人生いろいろ⑪ 青春篇(バイト小噺)

前回は、お好み焼き屋バイト夜逃げ事件(給料不払い事件)を書きました。
まあ、大学バイトの一発目としては非常に懲りた一件でして、確か丸二ヶ月分無給とかそんな感じになってしまいました。
今の私ならその経営者を再起不能まで追い込めますが(半年後にお邪魔したら店名を変えて何食わぬ顔で営業再開してました。。。)、まあ無駄に労力をかけるより未来投資していきます。

という訳で、そのときに強く思ったのは「ちゃんとお給料をいただける仕事をしたい!」ということでした(苦笑......)。
それでバイト雑誌を購入し、親友Mと端から端まで徹底的に読み込みました。

そのときにたまたま目に留まったのが「デパ地下の洋菓子売り場でのバイト」だったのです。理由はよくわかりません。
デパートが好きな訳でもないですし、洋菓子を食べるのは嫌いじゃないですが、ましてや物販なんて初めて。どうして響いたのでしょう? 謎です。。
「デパート→大きい→さすがに給料不払いはないだろう」
二十歳そこいらですから、そんな単純思考だったのかもしれません。
ちなみに時給は繁忙期850円、通常時800円。確かにお好み焼き屋よりも若干高いですが「まかない」がある訳でもないですし、カネに釣られてという訳ではなさそうです。

とりあえず応募先に電話してみると、「では面接に是非」ということになりました。
面接は確かデパートの職員さんとの一回だけだったと思います。とてもしっかりした感じの方で(多分、課長~係長さんクラス)、「社会人ってちゃんとしていらっしゃるんだなぁ」とお好み焼き屋のオーナーの姿を思い出しながら身が引き締まったものです。
で、即内定。その足で職場に案内された訳ですが、「ゴデ●バ」とか「ゴンチ●ロフ」とかああいう並びの一角です。ここが新しい職場かぁ!と結構面食らいました。
・女性ばかりの職場
・一人当たりの占有面積が実はめちゃくちゃ狭い
・売り場では常に笑顔
・姿勢を正し、声は大きく
・扱う商品数は多く、レジ打ち、業界(職場)用語など覚えることが山盛り
・包装など手先の器用さも求められる
・欠品などないように先んじて倉庫から店頭へ、倉庫にもない品物は近所の系列店から調達など先読み・気転を利かせることが必要
・華々しく見えて、実は泥臭い力仕事なども多い(なので、この職場では男性バイトを敢えて採用) などなど

職場はおばさん1名、おねえさん1名の計2名。ここにMと私でバイトに入る形になりました。ただ、Mは塾講師と兼ねていたので、入る比率は私のほうが必然的に高くなります。
今までの人生と180度異なる生活の連続で最初はさすがに焦りましたが、途中からはこれは焦っても仕方ない、「ぶきっちょなのが私の個性」と開き直りました(笑)。
お客さんの前で包装するなんて地獄以外の何物でもないですよ。お客さんのほうがどう見ても上手なのに敢えてこっちが不器用な手付きでやる訳です。
なかなか包み終えないので徐々にお客さんが不安そうな顔つきになってきますよね。ますます焦ります。隣のヨッ●モックの店員さんとかも不安そうな視線を送っているのがなんとなくわかります。
必死の思いで包んだ商品はなんというか美しくない(笑)。お客様に紙袋に入れてお渡ししますが、「ありがとう」とかいう言葉が返ってくる訳がない。ですが、デパートの客層ってやっぱりちょっと違うので、時折そんな優しいお声がけをいただいたり、もはや恵み、慰めの世界ですよね。
なので、今でも私はスーパーのレジバイトさんとかが困っている姿を見ても焦らせないように笑顔を絶やさないようにしています。自分もそうだったし、経験を積みさえすれば上手になるのはわかり切ってますから。
Mのように最初から割と小器用に、というか人間関係でうまく乗り切っていくヤツもいますが、私はそういうタイプではなかったのでいっちょ前になるまで時間がめちゃくちゃかかりましたねぇ。
バイト開始時にどうやら私の指導役をおばちゃんがおねえさんに命じたようなのですが、いつまで経っても本当に全然成長しないので、業務外で泣きながら電話相談していたなんてことも後日談でお聞きしました。
本当に優しいおねえさんで、仕事のイロハを全部教わりましたし、店内外の関係者にも多数ご紹介いただきました。普通の職場ならとっととクビになりそうな仕事ぶりにも関わらず、本当によくしていただいました。
結局、大学を卒業するまでこのデパートでずっとお世話になったので書き始めるとキリがないのですが、ふと思い出すことを以下書き連ねます。

・デパ地下の舞台裏
 私のバイト時代に改装されて激変したのですが、改装前はお客さんに見える部分以外は本当にひどいもので、店員の休憩所などは隙間スペース。倉庫と事務室の間にとりあえず椅子をならべました、とかそんな感じ。店頭では喫煙できないので皆さんそこでタバコを吸っておられるのですが、隣のお店のとても感じのよい素敵な女性が「ぷはーっ」とかやってる訳です。で、驚いている私の顔を見た瞬間に「やべぇ!」と表情が変わり吸うのをやめたりするのですが、まああれはかなりショックでした(笑)。
という訳で、私は招かれざる人物だったのです。。。

・オンナの園
 何というかですね、これは入ってからわかったのですが、デパ地下の女性たちって仕事上の男性との接点が非常に少ないようなんです。なので、私がいた頃は20代後半~30代中盤の方々、50代程度の方々が多かったようにお見受けしたのですが、前者の方々は「絶対行き遅れないぞオーラ」が凄かったです。私なんかは若すぎて「結婚」とかまーだまだ先の話なのでターゲット外(あれがドクターコースの20代半ばとかだったらだいぶん変わったんでしょうね、笑)。同じ職場のおねえさんは本当にいつも一緒にいたのであのまま行ってたらどうなってたか知りませんが、確か私が大学三年生のときに無事ご結婚なさいました。その話はおばちゃんから聞いて、おばちゃんは相当反対したようですが(ずいぶん年齢が上の方とご結婚されましたので)。おばちゃんは年は離れているかもしれないけどhello!と結婚というのもあるのでは、と言ってたっぽいように感じました。私としてもそれは十分にアリだったと思いますが。ちなみに年齢は一回りちょい違いました。
 で、そっちはそっちで大変ですが、それ以上に大変なのは後者のおばちゃんたち。本当に想定外のことが起きました。大学3年生の終わりでしたか、私が勤めていたレス●●ールの店舗売上が落ちていたらしく、おばちゃんが相当悩んでいたのは薄々感じていました。そしておばちゃんは決断します。無償トレードです。同じデパート内でハー●ン●ッツがバイトを必要としていて、これがミートしました。で、望まれての配置換えだと思ったので「今まで育てていただいた分、新天地でも頑張るぞ!」と張り切っていたのですが、おばちゃんはなんか面白くなかったんでしょうね。お見かけしてご挨拶しても、たまに「どうや?」くらいは返事をしてくれますが、普段は常に無視。おばちゃんはおばちゃんなりに納得いかないところもあったんでしょう。使えないうちに散々指導してきて、戦力となった今簡単に手放さざるを得なかったことや、店対店(店長対店長)の争い、店長としてのプライドなどなど。とまあ、いろいろありましたがおばちゃんとはいまだに年賀状のやりとりをしています。もう10数年前ですかね、九州の田舎に引っ込まれたのですが野菜の販売所かなんかを営んで元気に過ごしておられるようでした。ですが、昨年か一昨年にご主人を亡くされたようで深い悲しみに包まれておられました。何かの機会に顔を出せればよいのですが......。
 ちなみにハー●ン●ッツはおばちゃんとおねえさんの2名所帯でしたが、このおねえさんが上に書いた感じの方(行き遅れそう・・・)で常に私に接近モードのため非常に困りました。仕事自体はオペレーションももう勝手知ったるですし、新しい商品の勉強もできるし、時給は今まで通り、申し分なかったのですが。まあ、おねえさんがご結婚でいなくなり華やかさがなくなった前の職場と比べるとどっこいどっこいだったかと思います。

・その他
 そうですね、デパートといってもデパ地下なので、別に1階の化粧品売り場のメイクばっちりな美人女性とお知り合いになれる訳ではありません。社食などで見かけても、「あ、違う会社の人だ」という感じの印象です。もしデパ地下でバイトなさる方はその辺を勘違いなさらないように(笑)。ただ、そうですね。バイトに入りさえすればそのデパート内にいる時間があるにはある訳ですから、衝突確率は0.1パーセントくらい高まるかもしれませんね(笑)。
 ちなみに、私の場合は目の前の売り場に私より後に入ったバイトさんと少し仲良くなりました。売り場で常に向き合って仕事していますし、冷凍庫に商品を取りにいった際にたまたま出くわしたりすると二人きりで話したりするシチュエーションもある訳で。その女性に関しては、同じくウチのバイトの親友Mに「彼女どう思う?」と聞いたら彼の評価が低かったのでひいてしまいました。こういうことは他者意見で判断するのはどうかと今は思います。私のほうが接している時間が長かったので適切な判断を下せたでしょうし。そうですね、気遣いのできるかわいらしい女性でした。その後、素敵な人生を送られていることを祈ります。

とまあ、オチのない話をダラダラと書いてしまいました。
ポイントとしては、「さすがにデパ地下では給料不払いはない」、「デパ地下はオンナの園である、よくも悪くも」といったところでしょうか(笑)。
随分長くなったのでこの辺にいたしまして、次は学生時代にもうひとつだけやったバイト(家庭教師)を短めに書きましょうか。
「大学編」ももう数稿で突破予定です。今しばらくお付き合いくださいませ。

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