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①⑥『白獅子夢物語』

♰16 礼拝堂。

夕食は遠慮してそのままノヴァさんに案内された部屋は、テレビで紹介されていた三ツ星ホテルのスイートルームのようだった。
 扉を開けてすぐにあるリビングは、クロードくんのお屋敷で使わせてもらった客室の広さはある。
 そこに金の装飾のソファが二つ、ソファチェアも二つ、硝子のコーヒーテーブルが中央に置かれていた。
 壁際に湖の絵画が飾っていて、長い白のチェストには大きく咲き誇る赤い花が高そうな花瓶とともに置いてある。
 入って右側の方に扉があって、その向こうはリビングと同じぐらい広いベッドルームがあった。
壁際の中央に置かれた天蓋付きのベッドは、シングルベッドの三倍はありそう。俗に言うキングサイズのベッドかな。白いベールがかかって、お姫様のベッドみたい。
 ベッドルームを入って右側の扉の向こうにはバスルームがあるらしく、ノヴァさんは「着替えは用意してある」とだけ指差す。

「俺は、このリビングに……待機する。用があれば……何なりと……」

 ノヴァさんはぼんやりした声で途切れ途切れに短く言うと、ベッドルームの扉を閉じようとした。
「あ、あの」と慌てて口を開く。
 扉を閉めかけたノヴァさんは、止まるとあたしを見た。じっと見つめてくるノヴァさんに、なんて訊けばいいかわからず、間が空いてしまう。

「……気にしなくていい」

 ノヴァさんから口を開く。

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