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息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話 その後6

退院して初めての減薬から2週間後。

処方された薬が残り1包となったその日、再び息子を連れて主治医のもとへ向かった。

主治医の先生はいつもと変わらず、元気いっぱいの息子の様子を見て微笑みながらも、目の動きや手足の反射、片足立ちなどの運動機能を確認していく。

ひととおり診察が終わって、主治医の目線が息子から私に移った。

「さて、息子くんはとてもよく回復していますね。特に麻痺が残っている様子もありませんし、前回の減薬の影響で再発しているということもないでしょう。
処方されている分を飲み切ったら治療としての服薬は終了して良いと思います。」

その言葉に、自分でも気付かぬうちに止めていた息を細く吐く。

『治療としての服薬が終わる』

待ちに待ったような、不安なような。
複雑な気持ちだけれど、やはり安堵が1番強かったように思う。

なんとなく胸がいっぱいで、うまく言葉を紡ぎ出せずにいたが、主治医は説明を続けていく。

「そして、飲み切った翌日からは以前説明していた体内で作られるステロイドホルモンに近い薬を一日3回服薬していきます。

まずはとりあえず1か月後に体内での生産量がどのくらいか見るために検査にきてください。」

その場で次回の検査日の予約を取った。

「あとは、MRIの予約を早めに取っておきましょう。

この病気の特徴でもありますが、

『目に見えている症状』と『実際の脳の炎症具合』が噛み合わないことが多くあります。

重篤だった倒れた直後が脳の炎症のピークだったわけではなく、その後も拡がっていたと予想されます。

現在長男くんは回復していて動きや知能的な部分も影響はでていないように見えます。

でも、今MRIを撮影してもまだ炎症は残っていて、再発なのか前回の炎症なのかの判断が難しい状況であると考えられます。

ですから時間をおいて、2ヶ月後くらいに1度撮影してみましょう。

それでも最初の炎症は残っているかもしれませんが、新たな炎症が発生していないかは確認出来ると思います。」

動きも会話も記憶も倒れる前と変わらないと感じていたため、脳の炎症も回復しているのだろうと思っていた。

再発の恐怖を抱えながら、2ヶ月も脳の状況が分からないまま進んでいく。

この時点で倒れてからまだ2ヶ月弱しか経っていなかった。
ここまで必死で駆け抜けた期間と同じ時間待つのはもちろん不安と焦りを感じた。

けれど、MRI自体にも、入眠導入の為に必要な服薬にもリスクがある。

できる限り一度で診断出来るタイミングを先生は考えてくれている。

そんな想いを受け取り、その日から2ヶ月後にMRIの予約を入れた。

サポートしてもらえたら、嬉しいです😊寄付や家族時間の充実に充てたいなと思っています。よろしくお願いします!