見出し画像

【☆18話☆】4/7阪神11R・桜花賞(バイトリーダーN)

珍しく桜の満開に至っていない阪神競馬場で迎える桜花賞。今年G1を無敗で迎えるのも記憶にないが、これ事実。昨年も馬連3点で◎▲12倍ロォン!と何気に縁起物。さあ、今年も仕留めて「CR花満開」の瞬間に立ち合おうぞ! ぜひご覧ください! #桜花賞


RSFC「♠J」対象レースです。



§1.いま、対話が大事

 新年度を迎えた1日、全国各地で辞令交付式や入社式が行われ、新社会人たちが新たな一歩を踏み出した。真新しいスーツなどに身を包んだ若者たちは、緊張した面持ちで辞令を受け取ったり、社会人としての誓いの言葉を述べたりした。

まあ、中には、首長たるものが思いっきり「職業差別」と捉えられる発言をドヤ顔で行い、大炎上の末その職を辞することとなった、目も当てられない「大惨事」となった地方公共団体もあり、そんな訓話を「え?」と思いながら聞いていた新職員たちは、言いたい放言を聞くだけ聞いて、そしてマスコミに公開処刑されていなくなったボスに対して、今頃何を思うのだろう?? 

まあこれも、「不適切にもほどがあるっ!」の舞台・1986年であればそんな訓話もひとつのウィットとしてさらっとスルーされるどころか、新人職員たち「そうか。自分たちは選ばれた特別階級なんだ!」という間違ったプライドが植え付けられ、より県民に寄り添わない高慢ちきちきな役人たちが出来上がっていたかもしれず、思わずゾッとするところだが、残念ながら現在では、決して放った本人はこそそんなつもりで言ったワケではないにしろ、受け取る側がアウトと感じればアウトであり、それゆえのアウト。

時に令和名物といえる、「言葉狩りに代表される過剰なセンシティヴ」は、間違った職員育成の「抑止力」となっていて、出る杭は叩かれる恰好の例を見せられた新人職員は、これを見て何一つ際立ったことができなくなり、より平準化するという、またなんとも皮肉な現象も。

まあこの人も、これからはご自宅で、誰にも迷惑をかけない代わりに、誰にも響かないその放言を、好きなだけ言いたいことを言える快適な人生が待っているから、精神衛生上これでよかったのかもしれない。

…と、この人の事は置いといて、今年の入社式の特徴としては、例えばキューピー社のように、式典の後に全員作業着に着替えて、社内の畑に植えられた野菜を同期たちで収穫して汗を流したりと、各社、社員同士の対話やコミュニケーションに殊更に注力している企業が目立つ。


その背景には、ほとんど大卒の新入社員たちがいて、彼らが大学に入学したのが4年前の2020年・春。世間では新型コロナウイルスに恐々としていて、マスク、ソーシャルディタンス、3密、テレワーク、無観客開催と、今思えば懐かしいなと若干不謹慎な感想すら出てくる、そんな夢も希望もない「プチこの世の終わり」な時期に大学に入学し、対話をはじめとしたリアルなコミュニケーションがほとんど寸断され、憧れていたキャンパスライフとは程遠い現実を体感した彼ら。

サークル活動はあろか、リアル授業までが開講されずオンラインばかりで、田舎から都会に娘を送り出して一人暮らしさせているお父さんは、「こんな授業ばっかりじゃ都会に娘を出した意味ないよ~ アパート引き払って田舎から授業受けさせたほうがいいんでないかい?」とグチる場面も。

そんな戸惑いまくりのキャンパスライフを過ごした学生たちが、4年経って社会人に。だからこそ「圧倒的に対話が足りない」と世の大人たちが懸念し、配慮したことにより、このような機運へとなっているのだろう。悪いことではないし、彼らも望んでいたことかもしれない。

そんな彼らとは1ジェネレーション離れたオラもまた、対話ありきの「人たらし」であり、コミュニケーション・駆け引きで育った世代。大学卒業後に入社した出版社では、子供のいる家庭に飛び込んで2時間子供を誉めて30万円の教材を売りつける「飛び込みセールス」に従事。相当なコミュ力とメンタルの強さがないと続けられない「世の中でもっともハードな仕事」を1年2か月続け、役職手当まで会社から奪った人間。人と話すのが大好きで、人の気持ちを察するのはもっと好きな人間。人と人とのつながりで、ここまで生きてこれたと自負していている。「人生はヒューマニズム」。

このスタンスを、オラは今も昔もこの競馬予想にエッセンスとして加えていて現在に至るのだが、その根幹にあるのはこの大学出たての頃に味わった苦労と屈辱にあるのかもしれない。

と、そんな「人間大好き」オラも、この対話の少ない4年前はなかなか堪えた思い出もあり、気づけば一日の中で発言していたことといえば、コンビニで弁当を「温めますか?」と聞かれて返答した「ハイ」のみという、なんとも虚無な一日を過ごしていた事多々。

なので年齢的にはそんな新入社員を迎える側のオラだが、この企業側の姿勢には一定の評価はしたいと思うところだし、まだまだ日本も捨てたもんじゃねぇなと、エラソーにつぶやいてみる。

そんな「対話が大事」「対話が恋しい」空気感からなのか、最近、喫茶店でも明らかに客層に変化が生じていて、10年前の開店当初はこぞって集まったジジババではなく、アンダー30の若者たちが、くっちゃべりを目的に来店するシーンが目立つのだ。

スタバやドトールでは、人でごった返していて会話をするにしても周りの目も気になるし、女店主やオラを含めたスタッフ・周りの常連客たちとフレンドリーに話せるなんてできないからなのだろうか? そんな「俺にも行きつけの小粋な喫茶店、あるんだぜ!」というステータス的なものの欲しさからなのか。その真意こそ不明ではあるが、彼らはスタバを素通りしてわざわざうちに通うのだ。 

イメージとすれば、「あまちゃん」の「リアス」に近いかもしれませんね。知ってる?

なんともまあそのへんの行動科学は疑問が多いところだが、にんげんだもの。誰だって人恋しいし、人と人のつながりがなければ、生きていけないのよ。



§2.対話から生まれるロォン!

なもんで、最近は一連の「ウマ娘」ブームからなのか、職場に競馬好きの上司がいる影響からなのか、某有名企業に勤める30歳前のS君も、仕事終わりに喫茶店のカウンターに座り、スポーツ新聞なりギャロップを読みながらオラと競馬談義をするのがとても楽しいようだ。

オラも「もー、きょうもコラム書けねぇべな?」と冷たい愚痴は口には出さないけれど、真摯に競馬に向かう若者の姿には胸打たれるものがあり、「ど~れ、どんどん競馬地獄にハメたろか~」とは言わないけれど、お話に付き合い、気づけば今週の重賞のあれこれを講義している。

ただS君が面白いのが、30前の男ゆえ、仕事面でもいろいろ解ってきて、だんだんに無敵になってきた辺り。オラも昔はそうだったから解る。30前って誰でも無敵になるんだよ。

ただそれって「思い上がり」なんだけどね。

俺、スター取った! と思っているのは、本人だけ

そんな「無敵感」が随所に伝わってきて、かじり始めた競馬についても自ら仕入れてきた浅い知識をはべらかし、オラはニコニコしながら聞く。そんな彼ゆえ、いっぱしのプライドはある模様で、プロ馬券師である競馬のオラの話は素直によく聞くのだが、カウンターの向こうにいるコーヒー専門職の女店主は「競馬のド素人」と思っているところがその態度から随所に出ていて、完全に差別化しているのが良く解る。このへんもまた30前の粗削りといったところか。



なもので、大阪杯16頭の枠順確定した金曜日も、

こんなことがあり、女店主が菅原アキラ騎乗の人気薄・⑬ルージュエヴァイユをゴリゴリ推奨していて、オラは「ん~、それもアリだなぁ」と抵抗なく受け入れ、印をつける予定だったXYABの4頭は決まっていたところに5頭目の「Z」として指名できたのだが、S君はこれに聞く耳持たず「外枠引いたからいらねー」と、オラのXYABの⑤⑦②③の4頭に、内枠から⑧プラダリアを加えて5頭で勝負して、一人だけロォン!できなかった惨劇も。

高松宮記念も変な知識を覚えて「G1はルメールだろ?」とトウシンマカオを軸としていたためドボン。と、現在ひとりだけロォン!できない「G1焼き鳥劇場」が2週連続で絶賛オンエア中!

一方のオラはというと、女店主が爆穴⑬ルージュエヴァイユに触れず、もし一人でずっとこのレースを考えていたら、

決して、この大阪杯のワイド37倍ロォン!馬券には到達してせず、2024
G1・3連勝を飾ることは決してなかったことだろう。

そういうことからも、こうやってみんなで顔を合わせて競馬談義をする事も、時に重要であることを再認識。どの世界でも、対話って大事なのだ。

人の熱量なり持っている情報、これを採用するか弾くかはあとで己で判断すばよく、まずはボールをキャッチすること。こういう機会を増やしていくことが大事。多ければ多い程よい。得た情報は最後に捌けばよい。そう感じた大阪杯。ん~ありがとう女店主。

さてさて、無事G1・4連勝を飾れるのか? 
そしてS君の焼き鳥劇場の継続やいかに!



§3.「無敵」の恩恵

そんなS君が陥ったというか、壮年期の青年によくある「無敵状態」。
一通り仕事が解ってくると、もう俺はこの仕事でやれる、やっていける!という自信過剰になる30前。会社でもヒラ社員から、係長だの主任となるあたりか。

なまじスタミナがあるので、昼だけでなく夜もオネェチャンの店の前でキチンと値段交渉してからリング淫!と元気そのもの。一通りオネェチャンとおっぱいトークして90分リングアウト。店を出ると「じゃあ、シメでなんか喰って帰ろう!」と、0時を過ぎてもトンカツ定食も問題なし。

ん~(゜_゜) いまオラがこれをやれと言われても無理ゲー。

そんな「無敵状態」はジョッキーにもいて、壮年期に差し掛かってますます重賞戦線を賑わしているのが、坂井リュウセイ。

先々週は、土曜重賞・毎日杯を5番人気メイショウタバルで制したと思ったら、次の日の高松宮記念では6番人気◎マッドクールで素早くインを突いて制覇。そして休む間もなくすぐざまドバイに旅立って、お手馬・フォーエバーマークに騎乗し、ケンタッキー行きを決定づけたUAEダービー制覇と、もうその勢いはとどまるところを知らない。

さすがに今週水曜の川崎記念は、成長曲線がだだ下がりで、もう誰が乗っても上位不可能なグロリアムンディ騎乗で無理ゲーだったが、ロケットスタートからハナをも切りそうな勢い。ちゃんとできる範囲内での「主張」はしたと言えるレースだった。

振り返れば、高松宮記念もこの「主張」が奏功。
引き上げてきて「思い通りにレースができました」と、このセリフが出ることがまさに無敵状態を象徴している。言えるようでなかなか言えない。

自らが先手を取って好位追走も、先頭の香港馬をはじめとして、みんなが馬場が悪いと避けて通るインを「内1頭分は伸びる」と判断してイン突き。

この「主張する騎乗」こそ、勝負の分かれ目であり、騎乗するジョッキー18人のうち、この「主張」が通るのはごくごくわずかな人間のみであって、あとは主張など叶わず、できず、ただレースに流されて終わるもの。

自分で思い描いた通りに動いて、受け身にならず、不利を喰らわず、レースを自分のものにしていく。これができるジョッキーから、我々は心底馬券を買いたいところだし、「それが今できるジョッキーは誰だ!?」という観点でお金になる馬を探すことも攻め方の一つ。馬だけ見てればいいってもんでない。

そうなると、アタマ差2着のナムラクレアの浜中スグルは、前半もうすこし位置を「主張」できていたら、きっとあの豪脚で◎マッドクールをぶっこ抜いていたと考えると、ジョッキーとしての主張が加齢とともに不足しているのでは?と感じることも。 

この時点で

坂井リュウセイ > 浜中スグル

という不等式は成り立ち、今の坂井リュウセイのほうが、ジョッキーとしての総合力で上回っていると推察することはできる。もはや年齢ではない。

そんな坂井リュウセイが今回騎乗するのも、デビュー2戦で浜中スグルが乗っていた、⑪ライトバック。

浜中騎乗のアルテミスSでは3番人気と期待を集めたが、スタートしてから折り合いを欠き、口を割って制御不能に。こうなればもう最後の末脚勝負どころではなく、直線も最内から馬場の真ん中へフラフラ斜行しながら伸びを欠いて4着ドボンと、若駒の至りとはいえ、鞍上ももうすこし考えたハンドリングができたのではないか?と思わざるを得ない騎乗だった。

そんなクセ馬・ライトバックに、前走のエルフィンSでは坂井リュウセイが騎乗。追い切りにも跨って馬を熟知してからいざ本番も、道中も口を割ることはなく、直線もまっすぐ走って、後にチューリップ賞を勝つスウィープフィートを突き放して1着ゴール。永島まなみちゃんを「クビの刑」にさせた張本人となってしまったが、そこは実力主義の世界。

このエルフィンSのライトバック。
簡単に見える騎乗だが、実は相当に苦労してたのはパトロールでも解るし、レース後「追い切りに乗せて頂いた時に、いい馬だなと思っていました。テンションの高さなど、コントロールの難しさがあるタイプですが、厩舎の方がうまく調整をしてくれました」とサラッと謙虚なコメントも、相当に乗り難しく、それでもきちんとコントロールできたゆえに勝利できたことを物語っている。

要は、馬を知り、馬に勝ち、そして自分に勝った騎乗だったということ。
浜中スグルでは制御できなかった馬を、坂井リュウセイは一発回答。このライトバックを巡る明暗からも、

坂井リュウセイ > 浜中スグル

という不等式は成り立ち、2度の不等式からこれは限りなくトゥルースであることを物語る。もう、坂井リュウセイは浜中スグルクラスではなく、一流ジョッキーの仲間入りをしていると判断して良く、そこに無敵状態が加わっているお年頃。周りから何と言われようがカンケーないのだ。

これによってライトバックは、賞金的にも3月のトライアルレースを使うことなく桜花賞出走の権利を得て、開業5年目の茶木厩舎にとって、初のG1挑戦の切符を手中に収めることに。そうなると茶木センセイにとっても、本番でも引き続き坂井リュウセイに騎乗してもらいたいと懇願。幸い、所属の矢作厩舎には牡馬と違って3歳牝馬のラインナップに秀逸な馬はおらず、願いは通じて継続騎乗とあいなったわけだ。

坂井リュウセイのような「ドS」タイプであれば、師匠の矢作センセイの馬に乗って「やらかしたらまた怒られる~」とコチコチに緊張するよりも、こういう若い調教師の馬に跨り、自分の好きなように、センセイにも馬にも「主張できる」タイプのほうが肩も軽く、結果が出せるのかもしれない。現に、坂井リュウセイの中央G1・5勝はすべて「非・矢作厩舎」であり、うち4勝は30~40代の若いセンセイの管理馬。

まあこれについては、来週の皐月賞のコラムで、矢作厩舎のシンエンペラーにテン乗りするこの時にもっと深く掘り下げたいと思っているでここではこれ以上の言及は避けるが、立場的には「若い茶木センセイのために、また一仕事やってやるぜ!」という、20代なのにめちゃくちゃ上から目線で臨むこのおかしなパワーバランスが今の坂井リュウセイにはたいへん心地いものと推察。今回もその好転は継続するものと見ている。

もしかしたら、今の坂井リュウセイにとって、レジェンド武豊も、現場の大将・川田ユウガも全然怖くないというか、もう眼中にない存在なのかもしれない、目の前の敵を倒して勝つことにしか興味がない、いわば、大関時代の朝青龍のようなムードがプンプンしている。

横綱? カンケーねぇよ! 俺は俺だ

「競馬は馬7人3、しかし、G1は馬5人5」
という、オラが昔から使っている格言が真実だとしたら、いま、この坂井リュウセイを軽視することは時代の流れに背く「背任行為」であるとも感じているし、そんな無敵無双が、自分が勝たせたことのある馬に再騎乗するのに単勝15倍前後つくというのであれば、ここは諸手を挙げて買いたいところ。

ただ、時計面での裏付けはなく、鞍上の相当な「主張」が今回もまかり通ることは丁半バクチのようであり、また馬も気性面の暴発のリスクが完全になくなったというワケではないことから、希望的推測が強いという観点から、この印で挑む。

⑪ライトバック…○



§4.30年後もこうして…

オラがはじめて桜花賞の馬券を買ったのは、1994年。
3月の桜花賞トライアルで、12番人気の◎リスクフローラから馬連1000円総流しという、当時の経済事情からすれば「清水の舞台から飛び降りる」想いで投じた馬券が、なんと2着になり配当は29,030円の倍満ロォン! 複勝も合わせると32万円という、生涯手にしたことのない「巨万の富」を手に入れたゆえ、鞍上・小野次郎のもう一発に期待して、◎リスクフローラを応援しに福島競馬場まで出向いたものの、勝ったのは武豊騎乗の3番人気・オグリローマン。

このとき武豊は25歳。
いまの坂井リュウセイよりも1つ年下ながら、全国リーディングでもトップとまさに無双だったが、この桜花賞でも、オグリキャップの妹・オグリローマンで直線・怒涛の切れ味で追い込み、逃げ粘る大崎昭ちゃんのツィンクルブライドを差し切り優勝。

勝った武豊よりも、ゴール前の昭ちゃんが左を向いて「エッ!?来るんか」というカオの方が今でも物凄いインパクトが残るレース。ちゃんと最後まで前見て馬を追わないところが古き良き昭和のジョッキーですね。

そんな大先輩・大崎昭ちゃんの桜花賞初制覇の夢を打ち砕いた25歳の武豊が、その30年後、55歳になって、永島まなみちゃんのスウィープフィート騎乗の夢を打ち砕いて、また桜花賞の舞台に登ろうとしている、まあなんともノスタルジアを感じてしまうところであり、時間旅行ができるのが長く競馬をしてきた人間だから味わえる特権。

そのスウィープフィートも、チューリップ賞では直線斜行して他馬に迷惑をかけた背景はあれど、その末脚は一戦級であり、永島まなみちゃんでなく、最初から武豊であれば、エルフィンSも勝っていただろうし、阪神JFも7着よりももっと上の着順となっていたであろう。そのくらい阪神JFの永島まなみちゃんの騎乗は、スタート・折り合いともに✖の50点競馬だったことから、馬の潜在能力からすれば、上位3頭の関東馬たちとそれほど遜色はないものと推察している。

よって今回も無視はキケン。
昨年、馬券に入れたコナコーストもこのトライアル・チューリップ賞を使った組であることから、昨今は「敗者復活戦」的ムードが色濃い3月のトライアル戦であっても、この30年前のノスタルジアも合わせて、もう一回オグリローマンに逢いたいという少しの願望も添えて、この印で挑む。

⑦スウィープフィート…△



§5.「お嬢さん」の幻影

スターズオンアース、リバティアイランドと、2年連続桜花賞を制覇している「桜男」といえば、川田ユウガであり、中内田-川田の蜜月ラインが今年も飛び切りの末脚を持つ馬で、メッタ斬りを望んでいるが、このクイーンズウォークもどうしてもリバティアイランドのリプレイを求めてしまうように、川田ユウガの馬に対する「クオリファイの高さ」が、この場では若干のネックになるような気がしている。「さあ、どこまでお嬢さん(リバティアイランド)に近づくのかな?」という目線で川田ユウガは少なからず乗るだろうし、それほどまでにリバティアイランドの事が今でも好きすぎて、このクイーンズウォークにまで情熱が回らない。直線でも、それなりの脚は繰り出すものの、「ああ、お嬢さんほどではなかったなぁ」という少しのため息で終わる、最後まで「リバティアイランドの幻影」に囚われた川田ユウガがいるような気がしていて、このクイーンズウォークで120%の騎乗ができるマインドになっていない、そんな予感がしている。根拠のない勝手な妄想なのですが。

なので、クイーンCの走破時計自体は評価できるが、昨年、オラが珍しく「ウッ、ダメだこれには逆らえない…」とすべてをひれ伏して◎を打ったリバティアイランドの域にはないものとして、この印で挑む。

②クイーンズウォーク…△




§6.「革命」は、やがて常識に

いま、人気馬たちは皆、チューリップ賞やフィリーズレビュー等のいわゆる「トライアルレース」は使わずに、2歳時に賞金積み上げたら、あとは本番へ直行!という馬が殆どであり、これが、クラシックレースへの「王道」「主流」となりつつある。

この先駆けといえば、今から5年前の2019年の桜花賞馬・グランアレグリアであろう。暮れの朝日杯FSを3着敗退となった後は、休養・外厩・入厩を経て桜花賞へ直行。このローテーションは少なからず異議も唱えた者も当時は多く、ネットはざわついていた。

しかし、管理する藤沢和雄センセイは、たとえ年老いて定年が間近であっても、いつも時代の先を行くスピリッツは卓越していて、自分の道が正しいと思えば、時に常識ですら覆せる腹の据わったセンセイ。この異例であり、もしダビスタならレースで引っ掛かりまくるだろうこのローテーションは、2017牡馬クラシックで、自らが管理したレイデオロで敢行。2歳暮れのホープフルS優勝後、皐月賞へ直行したものの5着にドボンしたという失敗を経験則にして、活かしたかったリベンジもあったのだろうし、翌年の2018年には、弟子の国枝栄センセイがアーモンドアイで、2歳戦ではなかったものの、正月競馬のシンザン記念を勝った後、トライアルレースを使わず直行で桜花賞制覇したこともあって、弟子には負けられないぞという意地もあったのかもしれない。

そんな背景もあって、グランアレグリアは当時の常識を跳ねのけ、「今年初出走で桜花賞制覇」を成し遂げ、直行ローテの先駆者となった。ものすごいセンセーショナルで、「革命」が現実となった瞬間であった。

以後、この直行ローテはだんだんにトレンドになりつつあり、2021年にはソダシが阪神JF制覇からの直行で勝利。そして昨年のリバティアイランドでは、この直行ローテこそ王道であり正解と言わんばりに勝利し、この空気感は完成されたと言い切ってよい、そんな完勝であった。

この直行組が栄華を極めている背景には言わずもがなだが「外厩」の充実があり、ノーザンファームで生まれたゴリゴリの社台馬たちが、NF天栄なりNFしがらきでシッカリと育成・調整できているからこそできる業というのは言うまでもなく、いわばこれは「社台グループの栄華」による象徴的事象と言えよう。実際、いまのJRAにおいてほぼ独占している「寡占企業」ゆえ、もはや仕方がない事。

そんな空気感の中、今年も、2歳時に十分に賞金をため込んだ馬が、一度もトライアルを使わずに直行。このテの馬たちもごくごく当たり前に人気を奪っている。

もはやこれが桜花賞に向かう上での「トレンド」であり「王道」。そして、我々馬券ジャンキーの間でも、抵抗のない「常識」として完成されている。



§7.分類しちゃダメですか?

そこで、今年の18頭をローテーション別に分類してみた。なお、馬名の後には生産牧場が社台か非社台かも添えてみた。

A…2歳終了時点で桜花賞出走に必要な賞金を十分に積み上げ、年明け1月~3月のレースを一度も使わずに本番へ向かう「直行組」3頭

該当馬
⑨アスコリピチェーノ(阪神JF1着)(社台)
⑫ステレンポッシュ(阪神JF2着)(社台)
⑱チェルヴィニア(アルテミスS1着)(社台)


B…3歳1月~2月のオープンレースを勝ち、桜花賞出走に必要な賞金を十分に積み上げ、3月のトライアルを使わずに本番へ向かう「準直行組」5頭

該当馬
③イフェイオン(フェアリーS1着)(社台)
②クイーンズウォーク(クイーンC1着)(社台)
⑰マスクオールウィン(フェアリーS2着)(社台)
⑪ライトバック(エルフィンS1着)(非社台)
①ワイドラトゥール(紅梅S1着)(非社台)


C…桜花賞出走の賞金が足りない、もしくは当落線上にいるため、3月のトライアルレースに出走して、本番に臨む馬9頭

該当馬
⑮エトウブレ(非社台)
④キャットファイト(非社台)
⑤シカゴスティング(社台)
⑭ショウナンマヌエラ(非社台)
⑦スウィープフィート(非社台)
⑩セキトバイースト(非社台)
⑥ハワイアンティアレ(社台)
⑯セシリアブラージュ(社台)
⑬テウメッサ(社台)

こうしてみるとA.Bのトライアル回避の直行組たちは社台が異常に多くて、先に賞金積み上げて、ゆったりと外厩で春を待つ、そんな「ゆとり」を存分に感じさせる。いい悪いは置いといて。

そして、人気はというとそんな直行のA馬に人気が集中している。馬券ジャンキーたちも、もはやこれが「正解」と認識しているのだろう。

ただ、これらA.B.Cに分類されたのが17頭いて、どれにも分類されなかった馬がただ1頭いる。


D…2歳終了時点で桜花賞出走に必要な賞金を十分に積み上げているにもかかわらず、敢えて3月のトライアルレースを使って、本番に臨む馬

該当馬 
⑧コラソンビート(非社台)


この馬がいま、すっかり「直行」がトレンドとなった現世に於いて、限りなく「ノイズ」の扱い。なんで1戦使うの?と、疑問視しているファンの声も。

そのトライアルレースでは、単勝1倍台の人気を裏切って2着敗退となったことから、いまその「異質」扱いから人気を大きく下げている。



§8.トライアルの「意義」

⑧コラソンビートは、2歳11月に京王杯2歳Sを勝って賞金を加算。暮れの阪神JFでは3着で上積みこそ叶わなかったが、それでも桜花賞出走にかなうだけの賞金は既に獲得していて、時代の流れに即すべく、暮れの激戦を終えた後は、桜が咲くまでジッと待機もできたのだが、敢えて美浦の加藤シズヤセンセイは、3月から栗東に移動をかけ、トライアルのフィリーズレビューを叩いて、そのまま栗東に1か月滞在して、本番に臨むというこれまた泥臭い、異例のローテで臨んでいる。

一部の競馬専門家は「1600mは少し長そう」という見解を示していて、「1400mのフィリーズレビューこそ勝負であり、200m長い桜花賞は疑問」と投げかけ、そのインフルエンスの凄さからも、今のマユツバオッズを作り上げているのだが、オラはこの見解に対しては違うと感じている。

フィリーズレビューが勝負でありその後の桜花賞がワンチャン狙いというのであれば、最初っから1か月にわたる栗東滞在のローテは組まずに、一旦美浦に帰って本番に挑むかどうかをジックリ本陣にて判断するところなのだが、桜花賞が最終目標だからこそ、スタッフの経費かけてまで栗東に長期滞在しているのだ。

そして、新種牡馬・スワーヴリチャードのデータが少なく、得意の距離適性がまだ定まっていないところで、母父オルフェーヴルのコラソンビートが、そのかかり癖だけで「1600mは長い」と決めつけられているのが違和感でしかなく、それを矯正して「1600mでも掛からずにレースを進められるようになるのが俺の仕事」と加藤シズヤ先生は、日々調教に取り組んでいるのではないだろうか?

暮れの阪神JF。

馬場差はあったにしろ、走破時計の1.32.6はレースレコード。前年勝ち馬のリバティアイランドよりも速い時計で走破していることから、4着馬サフィラに3馬身以上つけて先着した上位の関東馬3頭は、一線級の強さ・マイルの適正は認めても良いものと思料。しかも、3頭ともこの一戦に備えて早めに栗東に入厩して滞在調教している準備万端ぶりは、ここまで幾多の関東馬がこの直前輸送という不利な条件に負けてきた歴史をみんな理解しているゆえの対応策であり、とても好感が持てる。

ただ、レースVTRを見返すと、1・2着馬は中団~後方のインでジッと待機して、4コーナーで各馬が外々を回る中、内の進路がポッカりと開いて、実にスムーズに突き抜けてこれた「100点の競馬」で上位に喰い込んだのだが、一方で、3着のコラソンビートというと真逆のレース内容で、スタートでは1馬身程度出遅れ、あわてて手綱をしごいて好位を獲りに行くが引っ掛かってなかなかブレーキがかけられず、3~4コーナーでも外々を回って距離ロス。内を掬った勝ち馬アスコリピチェーノと比べるとムダの多い進路取りで、ラストはこれまでのチグハグさが祟って失速。結果、無駄なくロスなく回った2頭に先着を許しての3着。この「50点競馬」がコラソンビートの阪神JFだった。

このレース内容を見て、加藤シズヤ先生は今後のローテを熟考。選んだ結論がこのDパターン。賞金が足りているのに、敢えてトライアルを使うことに意味と意義を見出したからこそ、トレンドに逆行した、一番経費は掛かるものの、馬にとって収穫の得られる調整方法を選んで桜花賞に進む。なんとも愚直で古臭いけれど、それが信念でありコラソンビートにとっての正解と踏んだローテ選び。

そのトライアルレースを敢えて使う意味は
「折り合い面の強化」
「同じ阪神競馬場での現場感の上積み」

に尽きるだろう。

4週間前に一度阪神競馬場で叩いて慣れさせておくことで、当日テンションが上がることを未然に防止。レースでも引っかからずに折り合いに重点を置きながら好位を追走して、その先として直線スッと抜け出す。これがこのフィリーズレビューでの「するべき事」であり、これは十分にクリアできていたものと思料する。

ただレースはというと、その「やるべき課題」の達成に拘り過ぎて、スイスイと逃げる人気薄のエトヴプレの追走がワンテンポ遅れてしまったため、横山タケシも「おぉヤベヤベ、逃がしちまう~」と慌てて追っても追いつかなかったオッペケペー競馬であり、ご覧の通り見た目とてもブサイクな負け方を演出してしまったもの。

この見た目のカッコ悪さと、トライアルとして得たものの中身が、いま相反しているのがコラソンビート。賞金が十分でありながら、きちんと一戦トライアルを使ったことに十分な「意義」は見いだせていた面は収穫十分であり、次のマイル戦に十分につながるものは得ていたが、トライアルG2で単勝1倍台をぶっ飛ばした「戦犯」のレッテルが張られているところに、いま面白いくらいのギャップが生じている。

そんな世間の見方と、実際に得たものの間に生じた「乖離」こと、「バケンの品格」。コラソンビートは、トレンドに反してトライアル1400mを使って負け、いま最もマイルで買う価値がないと思われている「最安値」。

その強さに疑問を呈する者は、もう一度阪神JFのVTRを見てもらえればある程度解るし、そこで見つかった課題を、トライアルレースを使うことで克服している加藤シズヤ先生の姿勢。これぞ時代のトレンドである「外厩からの直行」、これすなはち「社台が作ったトレンド」に対して反旗を翻す、社台グループの対極に位置する「非社台」の総大将


チーム・ラフィアンの意地

これが見え隠れしている気がしてならない。
能力は、レースでも培えるし、レースでなければ培えられないものもある。
そう岡田総帥の声が天から聴こえてきそうだ。

これ乗るのは、社台のソールオリエンスに散々振り回された、チーム・ラフィアンの暫定総大将・横山タケシ。決して社台の犬ではないことは、この古き良き赤と緑の勝負服で躍動することで十分な主張が可能。

当然、阪神JFでも「50点競馬」をし、フィリーズレビューでは課題克服に拘り過ぎて結果を執拗に追い求めなかったことに、ある程度の負い目と使命感が芽生え、この桜花賞に臨むことは言わずもがな。

敵は社台。難攻不落のデカイ要塞であることは解っているが、古く、泥臭く、ひとつひとつ課題を克服して臨めるリベンジの阪神マイルG1。アスコリピチェーノやステレンボッシュとは能力的に差はないことは証明済み。あとはタケシのウデひとつだ。

「桜花賞に直行」という選択肢は、単なるトレンドであって、決して正解とは限らない。
そんなトレンドに囚われている全国の馬券ジャンキーたちに、警鐘を鳴らすべく打つ◎。だって、愚直に競馬を使うことでしか得られない事だってあるのだから。

⑧コラソンビート…◎


そして、レコードタイムを叩いた阪神JFから、上位2頭の関東馬たちは栗東滞在の盤石さから、一定の強さは発揮できるものとして、

⑨アスコリピチェーノ…△
⑫ステレンボッシュ…△


しかし、アルテミスS以降、順調さを欠き、ルメールさんはケガによって乗れず、そして引いたり大外枠と三重苦となった⑱チェルヴィニア。これだけアゲインストが吹いて馬券圏内に入ったら参りましたと頭を下げるものとして、潜在能力・走破タイムは認めながら、⑱は軽視する。

⑱チェルヴィニア…無印



§9.コレを買え!と言われても


最後に特注☆として1頭。時計こそ平凡だが、フェアリーSでは外枠引いて終始外々を回りながらバテずに抜け出した☆③イフェイオン。

いや、別に女店主が「リーダー、コレを買え!」とゴリ押ししたからというのではなく、今回は最初っからこの印でした。今回は。だからやりにくいんだよなぁ。。。

いつもの杉山センセイ? いやいや、杉山は杉山でもハルキではなくヨシアキ先生の方。西村アツヤも未勝利勝ちの後、小生意気にフェアリーSを使うことを進言し、宣言通り勝つと「物凄い馬になる」と短評。

上の女店主のレポートにもあったが、自分負けて、他の若手ジョッキーがg1を勝つと悔しければ泣くピュアさ。そして、レース上がりは岩田の父ちゃんとウマが合うところを見ると、

どちらかと言えば、頭よりも気持ちが優先。誉め言葉でいうところの「感性のままに生きる男。」こういう男が人気薄でこの枠。そしてずっと乗ってきた馬。アタマではない、理屈ではない、阪神の馬場を父ちゃんばりの「感性のイン突き」でG1初制覇を決めるならこの馬か?と怖いところはあり、一発の匂いを感じることから、△より1ランク上の印で臨みたい。

③イフェイオン…☆



§10.まとめ

5年前のグランアレグリアから始まり、昨年のリバティアイランドと、社台王国が築いた「直行ローテこそ王道」と、我々馬券ジャンキーに決定づけ、この「ローテこそ、正解」が浸透。トライアルレースを使う事がある意味「愚」「負け組」「敗者復活戦」というイメージが脈々と今のオッズに表れているが、賞金が十分にもかかわらず、敢えてトライアルレースを使うことに「意義」と「意味」を見出し、着順と引き換えにその意義をきちんと達成できた「異例のDローテ」を貫いた老舗の非社台・チームラフィアンの◎コラソンビートには、「直行だけが競馬じゃないよ」とある種の「主張」めいたものを感じたことから、「右にならえ」が大っ嫌いなオラ。今回最も買いたいシグナルが灯っている。

そこに、もはや武や川田など上は一切見ていない、馬を勝たせることだけを考え「主張し続ける」無敵状態の坂井リュウセイが、G1初挑戦の茶木センセイに「上からエスコート」できるというおかしな精神的優位をもって、いまこのオッズで買えてしまう事態にはヨダレが出ており、一度騎乗して、後のG2ホースを砕いた○ライトバックにも妙味はタップリ。

横山タケシと坂井リュウセイ。
この2人の「東西の若きスター」のワンツーで決着を切望する。
坂井リュウセイが土日重賞連覇・日曜はG1制覇したなら、今度はタケシの番だ!

◎⑧コラソンビート
○⑪ライトバック
☆③イフェイオン
△⑨アスコリピチェーノ
△⑫ステレンボッシュ
△⑦スウィープフィート
△②クイーンズウォーク


「競馬は馬7人3。しかし、G1は馬5人5」
の、オラが唱えしこの古き格言ならば、東西で隆盛極めるこの二人が、上位を席巻したとしても何ら不思議ではない。少なくとも北村ヒロシより買いたいと思えるジョッキーだから。30年前の武豊を追いかけているこの二人の若者の「意地」と「無敵」、そして「主張」に託してみたい。

馬券は、◎○☆本線の馬連・ワイド。そして、△が人気どころ4頭という状況から、大阪杯のような△を絡めたワイドは高目追求できないため導入せず、馬連のみとする。3連単は「夢」追及で行こう!

単勝・複勝  ⑧
馬連・ワイド ⑧-⑪(強)
馬連・ワイド ③-⑧ ③-⑪(中)
馬連    ⑧-②⑦⑨⑫(弱)
3連複   ⑧-②③⑦⑨⑪⑫
3連単   ③⑧⑪→③⑧⑪→②③⑦⑧⑨⑪⑫
      ③⑧⑪→②③⑦⑧⑨⑪⑫→③⑧⑪


ぐおっ、14000文字ですと!? 大阪杯より2000文字多いべな?

それでは、よい桜花賞をっ!


新体制、早く軌道に乗せたいと思っているので、よろしければサポートお願いします!(*^_^*) がんばって書いていきたいと思います。