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オンライン言語教育の限界点を探る〜日本語教育における直説法〜

ミャンマー人技能実習生に対する入国前日本語教育の担当者として生きること早約1年。

ここで一度オンライン言語教育に関して抱いている思いの丈みたいなのを整理させてみたいと思う。


もっと言うとオンライン言語教育〜日本語での直説法における限界点〜の方が近いかもしれない。


ここまで詳しくカテゴライズ化する必要がある理由についてはまた後の記事で触れていこうと思う。そもそも言語教育、言語を教育するとは?みたいな話についても追々書いていきたい。


今日はオンライン言語教育〜日本語での直説法〜について。


そもそも直説法を知らない人も沢山いるだろうから簡単に説明すると学ぶ言語で言語を学ぶことです。英語で英語を学んだり、日本語で日本語で学んだり。


私は今そんな手法を用いて日々ミャンマー人と向き合ってるわけなんだが、まぁこれの限界感が凄い。冒頭から出オチ感あるけどこれは割と本当に。


何が限界か?インターネット接続問題と学習環境問題である。


そこ?と思うかもしれないがそこである。


ご存知の方もいるかもしれないがミャンマーは今年3月中旬から5月中旬にかけて約2ヶ月間のネット遮断が行われていた。殆どの市民のネットが使えなくなっていた。


これはこれでまぁ色んなことを思ったわけだが、それが復旧してからも局所的にネットが弱い地域があったりしててんやわんやな状況は続いている。


でまぁそれはまぁもう仕方ない。うん、仕方ないで済ませるしかない。


そして学習者の殆どは日本に出稼ぎ目的でくるので、言い方悪いが田舎の貧困地区から接続してくる人たちが大半である。


ここが割と問題なのである。


ミャンマーの田舎は思った以上にネット環境が悪い。遅いし切れるしうるさい。


冗談ではなく各授業中に必ず数回は鶏の馬鹿でかい鳴き声や、隣のウチから流れてくる爆音のカラオケや(これは東南アジアあるある)、やけにエンジン音のうるさいバイクが通り過ぎる。


会社勤めの方も多いことでしょう。Zoomでのこの猥雑さを想像してみてほしい。


1回2回ならまだ笑えるがもう毎日毎度やられていると流石にイラっとする。


この状況ではおそらく日本人同士で日本語で会話しても割と「えっ?!今なんて?あっちょっと全然聞こえないわ、、、あ、ごめんあとめっちゃうるさい!喋ってないときミュートにして!え?!聞こえないって?ミュートミュート!あ、ごめんえ、なんて??、あ、え。。。」くらいになることは容易に想像がつく。マジで。


これが相手が殆ど日本語の理解できないミャンマー人相手だとどうだろうか?この無理ゲー感をリアルに想像してみてほしい。もう言語教育どころの騒ぎではないのだ。


とにかくネット環境が悪すぎる。


そしてこれはもう本当にどうしようもないことだけどミャンマーの田舎の大半の家は横が吹き抜けになっていたりする。もう殆ど外なのだ。これも雑音に拍車をかけている要因なのだ。まぁ仕方ないんだけど本当に。


そして次に学習環境問題。


これはオンラインならではの悩みでもあるのだが、こちらは幸いネットも安定していて常にネット検索が彼らに提示できる状態で授業ができるのだが、向こうの人間の殆どはスマートフォン接続でZoomを使っている。


言語教育をしている以上向こうから言語に関する質問も出てくるわけだがそれを聞くのも一苦労。もちろんZoomを使いながらスマートフォンを使うこともできるわけだが、聞きたいことを一回一回調べてそれをZoomのチャットに貼るみたいな工程がこのネット環境だとかなり面倒。それをこちらから指示して実際にこちらが把握するまでおそらくオフラインの5〜10倍程度の時間を要する。時間効率もクソもない。


そして学習環境に関してもう一つ。


生徒の大半は文法語彙に関しては日本語達者な専属のミャンマー人講師から教えてもらっている。これを間接法という。


それもまぁViberという日本でいうLine的なもののチャット機能でずっと教えてるわけなので人それぞれの理解力、記憶力、推考力によってかなり差が開く。

もちろんオフラインでも同様の問題は起こるだろうが、完全オンライン下ではこの現象がより顕著になる。もう分かってない人は何も分かってない。


これがオンライン直説法日本語教育における限界点の真髄かもしれない。


もうこれら全てどうしようもないことなので特に何も思わなくなってきたが「まぁ基本的にこれで勉強って無理だよな」みたいな思いは漠然と普通にある。無力感。


これがまだしも俺がミャンマー語ペラペラであればコトは違っただろうけど(聞き取りづらい雑音状況、ネット環境でも母国語であれば単語の断片から文章全体を予想できたりするから、習いたての第二言語だとまず無理)まぁこれがやはりオンラインでの直説法における歴然たる課題ではないのだろうか?と格好良く問題提起したところで終わりたいと思う。もう飲んでるし、眠いし。


次回はそもそも第二言語学習とは?くらいからそのうち言語教育、教育とは?みたいなところで着地させれればいいかなと思っている。

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