見出し画像

中条遺跡 土偶A 33:宮島〜八王子神社コネクション

刈谷市の北部に位置する泉田町 八王子神社には社地の西端に境内社の厳島社が祀られていました。

●中条遺跡 土偶A

その厳島社は八王子神社の他の境内社と同様、鳥居を持っていたが、八王子神社の社頭の鳥居と同じく、北北東(鬼門)を向いた石造八幡鳥居で、「厳島社」の社頭学と大きな三つの房を持つ立派な注連縄が掛かっていた。

1泉田町 八王子神社境内社厳島社鳥居

鳥居をくぐっている参道の左手には巨木の幹が天に向かって伸びており、鳥居の右手奥に厳島社の側面が見えている。
この厳島社には何度か来ているのだが、7月にやって来た時、鳥居前の参道にアオスジアゲハが留まっていた(ヘッダー写真)。
よく見ると、寿命が尽きようとしているらしく、生きてはいるのだが、もう飛び立つ元気は無くなっていた。
アオスジアゲハは高津波町の市杵島神社の森の中でも目撃しているが、

かなりのスピードで飛び回るチョウだ。
水辺に吸水集団を形成するチョウなので、水辺に祀られる市杵島神社とは縁のあるチョウなのかもしれない。
また多くの神社内にはアオスジアゲハの幼虫の好むクスノキが植樹される事も多く、そのことも無関係ではないかもしれない。
ただし、ここ八王子神社に楠は見当たらなかった。

鳥居をくぐるとすぐ先の参道脇の巨木はたくましいが行儀のいい根を張っており、その根元の周囲には球形のドングリと、その殻斗(かくと=どんぐりの椀)が、いっぱい散らばっていた。

2クヌギ根本

クヌギのドングリだ。
アオスジアゲハが楠を好むのは、その若葉を幼虫が好むからで、クヌギの場合は、その樹液がチョウ全般に好まれるそうだ。
梢を見上げると、下層の枝は整理されているが、梢に近い部分の枝が張られ、葉も茂っている。

3クヌギ梢

クヌギの脇を通り抜けると、鳥居から20mほどで参道は突き当たりとなり、参道は5度くらいの角度でUターンして瓦葺切妻造平入の覆屋に向かっている。

4泉田町 八王子神社境内社厳島社

覆屋の正面には大きなガラス格子窓が設置されている。
その覆屋はちょっとした塚の上に設置された形になっており、3段しかないが、踏み面の広い石段で拝所に上がるようになっている。

参拝して、賽銭の穴から屋内を見ると、屋内は白壁で、屋内のほどんどを覆うような棚が設けてあり、その中央に総素木造の厳島社が祀られていた。

5泉田町 八王子神社境内社厳島社祠

この厳島社の祭神は市杵嶋姫命だが、ここ八王子神社に五男三女神が祀られていた時代のものがここに残されたのか、あるいは水路や池の多いこの地域のどこかから持ち込まれたものかは不明だ。
ここから最も近い水場といえば、北西350mあまりの場所を南北に蛇行している発杭川(ほっくいがわ)だ。

1MAP泉田町 八王子神社境内社厳島社

発杭川を地図で水源まで辿ってみると、ここから北東4.3kmあまりの場所に位置する岩ヶ池のようで、河口はこの南400mあまりを東西に流れている逢妻川(あいづまがわ)に流れ込んでいる。

発杭川にかかる二つの橋、上流側の発杭橋と下流側の清水橋の間の西側の堤防を辿ってみた。
上記のMAP内❶で撮影した下記写真❶は発杭橋上から発杭川下流側を撮影したもので、川表は護岸されておらず、深い雑草で覆われている。

6発杭川

上記写真左手の水田部分は、かつては葦原になっていたようで、東部(写真左端)には葦原が今も残っている。
縄文海進3mの地図を見てみると、八王子神社は水辺に当たる場所であったことが判る。

2MAP海進3m八王子神社

写真❶のオレンジ色の鉄塔は高圧線の鉄塔。
八王子神社の杜はその鉄塔の左側の向こう方向に位置している。
発杭橋から八王子神社の杜まで360m以内だ。
発杭川の水は透明度が低く、アカミミガメを数匹見かけた。

MAP内❷で撮影した下記写真❷は発杭川の西側の堤防上から八王子神社の杜の方向を撮影したもの。

7発杭川

森の上に出ている瓦屋根は八王子神社の北北西70mあまりに位置する浄信寺。
八王子神社の杜は写真❷の中央の森の向こう側だ。

MAP内❸で撮影した下記写真❸は清水橋の上流90mあまりに位置する水門。

8発杭川

◼️◼️◼️◼️
厳島社の総本社が広島県廿日市市厳島(宮島)にある厳島神社。
厳島のロープウェイの終点、獅子岩駅にある「ペトログラフの岩」と呼ばれている巨石にはシュメールのペトログラフが刻まれていることで知られており、厳島と泉田町 八王子神社の双方にペトログラフと厳島神社が存在するとは奇妙な縁と言えます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?