるとぱっと顔を輝かせました。
「どうしてわかったのかは知らないけれど、次の実験をするのに、まさに必要なものよ。すばらしいわ!」
報酬としていただいた巻物を整理していると、あの奇妙なアミュレットをそのまま持ってきてしまったことに気が付きました。ウーンファースによれば、死霊術に限らず魔術師にとって非常に有効なアーティストという話だったので、アラネアさんにお渡しすることにしました。
ちょっと不気味なデザインにもかかわらず、「力を得るためなら気にしないわ」と喜んで身に着けてくれました。もう十分強いと思うのですが…向上心の強い人です。
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