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息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話3

「息子の意識は…?」

吐くように出たその言葉を受けながら、先生は深刻な表情のまま説明を始めた。

「この度は突然のことでしたね。

長男くんですが、搬送直後に意識レベルが落ちてしまい、自力で呼吸が出来ない状況になったため、人工呼吸器を入れています。挿管といって、管を肺まで直接入れているので苦しい処置です。暴れることの無いように鎮静剤を入れて強制的に眠らせています。その後、CTを撮った結果、多分これだろうと疑われる病気が分かりました。」

そう言って差し出された紙に書かれていたのが

「急性散在性脳脊髄炎」。

そして、先生からは

「ここ1ヶ月以内に予防接種を受けられたり、風邪などの病気にかかったということは無いですか?」

との質問。

「予防接種は3週間ほど前にインフルエンザの一回目を受けました。10日程前から鼻水と咳が少し出ていましたが、熱が出ることは無く、1週間せずに治ってこの週末も今朝も風邪の症状はありませんでした。」

このやりとりの後、また先生は救急センターへ戻り、私達はそのまま待つことに。

しばらくして戻ってきた先生より告げられたのは

「この病院より設備が整った場所に空きがあるため、今から転院します。」

再度救急車に乗って移動するという提案。

人工呼吸器が入っている状況で動かして大丈夫なのか?

そもそも、地域の総合病院として有名なこの病院でも対処しきれないような病状なのか?

そんな不安感に襲われながら、それでも(「転院することが状況の改善に繋がる」とプロが判断したんだ)と自分に言い聞かせ、とにかく彼についていたいという一心で同乗することに決めた。

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私が救急車に乗り込むと、剥き出しの青白い肌に様々なコードが繋がって、口から体内に管が入っている状態で眠る長男の姿が目に入った。

そこに、先程病名を教えてくれた医師が同乗してくれ、道中病気の大まかな特徴やあまり症例が多い病気では無いこと、さらに長男の場合は発症からの進行が早いこと、通常この病気で呼吸が出来なくなるほど意識レベルが下がることは珍しいことなどの説明を受けた。

今からいく病院は小児に特化した総合治療を受けることが出来るし、今の病院よりもこの病気の臨床例も多いはずだということも。

とにかく、一刻も早く息子を助けてほしい…!

その一心で転院先に一秒でも早く辿り着けることを願いながら息子に声をかけ続けた。








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