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⑦『白獅子夢物語』

♰07 弱肉強食。

翌日、太陽が見当たらない明るい空の下を進んで、あたしはジャングルで果物を集めていた。
 あの白い男の人の約束を果たすために、マンゴーもとっておく。
 散策していたらココナッツも見付けたから、とることにした。
 でもココナッツの木は、マンゴーの木ほど高くはないけど、それでもたった一本で空に伸びる木にどうやってよじ登り実をとればいいかわからず、立ち尽くす。

「蹴ったら落ちてくるよね……危なすぎる。あの実はね、ジュースにもなるんだぁ。でもあたしは器が欲しいんだよね、擂り潰すにいいし、フルーツいっぱい入れて堪能しよう!」

 隣に立ってあたしが行動するのを待っているレオに教えておく。
 あ、木に落ちないように見張っているのかな。

「レオくんも食べてみて。お肉ばっか食べてちゃ、ぶにょぶにょになるよ」

 笑って言ったら、レオが目を細めた。
 冗談なのに、レオは身を低くして唸る。
 敵意に震え上がるけれど、レオが睨んでいる先はあたしではないと気付く。
 ぞわぞわと、背中に恐怖が駆け巡る。レオに怒られた時並みの恐怖を覚えた。
 振り返れば様々な形の葉の茂みの向こうに、猛獣。
 息を潜めているが、レオがもう気付いているから、威圧感を隠していない。
 ザ、と出てきたのは、レオの二倍は大きな大きな虎。剥き出した犬歯は、二十センチも長い。
 あれは、あれだ。えっとなんだっけ。名前が出ない。

「ガルルッ!」
「ガオウッ!」

 レオが唸り、虎が吠えた。
 一触即発とはこのことを言う!?

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