スカイリムプレイ日記~狩人ちゃん~ #23
こちらの続きです
『思い出の夜』
無事ポテマを倒し、ソリチュードで謝礼を賜った私ですが、まだ解決できていない問題を抱えていました。あの夜のことです。
ドラゴンブリッジで記憶を失った私が、マルカルスのディベラ聖堂だけではなくホワイトランのイソルダさんにも迷惑をかけていたことがわかりました。頭がおかしくなりそうです。早くサムを見つけ、あの夜の謎をすべて解かなくてはなりません。
そういうわけで、イソルダさんに教えてもらったモルブンスカーにやってきました。私がここで結婚式を挙げるとのたまっていたらしい場所です。確信はありませんが、ここに来ればサムに会えるような気がするのです。
来てみると、ここは邪悪なコンジュ―ラーの住処となっており、侵入者の私を全力で抹消しにかかってきました。こちらも退却するわけにはいかないのでしっかり倒していきます。
よくある魔術師の砦のようですが、異様なのはそこらじゅうに空のワインボトルが転がっていることです。かなり飲んだくれな一味とみてとれます。
暗く湿って酒臭い中を進んでいくと、一角に異様な球状の霧が現れました。あまりにもおかしな光景にも関わらず、なぜかその中に吸い寄せられてしまいます。
べノアさんの止める声が遠くなり、気が付くと――
私は一人、霧のたちこめる不思議な森の中に立っていました。
べノアさんの姿もありません。森の中には大きな岩と小川が流れており、木の橋がかかっています。水の底から見上げる水面のような不思議な空、むせかえるようなミスト、そしてそこらじゅうにかけられたランタンと、蛍のほのかな灯り、いずれもがとても幻想的で美しい光景です。
ここが現実に存在する場所とは思えません。私は出口を探して橋を渡り、岩を登ります。やがて人の気配がしました。
「来たか!もうだめかと思い始めてたところだったよ」
サムです!この男こそ、あの夜ドラゴンブリッジで飲み比べをした男です。
大きなテーブルに酒と肴。そこは楽し気な宴会の最中でした。
「ここはどこなんです?」
「初めてここに来たことは、やはり忘れていたか。大変な夜だったな」
「なんのことだかさっぱり……あ、このメモに書いてあったもの、全部持ってきましたよ」
「おお、ハグレイブンの羽、そのほか色々だな。出して見せてくれ…どれどれ」
私が渡した素材を手に取った瞬間、サムは着ていたローブを脱ぎ去りました。そこに立っていたのはサムではなく、角が生えた、人ならざる者でした。
「さぁ、約束の杖だ」
驚きのあまり渡された杖を持ったまま動けずにいると、サムだった者は腰に手を当ててこちらを見下ろすようにして言いました。
「何を見ている?」
「いやいや、あなた、誰ですか?」
「放蕩を司るデイドラの王子、サングインだ」
「嘘をつけると思うか?やはり酒がないと信頼は生まれないな。」
飲みニケーションは死語ですよ…
「なぜ私にこの杖を?」
「正直に言うといつもは深く考えたりしない。だが…旅をしとるんだろ?すぐにわかったぞ。この神聖とはいえない杖を持つのに相応しい奴だとな。お前のおじであるサングインが、今後の旅を助けてやれるだろう」
おじって。酒の席でデイドラの王子とそこまで仲良くなってしまってたなんて。
「なにがなんだか…でも、ありがとうございます」
「気にするな。もう行ったらどうだ?杖を持ったお前を閉じ込めても、つまらんからな」
サングインさんが違づいてきて私の前に手をかざしました。すると目の前が真っ暗になり、次の瞬間には――
ドラゴンブリッジの宿屋でした。サム、と名乗る男の姿に化けたサングインさんと飲み比べをした、あの宿屋。もちろんそこには店主のファイダさん以外誰もいません。べノアさんも、サングインさんも。
しかし、手にはゴブレットではなく、サングインさんからもらった杖をしっかりと握っていました。やはり夢ではなかったのです。
外に出ると、霧につつまれたドラゴンブリッジが見えました。
失われた夜を追いかけて、忘れられない夜を得てしまいました。不思議な杖を授けてくれたデイドラの王子…再び会える日は来るのでしょうか。
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