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Home Sweet Home

この記事は、川崎ブレイブサンダース ファミリー Advent Calendar 2022 21日目の記事として寄稿するものです。
主催者のIshikawa Ayakoさん、素敵な企画にお声がけいただきありがとうございます!

20日目はNatsukoさんによる、「川崎ブレイブサンダースU18 第1期生」でした。川崎ブレイブサンダースの名前を背負って成長を続ける若者たち。縁あって川崎にまた戻ってきてくれればよいなと願います。


自宅から電車で15分。
バスでさらに15分。
家からわずか30分の距離にあるとどろきアリーナは、2020年12月6日にはじめて行ったその日から、私にとって最も身近な非日常になった。

特に私は辻選手のことが大好きになり、こんなに気軽に会いに行ける距離に推しがいたことなんて今まで無かったから、なんと素晴らしい楽園を見つけたんだろうと毎日ホクホクしていた。なんでこんなに近くにあって今まで見つけられなかったんだろうと落ち込んだりもした。

そして、私の楽園は20-21シーズンをもって、私の、というかサンダースファミリーのほとんどの予想に反し終わりを迎えた。

そのとき真っ先に不安になったことが、川崎をこれからも応援できるか、ということだった。まだファンになって半年のニワカが辻選手がいなくなった川崎をこれからも好きでいることができるだろうか。きっと無理だろうな、とどこかで諦める自分もいたけれど、篠山選手がツイートした「最終章は、また一緒にやろうや。」という言葉を見て、辻選手が戻ってくる"最終章"のために応援し続けようと誓う。
それが、2021年6月のこと。


2022年12月19日。
いま、北海道vs広島の試合の帰路、新千歳から羽田へ飛ぶ飛行機の中でこれを書いている。

あのあと、辻選手のオンラインサロン#TEAMNAOTOの開設をキッカケに、10km圏内の距離にいた川崎にいるときより約800km離れた距離にいる今の方が、辻選手は身近な存在として感じられるようになった。
私はというと、無我夢中で辻選手を追いかけ各地を飛び回っている。
今週は北海道、来週は秋田、1週空いて元日から仙台だ。
川崎の試合に行く回数は広島の試合よりだいぶ少なくなっている。とどろきアリーナで試合があるのに、広島を見に他の会場に行くことも増えた。

でも、とどろきはむしろ、私の中でより特別な、安寧の地になっている。

日本中どこに行っても楽しくて、友達もたくさんできた。
1人で飲んでたら現地の人と意気投合してスナックまで行った福山、かけがえのない大切な友達と何人も出会えた茨城、その1人に誘われて急に遠征が決まった信州、日曜日が友達の結婚式だから土曜日だけ無理やり行って夜行バスで帰った滋賀、仲間と連番して夜は焼肉やたこ焼きを食べた京都大阪、そして、今回の北海道も、#TEAMNAOTOの仲間をはじめとする友達にたくさん会えた。

でも、とどろきアリーナに帰ってくると、不思議と泣きそうになる。
なんの涙なんだと自分でもよく分からず恥ずかしくて、鼻に力を入れてどうにか流れないようにしているけれど、最近ずっと泣きそうになる瞬間がくるのだ。


しがないアラサーOLの、とある平日。
彼女はその日の午後からずっとソワソワしている。心ここに在らず、といった様子で仕事も手につかない。
待ちに待った定時のベルが鳴ると彼女はさっと自席から立ち上がり、手早く帰り支度をする。残業する人たちに控えめに「お先に失礼します」と声をかけて職場をあとにする足取りは軽い。
仕事で使うメモや資料に紛れて、カバンの奥に入っているのはブレイブレッドのユニフォーム。タオルも忘れずに持ってきた。
駅のコンコースの人混みを縫って、見慣れた黄色い電車に乗り込む。
Twitterを見ると、午後休組の友人たちが新発売のグッズを手に入れた報告やアリーナグルメを楽しんでいる様子が流れている。早く合流したい。武蔵小杉駅の改札を出て足早にバス乗り場へ急ぐ。中原街道を走るバスが揺れるたびに、乗客のカバンについているロウルや選手のグッズが揺れる。
バスが止まる。もうアリーナはすぐそこだ。
常に肩こりとストレートネックに悩む猫背気味の彼女は、アリーナに近づくにつれ若返り、いよいよスキップでもしそうな勢いで入場口に駆け出して行く。

スチャダラパーの音楽にのせた、どの会場にも負けないと思っているクールな演出。
キングオブBリーグマスコットのあざとかわいさを発揮するロウル。
キレキレのダンスと豊かな表情に視線を釘付けにさせられるIRISちゃん。
「状況をご説明いたします」は冷静、でも時には熱くチームを鼓舞してくれるてつさん。
私のシティポップ好きを加速させてくれたセク山さん。
売れっ子で忙しいはずなのにいつも笑顔でファンサしてくれるむらみゆちゃん。

何より、最初に川崎を見たときから、選手が入れ替わってもずっと変わらない、普段はおちゃめで優しいのに試合中はギラギラしてカッコいい選手たち。

とどろきアリーナに足を踏み入れれば、全部当たり前の景色だ。

そんな特別な当たり前をくれるのが、私の応援する川崎ブレイブサンダースなんだと、胸を張りたくなる気持ちでいっぱいになる。
もうそれなりに歳を重ねたけれど、5時の鐘が鳴るまでめいっぱい遊んでから家に帰る子供のような弾んだ声で、「ただいま」と言いたくなる。
そんなふうに思わせてくれる場所があること。
それが、きっと泣きそうになる理由なのだ。

自宅から電車で15分。
バスでさらに15分。
やっぱり、我が家がいちばんだと思わせてくれるところ。
それが、私にとってのとどろきアリーナだ。

(了)


22日目はyoshi141さんによる、「OCHA NORMAファン視点でイベント企画を検証する」です。
ちょうど今月、同じハロプロのBEYOOOOONDSがゲストで来てくれた試合を観戦しハーフタイムショーで盛り上がったばかりなので、ファン視点でどんな考察がされるのか楽しみです!

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