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中条遺跡 土偶A 9:猿渡川

篠川に続いて、長篠川の流れ込んでいる猿渡川(さわたりがわ)を河口まで辿ってみました。
縄文期の猿渡川の河口はもっと上流に位置しており、中条遺跡(なかじょういせき)のある刈谷市重原本町
(しげはらほんまち)5丁目の東側の市境に沿って流れる長篠川の河口は中条遺跡の最東端辺りにあったと思われます。
現在の猿渡川を辿るのは縄文期に存在したと思われる入り江の、ほぼ最深部をたどることになります。
猿渡川の中条遺跡より下流にある神名橋と河口の境川
(さかいがわ)との合流点は、すでに紹介済みですが、このページでは長篠川合流点下流から河口までを連続的に紹介していきます。

●中条遺跡 土偶A

重原に面した猿渡川ですが、ここの部分では護岸がされておらず、繁殖した雑草の丈が高くて、堤防上からは川面を撮影することができなかった。
この下流側に位置する最初の橋は橋長58mあまりの重中橋で、その橋上から上流側の下記MAP内❶を撮影したのがPhoto❶だ。

1MAP沢渡川

1猿渡川重中橋

上記写真、左岸奥に見える丘陵部が中条遺跡の位置する重原本町。
右岸が知立市(ちりゅうし)西中町。

猿渡川の水源はこの北東13.6km以内に位置している愛知県豊田市山之手。
愛知県中央部を流れる矢作川(やはぎがわ)の中下流域に広がる岡崎平野の一部である標高30〜50mの碧海台地(へきかいだいち)に位置している。
碧海台地は氷河期に形成された更新世(こうしんせい)の通称。
人類はこの更新世に出現している。
水源から河口までの標高は約40m〜0m。
流域人口は16.6万人。
流域の刈谷市中部・南部は明治用水を利用できるため、ため池はほとんどみられない。

重中橋の下流320mあまりで吹戸川(ふきどがわが)が猿渡川に合流しているが、ここも丈の高い雑草に覆われていて、合流点には近づけない。
Photo❷は、その合流点の対岸の重原本町1丁目に水を電動で落とす水門側から撮影したもの。

2重原本町3丁目水門

猿渡川の川幅は40mあまり。
上記写真右方向が下流。
この下流90mあまりを東海道本線が渡っているが、ここから川幅は一気に70m近くに広がっている。
東海道本線の鉄橋の下流180m以内に県道48号線の通っている橋長70mあまりの三ッ又橋が架かっているが、三ッ又橋上からは眺望が開けていないので、撮影はしていない。

森前川の猿渡川への合流点となっているPhoto❸は三ッ又橋の下流550m以内に位置する橋長70mあまりのミササガ橋上から撮影したもの。

3猿渡川/ミササガ橋

この部分では両岸とも護岸堤防に変わっている。
上記写真の右手は野球グランド。
左手は重原から猿渡川北岸に延々と続いている水田となっている。
すでに吹戸川を境に下流のここでは両岸とも刈谷市となっている。
橋名の「ミササガ」とは刈谷市の姉妹都市であるカナダのミササガ市のことで、オンタリオ湖(北米五大湖の一つ)北辺のネイティブな部族にとって「沢山の河口を持った川」という意味のある名称だという、

Photo❹Aはミササガ橋の下流370mあまりに架かった橋長80mあまりの神明橋上から下流側を撮影したもの。

4A沢渡川/神名橋下流

神明橋の欄干には橋に関する案内書パネル『神明橋のいわれ』が掲示されていた。

「神明橋は、高須橋(※一つ上流の橋)ができた江戸時代からかかっている。村人は、橋のたもとに神明社を祭り、この橋をお神明社と敬って呼んだ。」※=山乃辺 注

下記写真は神明橋脇だが、猿渡川の南岸が削られ、川幅が広げられているのが見て取れる。

4B沢渡川/江川

ここには北竜、東竜に沿って流れている江川が流れ込んでいるのだが、江川から流れ込む土砂対策で広げてある可能性も考えられる。

神明橋から下る途中、堤防内に伸びる樹木にダイサギが3羽止まっている光景に遭遇した(ヘッダー写真)。

Photo❺は神明橋の下流1.2km以内に架かった橋長80mあまりの巡見橋(じゅんけんばし)上から下流側を撮影したもの。

5沢渡川/巡見橋

「巡見」とは、今でいえば「巡視」のことで、親柱のモニュメントに案内書『巡見橋』が表示されていた。

 江戸時代に架けられたこの橋は、幕府の巡見使の通行する道筋に当たり、刈谷藩の役人がここで出迎えるのが例であった。
 その当時から巡見橋と呼ばれている。

巡見橋の下流970m以内に猿渡川と下り松川の合流点がある。

6沢渡川/猿渡大橋/下り松川合流点

上記写真左が猿渡川、右が下り松川。
砂州が堆積して両河川に挟まれた堤防から葦原が210m近く下流に延び、下り松川の河口先には堆積した砂州をさらう浚渫施設(しゅんせつしせつ)が設置されている。
このあたりの猿渡川川幅は100mあまり。
下り松川の川幅は50m未満。

猿渡川と下り松川の合流点のさらに下流590mあまりに猿渡川の河口があり、境川に合流している。

7沢渡川境川合流点

上記写真左側が境川(川幅320mあまり)、右側が猿渡川(川幅70mあまり)。

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猿渡川河口は2度目ですが、1度目は梅雨の合間の快晴の日。今回は向かって来ていた台風が逸れたために、時間とともに青空が出て最後の河口で最も青空になりました。川面の色も違います。

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