「娑婆に出る」vol.3
社会人生活1年目、いきなり参画プロジェクト解散の憂き目にあったところまで前回書きました。
つい先日まで「hello!さん、●●(欧州の国名)にそのうち行ってもらうよ!」と笑顔で調子いいことばかり言っていたMKさんでしたが、その日を境に特段の会話もなくなってしまいました。
イレギュラーな配属後のスタートになったため、ゼロクリアで既に出遅れ感満載です。宙ぶらりんの日々が続き、その後本来の技術開発部署で何らか開発テーマを割り振られたように思いましたが、「あれだったかなぁ」という感じで今となっては記憶にあまり残っていません。
そして、この辺りで体調を崩します。腹痛を連日訴えたりと、とにかくなんか調子が悪く、自分でも原因すらわからないまま有給を使って寮の部屋にこもる日まで出てきました。
そして「さすがにこれはマズい......」と近所の総合病院に駆け込みました(この辺の瞬発力だけはかろうじてまだ残っていたのです)。
そして、こう告げました。
どこが悪いのかわからないので全身くまなく診てください!
ちゃんと受診項目を突き合せた訳ではないので何とも言えないのですが、人間ドック並みかそれ以上だったはずです。
確かケツの穴からチューブ(内視鏡?)を突っ込まれましたから。さすがに人間ドックですらそこまでやらんぞ。。。
婦長さんがニヤニヤしながら(本人はそのつもりはないのでしょうが、そうとしか見えない!)「もうちょっと我慢してくださーい」と局部を凝視しながら突っ込んでいた残像が甦ります。若干誇張している気もしますが、それくらい屈辱的な状況だった訳です。
まあ、二十歳ちょいの青年が局部丸出しでいじりたい放題な訳ですから不惑付近の女性がニヤケるのも分かる気がします。。。。。。。
(世の女性陣を今敵に回した気が。。いえあの、これ事実なんです。脚色していませんから。。。)
で、当たり前なのですが「全身まったく異常なし」という所見。ほなどうすんねん、、、といったときに、そっち系のクリニックも受診してはと助言されたような気がします。
あのとき受診したんだったかどうだったかこれまた記憶が曖昧なのですが、いずれにせよだましだまし会社に通いながら、ある時は更にずいぶんディープに落ち込んだこともありましたねー。。
結局は後に妻になる彼女のアドバイスも得て、ちゃんと医者で診ていただいて以前の自分を取り戻しました。
それはそうと本業に戻りますが、技術開発って本当に難しいんですよね。機械工学、電気・電子工学といった実務系バックグラウンドのない環境工学(しいて言えば土木系)出身の人間ってプラントメーカーでは即戦力としての取柄が(ほぼ)ないんですよね。マインドが「環境寄り」というくらいで、これといった武器がない。
今考えると、であればそういう素養のある人達を如何に巻きこめるか、ということに尽きます。
当時は「ゼロイチ」なんて言葉はなかったですが、「こういうものがあったらいい!」という気付き・アイデアや「あれはどうしてあんな風になっているんだ?非効率じゃないか!」という疑問などに対する鋭敏なアンテナ(感度・感性)があり、そういうものをトリガーにして情熱をもって打ち込めば開発テーマなんていくらでも出てくるんですよね。
確かに自社・他社製品は必要であるから作られ、お買上げいただいているのですが、製品そのものを勉強しているだけではダメなのです。
「なぜこの装置・システムなのか」、「もっと効率よく、コンパクトにできないのか」、「そうすると新たな機構・機能を追加できるのではないか」、「そもそもこれらとはまったく異なる解決策はないのか」といった世の中の常識を疑って考えることを習慣づけろと、もし仮に今私が当時の私の上司であったら真っ先に伝えたい、そう思います。
ですので、私が所属していた課は「花形部署」と称されていた一方で、「現場のことすら知らないヤツがでかい顔をしている」という悪評も計画部隊(基本設計~現場の運用を担当)」から受けているとも聞きました(異論の余地まったくなし)。実際「結果」すなわち「売れる商品」をつくっていたのは新副部長Mさん、新課長Nさんくらいでした。そこで一年坊主が会社人生に絶望してもしょうがないのですが、まあとにかく一年目は仕事面ではロクな成果を出せなかったですね。成果が出たといえば入社早々に彼女ができたことくらいでしょうか(笑)。
まあ、なんもかんもうまく行ったら人生なんて全然おもしろくないですよ。
とりあえず、社内・同期の中で一定のポジションを得て、プライベートの充実が図られた、と。
今や、大学生で起業する人もたくさんおられる中でかっこ悪い話ですが、人間には「旬」というものがあります。人生のピークをどこに持っていくか、それをどこまで維持・発展させていくことができるか。当時の私にはそんな高尚なことなんてまったく考えられませんでしたが(苦笑......)。
とまあ、当初想定からするとかなりの「下方修正」を強いられましたが、「今の実力(=底)」がわかったので、これを上げていくことを考えるのみ!
そんな宙ぶらりんな一年間を送りながら、気付けば社会人二年目に突入していました。いよいよ後輩達が入ってきます、すなわち「先輩」になります。ドキドキ!
(続く)
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