Cs セシウム

「三体」についての投稿をしています。

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「三体」を読み終えたあなたへ

※三体シリーズ第一巻「三体」のネタバレを含みます。まだ読了されていない方は、本稿を読まないことをお勧めします。 愛の優先 葉文潔と1379号監視員はそれぞれ愛と理性を天秤にかけ、愛を選択した。4光年の距離に隔たれた両者がとった選択は、奇しくも同じであった。それはすなわち、母星文明への裏切り。 文化大革命の最中 父を紅衛兵に大衆の前で惨殺された葉文潔は、人類に絶望した。そして、大興安嶺で「沈黙の春」を読み人類の悪に対して理性的に考えることになる。文潔にとっては当たり前のこ

    • 「三体」をまだ読んでないあなたへ

      「三体」は愛と理性、民主主義と権威主義、資本主義と共産主義、個人主義と全体主義、ロマンティシズムとリアリズムの対立の物語だ。 作中、登場人物は幾度となくどちらかの決断を迫られる。そして、その決断の根底には一貫して科学主義が存在する。 「三体」に関して何の知識も無いのなら、今すぐ小説を手に取って読み始めてほしい。日本小説とは違うどこか淡々とした雰囲気、それでいて情緒豊かに伝わってくる登場人物の心情、目を閉じなくても広がる三体の世界。 壮大なスケールで語られる物語は、日常生活の

    「三体」を読み終えたあなたへ