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Procreateでアニメ作ってる自分がProcreate Dreamsレビューしてみた

 こんにちは、くつねです。
自分は普段オリジナルや二次創作のアニメーションをProcreateのアニメーションツールを使って描いています。
こんなのとか。(ショート動画につきリンク埋め込みです。)
https://www.youtube.com/watch?v=WR41Zb4ydf0

 さて、先日アニメーション作家待望のiPad専用アニメーションアプリProcreate Dreamsが発売されました。以前より展開されているiPad専用お絵かきアプリのProcreateが趣味用途からプロレベルまで広く支持されていることもあり、今回のProcreate Dreamsもかなり期待されたリリースでした。
公式サイト:https://procreate.com/jp/dreams

 自分も発売日当日にすぐにダウンロードし、試行錯誤しながら普段のアニメ制作に活用しています。お絵かきソフトと異なり、アニメーション制作は要素が多いため複雑な操作・画面になりがちです。しかしながら、タイムラインやキーフレーム、編集機能などアニメーション制作の要素をiPad専用に落とし込めている点は流石Procreateファミリーだと思いました。一方で使用しているうちに歯がゆい所も徐々に見えてきています。今回は以下のアニメーションをProcraete + Procreate Dreamsで作ってみて、色々見えてきたものをレビューしてみようと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=NPg2uK8Vk3k

評価

最初に現時点での評価ですが、Procreateと合わせるなら90点、単体なら75点ぐらいです。勿論リリースされたばかりのアプリのため今後のアップデート次第で評価は変わると思いますが、今のところiPad向けに最適化してしまったが故か操作性や概念に少し癖があります。メリットから順にあげていきます。

メリット①:iPadでアニメーションが作れる

 何よりのメリットです。従来のアニメーションソフトと言えばAdobe AfterEffectsのようにPC上で素材を配置し、タイムライン上のキーフレームをぽちぽちと入力していく作業が必要でした。これがiPadで手軽にできるのは個人的にかなり嬉しいです。
 自分は普段Procreateで絵とアニメ素材を描き、その後PC上でblenderなどを使ってアニメの仕上げをすることが多いのですが、お絵かきはソファやカフェなど場所を選ばずにできるのに対して仕上げは腰を据えてPCに向かう必要があり、どうしてもテンションの上がらない作業になりがちでした。Procreate Dreamsによって外出先でもある程度の完成形までアニメを作れるようになったのは嬉しいポイントです。

メリット②:Procreate連携

 Procreateのファイルをそのまま素材として読み込むことができるため、Procreate上で描いた素材のレイヤー構成そのままにアニメを作ることができます。従来だと一旦素材はpngファイル等に書き出す必要があり、手間でした。

メリット③:レイヤーブレンド・前景・外枠が使える

 Procreateでアニメを描く場合との比較になりますが、Procreateのアニメ機能では最上位のレイヤーまたはレイヤーグループがパラパラ漫画となります。この時、以下の制約があったりします。

  • パラパラ漫画の背景は設定できますが前景はできません(前景を作りたい場合パラパラ漫画のレイヤー一枚一枚として用意する必要がある)

  • レイヤーグループ内のレイヤーブレンドはグループ内のレイヤーにだけ効果が適用されるため、例えば背景含めた全体に対して覆い焼きカラーを適用したい場合、背景をグループ内に入れる必要があります

  • キャンバス外に絵を配置できないため、キャラクターが外から歩いてくるような場合わざわざ画面端用のコマを用意する必要があります

上記のようなProcreateのアニメ機能でいまいち良くなかった点が解消されている所は高評価ポイントです。

メリット④:即時保存・手順を戻れる

 一ヶ月ほど使い倒しましたが、突然落ちることはあれど直前まで保存されており、作業が戻ることはありませんでした。また、Procreateの場合一旦ファイルを閉じると履歴を戻ることはできなくなりますが、Procreate Dreamsの場合はいつでも戻ることができます。

メリット⑤:動作をペンで録画できる

 Procreate Dreamsの目玉機能として素材の動きをペンで指示することができます。自分の中では例えばデフォルメの絵がぴょこぴょこ動くような動作は基本この機能を使うようになりました。従来だと細かい操作もキーフレームの手打ちが必要だったため、この点は嬉しいです。

メリット⑥:そこそこ長い時間のアニメーションを作れる

 ProcreateではiPadのスペックとキャンバス解像度に応じてレイヤー数に制限がありました。このレイヤー数上限が結構少なく、複雑なアニメを作る際はレイヤーを結合するか複数プロジェクトで管理することが多かったです。一方でProcreate Dreamsでは30秒程度、150以上の素材を入れても特に問題なく動作しています。トラック数もかなり猶予があるようにみえます。

今回の映像のタイムライン

デメリット①:fpsが選択性

 自分のアニメは普段効率を考えて8fpsで作ることが多いのですが、Procreate Dreamsではfpsは選択性であり、最も低いfpsでも12です。例えば24fpsで設定して3フレーム単位で素材を切り替えることで擬似的に8fpsを作ることも可能ですが、後述する複数選択の扱いが悪く一枚一枚1フレームの素材を3フレームまで伸ばす必要があり非常に手間です。今のところ制作スタイルを変えて12fpsにどうにか適応しようとしています。

→なんとカスタムfps対応しました!!嬉しい~~!

デメリット②:素材埋め込みしかできない

 例えばAfterEffectsだとPhotoshopの素材を読み込んでアニメーションを作り、その後Photoshop上で素材を書き換えてもAfter Effect上で反映をしてくれるような強力な参照機能があります。ProcreateとProcreate Dreams間でもこれができると非常に嬉しいのですが、現状はすべて素材は埋め込みのようです。

デメリット③:複数選択で操作性が悪い

 Procreate DreamsのUIの特徴として、基本的に複数の素材に対する一括操作ができず一個の素材に対してのみ操作ができます。そのため、例えば複数素材を選択して5秒先へ移動させたい場合でも一個一個選んで5秒先に移す必要があります。回避策として複数素材を選択後、グループ化することで複数素材を一括で移動させることができます。
 他のアニメーションソフトでできるはずの操作ができないのは中々不便なのですが、思うにProcreate Dreamsでは素材は小さい単位でもどんどんグループ化していく運用を想定しているのだと考えています。確かに今回のアニメもそれなりに素材は多いはずなのですが、グループ化によって自然とタイムラインはスッキリしています。うまく付き合うことができれば管理性を上げることができそうです。

繰り返しの素材でグループ化する

デメリット④:Procreate Dreamsとしてちゃんとアニメーション素材絵を描くのはしんどい

 Procreate DreamsではProcreateと同じブラシを展開しており、Procreateと同じ感覚でキャンバス上に直接アニメーションを描くことができます。前のフレームを透過で表示するオニオンスキン機能もあり、強力と言えば強力なのですが、何故か選択機能が無いため操作感が違い、かなりキツイ印象を受けました。Procreate Dreamsでは選択機能のかわりに下の素材に対してマスクを使う形になるのですが、普段Procreateで選択機能を使っている自分としてはかなり不自由に感じてしまいます。このため、Procreate Dreams自体ではほとんどアニメは描かず、アニメ素材をProcreateで描きエフェクト等一部仕上げだけ少しProcreate Dreams上で描く運用にしています。

デメリット⑤:回転アニメーションに難がある

 素材に対してアニメーションさせる際、移動や拡大は素材の外枠に表示されるポインタを使って直感的に指示できますが、何故か回転だけは値を弄って指示する必要があります。(編集の項目にも移動・拡大、ワープ、ディストーションはあるが回転がない)なぜ回転だけできないのか理由は分からないのですが、移動・拡大と同じ形で指示できると嬉しいです。

→こちら気づいたのですが、素材の外枠を表示したうえで、外枠の赤ポチをタッチすると小さい円弧が出てきます。この円弧をスライドすると回転することが判明しました!!なので難はないです!!(ただ分かりづらい・・・!!)

まとめ

 ProcreateとProcreate Dreamsを両方活用することでiPad上でアニメーション素材作成からアニメーション制作まである程度完結できると思いました。安定性やProcreate連携、編集機能など個人的に必要な部分も揃っており値段分の価値はあるかなと思っています。
 一方で、操作性やレイヤー・グループの概念はProcreate Dreamsに合わせる必要があり、Procreateや他のソフトではできていたのにできない・やり方を変える必要がある部分はストレスでした。この点はアップデートに期待です。

 あまり自分は普段こういったレビューを書かないのですが、Procreateとアニメ制作が好きなのでレビューしてみました。参考にしていただけると幸いです。今後も操作テクニック集などまとめて投稿できればと思います。


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