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ワンチャンをめぐる冒険

きょう、学部 3 年くらいの子が「ワンチャン」と言っているのを耳にした。犬ではなく、「ワンチャンあるかも」のアレだ。若者言葉にも流行り廃りがあると思うが、これもずいぶんと息が長い表現ではないか。自分が学部 1 年の頃に周囲の人がよく使っていたから、少なくとも 8 年選手だ。いろいろな人が「ワンチャン」を使っている場面が脳内にフラッシュバックする。高田馬場ロータリーで二次会に行くか迷っていた人、ツイッターでおどけて「ワンチャンおるで(犬の顔文字)」と書いていた人、ワンチャンを中国人の名前だと思っていた人などなど、思い出はめぐる。この手の若者言葉は、思い出のタイムライン上でのハッシュタグの役割を果たしてくれるのではないか。三件しか思い出せなかった上にひとつはウソだけど。

色々な「ワンチャン」が積み重なり、きょうに至るまで生きながらえてきたのだろう。これは新明解掲載も近いのではないか、などと考えていたら昨年に掲載されていたらしい。だが新明解ではなくて大辞林の新版だった。なんで新明解だと思ったんだろう。漠然とおもしろ国語辞典のイメージを抱いているからか。無意識のうちに「おもしろ」という意味を「用例がユーモラス、含蓄がある」という意味ではなく、「若者に迎合している、ネットでおもちゃにしてよい」という意味にすり替えていた可能性がある。本当ならおそろしいことだ。今しがたも「ユーモラス」と書くべきところを「ユニーク」と書きそうになった。脳みそが短絡している(すぐ脳みそとか書くのよくないね)。

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