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スカイリムプレイ日記~狩人ちゃん~ #73

こちらの続きです


リフテン観光②


プラザ

 酒場を出ると、市内の中心地には屋台らしきものが集まっている広場がありました。野菜売りが元気よく呼び込みをしています。

意外と活気があるな

 広場に近づいていくと、赤毛のノルド男性に話しかけられました。
「まともな手段で金を稼いだ事は一度もないんじゃないか、小娘よ?」

ああ?

 失礼な。スキーヴァ―からから悪漢、ドラゴンまで、人に害するものであればなんでも狩るだけで、こちとらまっとうな狩人としてやっています。
 男は私の鎧を見ながら言います。
「金を持っているようだが、その一枚も真っ当に得たものじゃないだろうと言ったんだ。分かるのさ」
「む」
 それを言われれば確かに、これはウェアウルフの毛皮を使ってデイドラ王ハーシーンから授かったもの。真っ当に手に入れたものではないと言われれば、否定は難しい。
「そうだとしてもあなたの知ったことではありません」
「それが間違いなんだよ、小娘。金銭こそが俺の生業だ。何なら仕事を味わってみるか?」
「仕事?どういうことですか?」
「やらなきゃならん仕事があるんだが、手助けが要る。そして俺の職業において、手助けっていうのは良い金になるんだ」
 どうやらリクルートのようです。手助けはまさに私のライフワーク。話を聞いてみましょう。
「簡単なことさ…俺が騒ぎを起こしている間に、マデシの店の下にある金庫から銀の指輪を盗むんだ。そしてそいつを手に入れたら、ブラン・シェイに気づかれないよう、奴のポケットに置いて来い」
 なんと、窃盗に冤罪なすりつけ。犯罪の仕事です。
「法律を破る?冗談でしょう?」
 正直にいえば今まで不法侵入や窃盗を働いたこともありますが、それらはすべて誰かのためにやむを得ずしてきたことです。ただ金のために盗みを働き、しかも誰かを嵌めるだなんて。

 私の顔をみた男は、さっと顔色を変えました。
「すまんな。普段はこういった事に鼻が利くんだが…今のは忘れてくれ、小娘。気が変わったら、俺を探しに来い」

むむ。

 さすがリフテンです。昼日中に街を歩いているだけで犯罪者からリクルートされるとは。

 気を取り直して店を見て回ります。
 タムリエルに残っている数少ない『サクスリール』の伝統的な宝石職人、マデシさんと出会いました。『サクスリール』というのはアルゴニアンが自身の種族を指し示す言葉なのだと教えてくれました。

「悲しいことに、こうした伝統の技術は失われつつある」
「それはもったいないですね」
 製作に必要な材料を持ってきてくれたら報酬をくれるというので、集めてくることを約束しました。
「景気はどうですか?」
「あまりよくないね。ブルニョルフめ…奴は奇跡の治療薬とかいう胡散臭いもので、人々から金を巻き上げているんだ。だが、打つ手はない。奴は盗賊ギルドと繋がりがあるらしいからな」
 よくよく聞くとそのブリニョルフというのは私に窃盗の仕事をさせようとした男と同一人物でした。商売人としても信用ならない男です。
 そういえば、お話し好きのモールさんが「盗賊ギルドに入りたければ市場でブルニョルフを探せ」と言っていたことを思い出しました。ああやってギルドの人材を探しているのかもしれません。関わらないようにしましょう。

 次はダークエルフのブラン・シェイさんのお店へやってきました。彼はブルニョルフの策略によって冤罪をかけられそうになっていた人です。
 気になったのはその名前。ダークエルフにしては変わったお名前です。
「今でも理由を調べているんだが、どういうわけか孤児になったらしい。そのあと、ブラック・マーシュに住む親切なアルゴニアンの一家に引き取られたんだ。かつて自分の身に何が起こったのか、いつか明らかにしたいと思っているよ」

へー

 たしかにそれは気になりますね。
「何か手掛かりはあったのですか?」
「ひとつだけ。アルゴニアンの父に拾われた時、テルヴァン二家の紋章が縫い付けられた毛布にくるまれていたそうだ」
 テルヴァンニ家は昔モロウウィンドでも有数の名家のひとつだったそうです。ブランさんがその血筋であるとは限りませんが、重要な手掛かりになりそうですね。
「もし手掛かりを旅の途中で見つけたら、ぜひ教えてほしい」
「わかりました。でも、なぜモロウウィンドではなく、このスカイリムで調べていたんですか?」
「テルヴァンニ家に昔仕えていた使用人のひとりが、継承戦争中にモロウウィンドを逃げ出したという事実を突き止めたんだ。記録によれば、”プライド・オブ・テル・ヴォス”という名前の船の乗船券を買ったようだ。しかしそこまでで消息は途切れてしまった」

ほー

 なんだか初めて聞く名称を色々耳にして混乱しそうです。しかしここまで聞いてしまうと、その使用人の行方が気になって仕方ありません。
 機会をみつけてその船についても調べてみましょう。

オナーホール孤児院

 ここがモールさんの話に出てきたオナーホール孤児院ですか。なんだか陰鬱した雰囲気です。

日当たり悪いなぁ

 中に入ると、苛ついた老婆の声が玄関まで聞こえてきました。
「仕事を怠ける者はもっと痛い目に遭うよ。分かったかい!?」
「うん、グレロッド」
 子供たちは生気のない声で決められているのだろう返事を口にします。

 グレロッドは子供たちに罵声を浴びせ、養子を拒否する旨の発言を残し部屋を後にしました。子供たちは感情のない声で「みんな君が大好きだよ、グレロッド。親切にしてくれてありがとう」と言います。
 なんという光景でしょうか。

 少年に声をかけると、すがるような顔で「お願い、ここから連れ出して」と頼んできました。
「アベンタスがいなくなってから、グレロッドがいつもよりもっと意地悪になったんだ。僕らの誰かを殺す気なんだ、本当だよ」

むむ

 子供たちが自分の命の危険を感じるほどの劣悪な環境。こんな状態を放置しているなんて、この街の首長は一体何を考えているのでしょうか。

 ところで、彼が口にした名前が気になりました。
「アベンタスの事を知っているんだね」
「アベンタス・アレティノのこと?少しの間しかここにはいなかったよ。」
 少年はアベンタスについて知っていることを教えてくれました。母親が病気になって亡くなったらしいこと。ここを逃げ出したこと。ウィンドヘルムに帰って、何か闇の儀式をしているらしいこと。それもグレロッドを殺すための人殺しを呼び出そうとしているのだとか。

アベンタス…

 噂には聞いていましたが、闇の儀式で代理殺人にすがるほどここで苦しい目に遭った子供がウィンドヘルムにいる。まだ会えていませんが、彼に話を聞かなくてはいけないですね。そしてこの孤児院もなんとかしなくては。

 下働きの女性に話を聞きますが、彼女も子供たちに同情しながらもどうしようもできない、と首を振りました。

 この街ではみんなが「おかしい」とわかっていながらも、悪人たちの巻いた鎖の中でがんじがらめになって黙っているように見えます。声をあげればそれ以上の報復が待っていることを知っているからでしょう。

ミストヴェイル砦

 政治の拠点、ミストヴェイル砦にやってきました。
 リフテンのこの現状には絶望感すら覚えますが、首長も領土を立て直すために大変な苦労をしているに違いありません。私に手伝えることがあるかもしれません。

 玉座に座るのは首長『ライラ・ロー・ギバー』と、執政のウッドエルフ『アヌリエル』です。こんな真横に椅子を並べる執政は珍しいな、と思いながら、首長に挨拶をしました。
 ライラさんは戦争における立ち位置を聞くと、真摯に答えてくれました。
「ウルフリックの大義はもっともだと思うけど、リフトの人々のことが心配だわ。ただでさえ生活が貧しいのに、頭上に暗雲が立ち込める状態で暮らすなんてあんまりじゃない?彼らには同情を禁じ得ないわ。財源に余裕があれば、自分の家族同様に守ってやれるのに」
 どこか他人事のようにも聞こえます。その財源をなんとかするのが首長の仕事ではないのでしょうか?

セレブの世間話か?

「ストームクロークの後ろ盾で、ウルフリックはスカイリムから帝国軍を排除して、白金協定の私たちへの関与をなかった事にしようとしてるわ。この大義のために戦って大勢が命を落としたわ。これから先何年も、この土地は血で汚され続けるんじゃないかしら」 
「白金協定?」
「帝国と、アルドメリ自治領と名乗るエルフとの大戦のことは当然知ってるわね?」
 ライラさんが親切に教えてくれたところによれば、白金協定とは終戦とともに帝国とアルドメリ自治領の間に締結された協定を指し、もともとは帝国の平和を確立するために作られたものでした。しかしその協定のひとつにタロス崇拝を違法とするものが盛り込まれており、それを飲んだ帝国に対してストームクロークは真のノルドの忠義に値しないと認識したのです。

ふむふむ

 白金協定――これがスカイリムにおける内乱の発端というわけですね。もともとアルドメリ自治領に対し帝国の一部として戦っていたノルドが、敗戦により自分たちのアイデンティティといえる信仰を封じられることになり、その弾圧を許容とした帝国に対して怒りを覚えるのは当然のことでしょう。
 もちろん信仰よりも優先すべきものがあるとして帝国に従うノルドもいます。結果としてソリチュードで起きた上級王とウルフリックの決闘のように、ノルド同志が対立し、戦争により憎しみの連鎖がどんどん根深くなっている現状。おそらくどこかで決着がつくとしても、さらなる流血は免れないでしょう。

 それはそうとして、足元のリフテンについてはどう考えているのでしょうか。この街の最も大きな闇といえる盗賊ギルドについて尋ねてみると、ライラさんはなぜか余裕そうな顔で言います。
「奴らが裁きにかけられる日が待ち遠しいわ。メイビン・ブラック・ブライアは、しかるべき対応をとるって断言したけど」

は?

 耳を疑います。
「メイビンが?」
「この街で最も影響力のある市民として、彼女は奴らを投獄する全責任を引き受けたのよ。残念ながら、巧みに姿をくらませてるわ。メイビンは、奴らを街から追い出すまであきらめないはず。私にはわかるの」
 何がわかると?
 恐ろしいのは、これらの妄言を本気で言っているように見えることです。メイビン・ブラック・ブライアが首長にギルド討伐を誓っている?自分の都合に合わせて都合よく使う、どころか、噂では親玉に近いように感じましたが。
 どうやらこの首長は致命的に無能のようです。あきれ果てました。この様子ではオナーホール孤児院の現状にもなんの関心もないことでしょう。がっかりです。

 隣にいる執政、アヌリエルさんにも話を聞きます。
「首長は街のために何もしていないって信じている人たちがいるの…汚職がはびこって、ブラック・ブライア家が牛耳っているって」
 実際メイビン・ブラック・ブライア本人がそんなことを言っていましたが。
「ちっともそんなことはないのよ。町はきちんと治められているんだから」

おいおいおい

 高度なギャグでしょうか。孤児院の鬼の老婆グレロッドをあえて「親切なグレロッド」と呼ぶような。
 呆れながらも確認します。
「ブラック・ブライア家はとても強い影響力を持っているようですね」
「メイビン・ブラック・ブライアはスカイリム最大でいちばん利益を上げているブラック・ブライアのハチミツ酒醸造所のオーナーよ。彼女がリフテンに来てくれてよかったわ。この街に安定、雇用機会、そして戦略的価値をもたらしてくれるんだから」
 戦略的価値…?

 アヌリエルさんにも盗賊ギルドについて聞いてみました。
「実際、彼らは脅威とはとても言えないわ。それよりも、資金は侵略対策に使うべきよ」
 たしかに戦時下においてそのような判断もありかとは思いますが、盗賊ギルドを好きにさせておくことが健全な市民生活に影を落としているとしか思えません。この人たちはこの椅子から立って外に出歩いたことはあるのでしょうか?そう思ってしまうくらい街の状況から隔絶されていて、まるで監獄かのようです。

 リフテンの抱える状況は想像以上に深刻です。リフト要塞は政治がほぼ機能していません。それでも市民たちはたくましく生きているように見えますが…淘汰され、すぐそこにある悪に飲み込まれる子供たちも多いでしょう。
 私に何ができるだろうか…考えながらミストヴェイル砦を後にしました。

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