見出し画像

①①『白獅子夢物語』

♰11 戯れ。


 ちゃんと戻ってきた記憶はないけれど、目を開けばまた白い幹の木の下に横たわっていた。
 若葉色の木の葉の隙間から陽射しがキラキラしている。
 湿った草のベッドの上。そしてレオの添い寝。ここが一番よく眠れる。
 起き上がって背伸びをすた。
「おはよう、レオ」とあたしは笑いかけて背中を撫でる。
 すると目を開いたレオは立ち上がると、あたしに頬擦りをしてきた。
 彼の大きな顔が動かす度に、鬣が触れる。
 あ、あれ、おかしいな。レオはずっと鬣に触らせなかったのに、自分から擦り寄せてくる。
 なにこれ、なにこれ。
 も、もしかしてレオも寂しかったんだ? 寂しかったんだね!
 あたしも鬣に頬擦りをした。とてもふさふさしている。気持ちいい。
 もふもふだ、もふもふー。待ち焦がれたもふもふー。
 レオの首にギュッと抱き付いてもふもふに埋まっていれば、ゴロゴロと喉を鳴らし始めた。
 やだ猫みたい、可愛すぎる!
 寂しすぎてレオくんデレてるんだね、デレてるんだね!
 口にしたらきっとご機嫌ななめになるから、黙ってレオとじゃれた。
 嬉しいな。あたしが戻るのを、きっと待っていてくれたんだ。
 もう一度ギュッと抱き付いた。
 レオはあたしの首に顔を埋めていたけれど、何故か首筋をペロリと生温かい舌で舐めてきたから「うひゃあ!」と飛び上がる。
 ビックリしたなぁもう!

ここから先は

4,058字

¥ 100

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?