息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話2

園の先生方にお礼を言い、長男を抱えながら救急車に乗り込んだ。

先程先生に聞いた話や、土日のこと、朝の様子を答えながら、どんどん色々なコードを取り付けられていく長男を見ていることしか出来なかった。

長男を失うのではという不安が徐々に、徐々に大きくなっていく。

「長男!聞こえる?ママいるからね!」

時折声を掛けながら、早く病院に着いてくれ、原因がすぐにわかって治療が間に合ってくれ…!と祈ることしか出来ず、無力さを噛み締めながら到着までの時間を過ごした。

その後、家から一番近い総合病院に到着。

息子は救急センターの処置室に移され、私は救急の受付窓口でまつように指示を受けた。

新型コロナウイルス感染拡大防止の一環で、総合の待合室は利用出来ず、救急窓口横の小さな一角、心なしか薄暗いソファで夫や会社などに連絡を取った。

それが終わるとただひたすらに息子の無事を祈りながらここ数日の様子を思い返していた。

なにか見逃した不調のサインは無かったか?

まだ3歳。小さな彼に無理をさせていなかったと言えるだろうか。

そんなことを考えていると、産まれたばかりからその日までの記憶が巡る。

何故…。

何故…?

どうしてうちの子が?

そんな言葉がつい思い浮かんでは消える。

そのたびに、

大丈夫。絶対に助かる。大丈夫。頑張れ、長男。

そう息子を信じるように言い聞かせた。

夫はすぐに駆けつけてくれたが、二人になっても、お互いの手を握りしめて祈ることしか出来なかった。

そんな時間を2時間程過ごした時、

救急センターから一人の先生が私達のもとに向かってくるのが見えた。


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