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スカイリムプレイ日記~狩人ちゃん~ #60

こちらの続きです


『月明かりに照らされて』②解決編


ブローテッド・マンの洞窟

 シンディングを追って、ハーシーンが『聖域』と呼んでいた場所へやってきました。

この洞窟か…

 洞窟の中に入ると思いの他明るく、少し進むと焚火の灯りが見えました。そしてその傍で血を流しながら息も絶え絶えなカジートの姿も確認できました。

おや?

「紅血の月に呼ばれてきたのか、狩人の同志よ」
 どうやら彼もハーシーンによってシンディング狩りに召集された狩人のようです。
「あの獲物はてごわい。狩人達よりも強い。奴を倒せ、ハーシーンの栄光のために」
 そう言い残し、カジートの狩人は息を引き取りました。

やるしかないか…

 辺りを見回すとキャンプは血の海。シンディングによって引き裂かれた遺体があちらこちらに倒れていました。
 シンディング…彼はとことん生きるつもりでいるのですね。少女を殺してしまったことは後悔していましたが、それでも彼は呪われたウェアウルフとして生き続けることを選んだ。
 人々に犬歯をむける獣そのものと化した彼に対し、狩人の私がなすべきことはひとつです。

むむ…

 滝が流れ、大樹が茂る美しい洞窟は広く、天井を見上げると空が見えました。洞窟の中とは思えないその光景はキナレスの聖域を思い起こし、ここが自然の力だけではない何かで作り上げられ守られた場所だとわかります。外では見えなかった赤い月が私を照らし、不穏な空気がゆらめいていました。

 視線の先、大きな岩の上で、一匹のウェアウルフがこちらを見下ろしていました。

シンディング…

「お前は…!また会うとは思わなかったよ」
 シンディングは私の姿を見て驚いたようです。
「あなたを殺すよう頼まれてきました」
 シンディングは激高するでもなく、「当然の報いと言うわけだな」とつぶやきました。

「それが望みなら、俺には止めようがない。ハーシーンはあまりにも強大だ。だが見逃してくれるなら、あんたの心強い味方になれる。そして、文明社会には二度と戻らないと約束しよう」
 彼を見逃す…?思わぬ取引の提示に驚いていると、彼は「皆に混じって暮らすことはできないと分かっているからな」と言いました。
 それはそうでしょう。彼は自分でも変身をコントロールできず、実際に幼く罪のない少女を無残に殺したウェアウルフなのです。社会に適応できる、できないという問題ではありません。呪いを解かない限り、いくら姿を隠そうが彼と力なきものが遭遇したら最後、ウェアウルフにとっての獲物として狩られてしまうのです。
 ファルクリースの墓地でみた夫婦の深い悲しみ、そして愛しいドルテの笑顔が脳裏をよぎります。
 
 一度は同情してしまった相手ではありますが、やはり私は彼の罪からの逃避を許すことができません。たとえそれがいつか同じウェアウルフである私の身に起こるかもしれないことだとしても、です。

「あなたはこれ以上逃れられません…死んでもらいます」
 そう伝えると、シンディングは
「そうするんだな」
 とだけ言い残し、こちらに背を向け立ち去りました。

また逃げたか

 シンディングが消えた方角を追っていくと、誰かと戦っている姿が見えました。おそらく彼も送り込まれたハンターなのでしょう。

やってるな

 獲物を横取りされてしまっては、この指輪の呪いは解けません。シンディングに狙いを定めて弓を引きます。巨大なウェアウルフはオークの2発で体を硬直させ、うめき声をあげてその場に倒れました。

やったか…

 先にシンディングを襲っていた狩人は剣を治め、私がシンディングの皮を剥ぐのを黙って見守ってくれました。
 そう、これはハーシーンによる狩猟のゲーム。どのような状況でも先に獲物を仕留めた者が勝ちなのです。

すまんね

 皮を剥ぎ終わると同時に、人間の姿をしたシンディングが白い光を放ち私の真横に立っていました。驚いて振り向いた私に、
「よくやったぞ、狩人よ」
 そう声をかける男は、ハーシーンの化身なのでした。

お前かい

「言われた通りにしただけです」
「気に入ったぞ。その皮が役に立つであろう、小さな勇者よ。もっと近くから見てみろ。私の栄光によって、お前はこの世のあらゆる不満から守られるのだ」
 ハーシーンがそう言うと、抜けなかった指輪とシンディングの皮が消え、見事な毛皮の鎧が現れました。
「よい狩りを…」

消えた

 赤い月は消え、いつの間にか他の狩人もいなくなっていて、静かな森の中で苦痛に表情を歪ませたシンディングの遺体が転がっていました。

結局ウェアウルフとして死んだのですね

 彼の魂は今頃ハーシーンの聖域、ハンティング・グラウンドで永遠の狩りを強いられていることでしょう。
 そしていずれ私の魂もそこへ行くのです。そう、ウェアウルフでいる限り――

行きましょうか…

 なんだか憂鬱な気持ちになってしまいましたが、ハーシーンからもらった皮鎧は非常に性能がよく、これから重宝しそうです。しばらく古き神々の鎧を着ていましたが、さっそく着替えました。

ひゃっほー

 とてもいい感じです。お腹も隠れたので冷えの心配も少し緩和されました。

ええやん!

 自宅に帰るとドルテが明るく出迎えてくれ、プレゼントまで贈ってくれました。私が留守にしている間に用意してくれていたようです。愛しい娘の笑顔に、気持ちも明るくなります。やはり守るべきはこの笑顔。何より大切なものです。これを忘れないようにしなければ――

ありがとう!

 自室でデイドラ全書を開き、ハーシーンの項を確認しました。「狩人」「獣人の祖」…まさに私とは切ってもきれない関係にあります。

うーむ

 だからといって、このままでいいのでしょうか?
 特に深い考えもなくウェアウルフになってしまった私でしたが、今回の事件を通して自分の獣としての血を受け入れられなくなっていました。
 もしかしたらいつか私もシンディングのように――そう思うと獣の血によって眠れない夜がよけいに寝苦しく、長くつらいものへとなっていくのでした。

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