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息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話10

息子が倒れて3日目となる朝。

この日も同じように目が覚め、着信を確認しては息を吐く。

さらに悪いことが重なり、洗濯機が故障した為、その対応にも追われた。

コインランドリーへ行ったり、自分が食べられなくても、次男や夫には食べてもらわねばと食事を作る。

少しでも動いていないと足元が崩れ落ちるような感覚が常に付き纏っていた。

病院から指定された面会時間は午後の2時間のみ。

それもこの日から病棟に入れるのは緊急時以外『両親のうち、どちらか1人』と指示を受けた。

話し合いの末、この日の面会は夫に託すことにした。

前日、PICUの看護師から

「動画は撮れませんが、写真は撮って頂いて構いませんよ。

お気に入りのおもちゃやぬいぐるみ、毛布があったらもってきてあげてください。匂いや感触で安心出来ると思います。

また、今は寝ているので見れませんが、お気に入りのDVDがあると良いですね。今は音楽を聴かせてあげたいので、好きな曲のCDがあったら持ってきてあげてください。」

と言われていた。

とにかく安心して回復できる環境を整えよう。

目が覚めたとき、親がいなくても少しでも安心出来るように準備しよう。

そう、心に決めていくつか用意をする。

まずはカメラ。

スマートフォンや携帯電話は電源を切るように指示されていた。

我が家はたまたま夫がカメラが好きで、一眼レフを持っていたため、それを持参することにした。

次に、未使用のノートを探して引っ張り出した。

それを長男との交換日記にしようと考えたのだ。

息子は文字はまだ書けない。

でも、ひらがな・カタカナは読める。

絵本が大好きな長男は、毎日読むなかで自然と文字を覚えていた。

一生懸命気持ちを込めて絵本を朗読している長男の姿が脳裏に浮かぶ。

絵本も読んで聞かせてあげよう。

お気に入りがいっぱいあるから、毎日違うのを持っていこう。

そして、ノートに長男へのお手紙を書く。

とても、とーっても愛していること。

会えなくて寂しいけれど、いつも長男のことを考えていること。

目が覚めたらやりたいことや、退院したらしばらくはずっと一緒に過ごしたいと考えていること。

次男が、長男がいなくて探して回っていること。

両家の祖父母も心配していること。

保育園の先生も、お友達も、従兄弟たちも、みんなが長男を応援してくれていること。

焦らなくていいから、ゆっくり元気になって戻ってきて欲しいこと。

そんなことをつらつらと書いた。

「この手紙、耳元で読んであげてね。聞かせてあげて。」

そう言って夫に託し、見送った。








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