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食べ塾99:コロナ回復に向けて崖を這い上がる飲食店~年商より借金が多くても500万円の融資が実現しました!

 私の住んでいる県のお隣の県の、人口の多いエリアで魚料理の飲食店を
経営されている方の実例です。

5年前に、居酒屋系のお店の店長さんから独立開業されて、半年間はどうにか自力でうまくゆきましたが、その後に売上づくりの見通しが立たなくなり、担当税理士さんから私にクライアントとしてどうかという打診があったお店でした。

契約後、2年間ほど魚料理専門店としてのメニュー作りや経営者としての心構えなどを伝えながら、徐々に赤字領域~ペイライン領域~そして待望の黒字領域の「2か月目」に新型コロナ発生で、また赤字領域をその後2年5か月間体験することになりました。

■目いっぱい膨らんだ借金

  どこの飲食店もそうですが、果たして返せるかなという借金を抱えて
いるお店がほとんどです。(*以下の数字はイメージとしてみてください)

1,開業時に借入したお金の1500万円にリセットしてしまった
  開業時に借入した1500万円を2年間返済して1200万円になっていましたが、コロナ禍の中での運転資金用に公庫さんから300万円借りることができました。その結果、借入金の返済額はリセットされて、また借入総額は1500万円になりました。

2,コロナ禍緊急融資で500万円借りました
  実質的に金利がつかないお金としてスピーディにお金が融資されるので
申し込みをされて500万円を借入しました。1か月を待たずに入金しました。その他の持続化支援金などの支援金も入り、一時的には「資金ストック」が500万円~600万円ありました。借金とはいえ凄く大金です。

この時点では、コロナは年内で終わるだろうという見通しでした。
2年後に、手持ち資金の残金はかき集めても100万円を切るくらいになりました。
この頃から、この経営者の方の危機感が増してきて、打合せ時の目の色が
鋭くなってきました。理由を聞くと、何をどうしていいかわからなくなったから、生き残れる方法を是非知りたいと言われました。

■資金の枯渇目前の起死回生策は「融資の実現」

 経営者の方と私の2人で、この難局をどう乗り切るかを話し合いました。
融資の資金使途は、運転資金と改装に使う設備資金です。
どちらも吟味して必要最小限度の予算額にしました。

経営者Aさん「店が潰れたら外国に行ってでも借金を返す覚悟をしました」
と真剣な眼差しで言われました。良い覚悟だなと感じました。
*新規でお店を始める時にこの覚悟が必要だったと思うのでした。

「事業を早期に再生するには、180度生まれ変わったお店にならないと
先の望みはないと思います」と伝えて、ターニングポイントになるのは、
リニューアル工事とした対策を協議しました。

経営者Aさんと私は、一致協力して再度黒字領域のお店になれるように
チャレンジすることとなりました。業績改善の期間は令和4年の7月~8月の
夏季需要の時期に合わせました。

<融資対策も含めて行ったこと>
1,飛躍的に業績改善する方法を「リニューアル」+「バージョンアップ」 
  ~いかにお金をかけないで、効果を最大にしたお店を改装する方法を
  考えた
  
●お店の魅力を一挙に飛躍的に良くすることで、3か月以内に業績改善が
行われるようにしましたが、費用を潤沢にかけられない状況なので、
「どうしてもここを変えないといけないというところだけ工事」をするようにしました。

店頭のイメージの一新、店内の客席、照明設備、空調の入れ替え、店舗入り口周り、こ上がり席の個室化、壁面や床の張替え、パーテーションなどに
工事を絞りました。
トイレやキッチンなどコストの高い工事は現状利用として工事を行いませんでした。

  ●ただのリニューアルだけでは魅力に欠けるため、和洋折衷のお店の
イメージを洋風に置換えました。機能的でおしゃれな感じを取り込み、
開業後の平均客単価を1000円~1500円アップできる感じに仕上げるように
しました。1日に15人のお客様が来ていただければ成り立つお店にしました。客単価を少し引き上げて必要来店人数を少し絞った形です。
そうすることで「専門店効果」が発揮できるのです。

2,金融機関用でなく、そのまま実行する事業の作戦用の事業計画書を
  作成した
  ●
通常は金融機関へ融資目的だけの事業計画書を作ります。また、金融
機関側でも事業計画書通りに行くお店(事業所)は10%に過ぎないとわかっていて融資しますが、私は、
本物の実行計画書を事業計画書にしましょう!」と言って本当にこの通りの売上目標が、このお店の生き残れる売上目標とした計画書を作成しました。

3,経営コンサルタントが実践プランを作成して、税理士さんが採算性を
  数値で裏付けとして固めた
  ●
私はこのお店の過去3年間の売上推移を判断し、今年の3月~5月のコロ
ナ禍の状況と売上レベルを推測して、今後の売上分析を行い今後5年間の業績見通しを予測しました。多めの売上見通しでなく、数値は経営持続できる辛めのぎりぎりOKの数値になるように心がけました。
しかし、営業利益をゼロとみれば計画値より売上が低くても、赤字にはならない業績予測にしました。

このお店の良いところは、魚料理専門店として他店と差別化しやすいこと、
店舗が小さいので、タイトに客層を2段階ほど絞り込んだ集客ができることです。
(*協議の結果、30代~40代の女性客+男性客に絞り込みました)

4,根本から見直しした改装後のメニューを融資申請資料に添付した
  
融資申請時は定型の融資申込書がどこの金融機関もあります。
借りる人の内容が違うだけです。どこも申請書と設備資金の使途の見積書
だけです。ここで有利になるように作戦を組みます。
メニューの他に、職歴書、決意書も添付しました。

窓口担当者さん以外の上級職の方は、すべて面談なしなのでできるだけ
審査しやすいように関係資料があると有利になります

(*公庫さんの場合は通す審査というよりも、断る理由があるかないかの
 審査を行うと聞いたことがあります。断る理由がないところが融資決定先
 になる訳です)

<審査する人の身になって言われなくても準備する>

店舗図面を添付する
・立地の資料を添付する(マップ
・改装後に実施するメニューを添付する
・簡単な職歴書を添付する
・融資に対する「決意書」的なものを添付する(経営者の考えを伝える)

5,添付の必要はないが、経営者の略歴と改装に対する思いと覚悟を書いた  
  書面を添付した
  
4のところで述べましたように、これも添付しました。
申請書類はより人間臭い方が良いと思います。

しかし、金融機関さんはあくまで「貸した金をちゃんと返してくれる」という心証がない場合は決して融資しません。

飲食店の場合は、
●返済実績に遅延等がない
●店の評判が特別悪いということがない
 (*ネットに同業者がらみの悪い書き込みをされていても構いません)
●まじめに日々の経営に取り組んでいる
●反社的人物が介在していない

ということが大切になるかと思います。

このお店は、赤字でも融資を受けることができました。
飲食店主Aさんは、
今恐らく人生で一番燃えて頑張る気力に
満ち溢れていると思います

これはほんの1例です。
是非再生復活に向けて頑張りましょう!
悔いなく全力を出し切りましょう!

(了)



飲食コンサルタント業30年の経験を通じてお知らせしたいこと、感じたこと、知っていること、専門的なことを投稿しています。 ご覧になった方のヒントになったり、少しでも元気を感じて今日一日幸せに過ごせたらいいなと思います!よろしければサポート・サークル参加よろしくお願いします