見出し画像

まさか!書類の落し物編

また別の時期に、混雑した駅構内の乗り換え通路で数メートル先の方が書類を落としたように見えた。よく覚えていないが、紙がそんなに舞わなかったので横に四つ折ぐらいになってたんじゃないかな。大体の目星はついたが落とし主が誰かは確定ではない。紙一枚だし、要らない書類かもしれないからわざわざ拾って渡す必要はないとも考えた。
履歴書とか個人情報が載ってるやつかもしれないが、それだったら渡すときに気まずいな…いろいろ考えながら落ちている書類との距離が近づいていく…

そのとき私は「紙の書類って面倒だよな」と、いままでの書類関係のエピソードを思い浮かべながら考えだした。本当に必要かどうかは不明なものも多いけれど形式上締め切りまでに用意しないといけないとか、手間も手数料もかかるものもあったりするとか…

いろんなイメージが巡り、後で「あの書類なんだったんだろう…」といつまでも考えたくはないという思いが上位にきた私は、書類を拾って対象者を追いかけた!自信はないけれど目星をつけた1番確実なひと!

不審に思われてもいいから私は声をかけることを選択した。忘れたようで後から夢に出てきたりして自分が気になりだしたら困るという理由で。

「すみません!これ落としてないですか!?違うかもしれないけど…

前半は力強く、後半は保険をかけた。

その方はすぐに振り向き「あ、あぁ…」と、その紙を受け取った。

今そのときのことをを振り返ってみても、その人が欲していた落とし物が無事戻ったということで片付けていいかはわからない。なんとなく、気が弱そうな表情をしていたその方は、後ろからいきなり紙を渡されて受け取ったような雰囲気でもあった。あるいは、投げだしたいとか、うんざりしていて無意識に捨てたい願望があったものが再び返ってきてしまって困惑していたようにも見えたのだ。

落し物を拾って渡すことが必ずしもよいことではないと思わせてくれる表情だった。

真相はわからないが。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?