介護スキルの保有は有効なリスクヘッジ

本日は、もう一歩踏み込んだ介護の事前対策に言及します。

親の介護にあたり人的戦力の確保が重要であることはこれまでも触れてきましたが、仮に身内のなかに介護上手なヘルパーさんがいてくれたら心強いと思いませんか。

これは一つの斬新な対策ですが、自分がその心強い戦力になっておくといった方法があります。

現職を辞めて介護職に就くといった手荒なことをするわけではありません。要は、初歩的な介護技術程度は、身に着けておくことを提案しているのです。

実は介護技術とは日常的な生活動作の延長線上にあって、必ずしも医療技術のような専門性に立ち入るわけではありません。

語弊があってはいけないのですが、介護職が医療関連職よりやさしいということではありません。介護職は要介護者へのデリケートな心のケアを要求される分、数値による指標や機器で判断をしていく医療関連より難しい一面もあるのです。

しかし初歩的な介助技術、例えば食事、衣類の着脱、ベットから車イスへの移乗といったケアは要介護者の状態にもよりますが、それほど難易度が高いわけではありません。

これらは短期間で取得できる一般的な介護資格の講座で身に着けられますが、もちろん資格にこだわることはなく、独自でスキルを磨いておくことも可能なのです。

当然このような提案には抵抗がある人もいるため無理に勧めるわけではありませんが、介護スキルの保有によって得られるメリットは計り知れません。

各家庭状況にもよりますし、肉体的負担が重くなることは避けなければなりませんが、本来であれば施設に入居すべき状態の要介護者であっても、在宅でケアすることができれば介護費用の負担は大きく削減できるのです。

現在の介護施設の環境は名目上利用者が3人に対して職員が1人の体制で運営されていますが、急拡大のあおりを受けて介護職員の質の劣化が目立ちます。

もし在宅での介護体制が確立されたら、捉え方しだいでは利用者1人に対して自分を含め、ヘルパーさん、看護士さんら複数の人でサポートしていくため、施設より低価格で好環境のケアが実現できるのです。

こうした発想はよく考えれば当たり前の話で、身内が自力でケアできる技術をいくつか持っていたら、その分、専門の介護職員に頼む必要がないためコストは下げられるのです。

一般的な例でいえば、自宅の掃除を専門業者に頼めば費用がかかりますが、自分でできるのであれば、多少時間を割いてでも自力で掃除をしたほうが、お金はかからずに済むことと同じです。

自分には介護はムリ、といって思考停止状態の人もいますが、介護技術をもっとフラットに考えて、自分のできる範囲内で、手を差し伸べてあげるだけのこと、と解釈してみたら、今日からすべての人が介護職員になり代わることができるのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?