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初めて紅葉に起こされた朝

なんだかんだで、田舎の夜の道は暗くて狭くて怖くて、危ない。
途中に立ち寄った、良い泉質の銭湯でぼんやりまったり過ごしながらも、できるだけ早めのチェックインをおすすめし、なんとか日の落ちる前にお邪魔することができた。

今夜の宿は、ランプの宿青荷温泉。

携帯も圏外で、電気が通っておらず、コンセントもない。食事に対してはほんとに食べられるものがない。色々持ち込んで本当に良かった。

お誕生日に突如として届いたオシャレなフライシュケーゼを冷凍したのを持っていった。この日のために。

誰かと食べたかった、なにか飲み物と合わせたかった。繊細なのに奥深い、とても美味しいフライシュケーゼだった。

青荷温泉は身しょう者でない限り、駐車場がちょっとした高台にあり、徒歩100mほどのキツイ坂道を上り下りすることになる。
スマホ忘れた、鍋忘れた、いらないと思っていたアレを忘れたともなると落ち葉に濡れた滑る道を往復する羽目になるので、最低限の荷物でチェックインを推奨する。

ところが私と同伴者は、この日が初めてともに過ごす夜。
打ち合わせの段階で、部屋は別々でもOK、いびきも寝言も気にしない、でも蹴っ飛ばすのはヤメてね、なんて可愛いことを言われて同室イン。
あれもこれもお土産があって愛も物理的にも重たいのだけど、「お部屋で開封したい」といわれたので、結局大量のプレゼントを持っていくことに。

なお、季節は秋も深い、夜は0度に近いほぼ冬。
部屋には石油ストーブがあるため、喉の保湿のために鍋を持参。
これ、水を張っておくだけでぜんぜん違う。卵があればゆで卵できるし、レトルトがあればいつでもホカホカ美味しいし、そんな宿にはぜひ鍋を。コーヒーやお茶もお部屋で飲めるので茶器も一式合わせてどうぞ~

あれこれそれこれをお互いにプレゼント交換して、どれも喜んでもらえて本当に良かった。ちょこちょこ旅先でも飲めるような飲み物がウケて少しは荷物を減らせたようでなにより^^

ご挨拶もさながらお布団を敷いて、真ん中にテーブル。天井には一晩を灯すだけのオイルと優しいランプの灯りだけ。
JALパックという富豪プランにより、最上級のスイート部屋でびっくりした。
つまりは過去に泊まった部屋は雑魚部屋だったことに気づいてしまった。

割と雑魚部屋の参考例

わいわいして人が落ち着いた頃、二人して最難関の混浴風呂へ向かう。
誰かおっさんでも居たら困るのだ、年頃の独身の美女2名(1名は自称)、ランプのともしびと月明かりしかないとはいえ、傷のない裸体を記憶に焼き付かれても困る。
持って生まれた運を信じて、いざ挑む。

混浴露天風呂

青荷温泉は癖のない誰にでも入りやすいお湯、温度も適温むしろぬるめ。
ゆっくりおしゃべりしながら入るには最高ではないだろうか。

最難関の混浴露天風呂を二人占め。独泉を満喫し、向かいの男女別の内湯へケツを出しながらダッシュするのがマヌケで良かった。
服を着る距離ではないのだ。時間は夜、きっと誰も居ないだろう。
荷物を抱えて徒歩、15歩、速歩きで3秒の内湯(露天もあるが冬季閉鎖)に無事たどり着く。
ちょっとした吊り橋効果なのか、またもやここでも貸し切り独泉でプレゼントしたマッサージ塩スクラブでお互いにマッサージし合ったりしてあっという間に1時間くらい経過ってしまった。

私はそこらへんによくいるブスで趣味だけは多く、人の態度に敏感なプライドだけは高い豚。
一方、美人なのに嫌味のない、気取ったところがなく育ちのいいお姉さま。
これが豚に真珠。暖簾に腕押し、孫に衣装。(意味違うからね
うんことケーキなら納得の評価、ありがとう、家なき子2のエリカさま。


仲良く眠たくなった頃に、明日の予定をほんのり立てて、眠りについた。
ドキドキして眠れなかったけど、緊張もあったのか気づけば朝がそこにいた。

朝日に反射した紅葉から起きられるなんて、びっくりした。
到着した頃、外の色はもうみえなくて、川のせせらぎか気持ちの良い環境音だったくらい。
カーテンもなく、障子もあえて閉めなかった自分にブラボー。
震災で流された実家、朝が早いときはカーテンを開けて寝ていたからなんだかちょっとなつかしかった。

ミノムシのようにお布団に包まる姉の寝顔を見逃したのは痛恨だが、寝起きでぼんやりしていて可愛かったのだけは覚えている。
しばらく私だけの景色と朝を堪能して、朝風呂と部屋の片付けをした。

紅葉ピークにこれたうえ、なぜだか妙に感染症云々が落ち着いていた頃で、本当にぽっかり空いたスペースにちょうどよく収まったのだ。
ワクチン接種など終わったところで、このまま行けばいいなと思ったがやはり冬は新型が出てくるから困る、我が県もついこのまえ、過去最高感染者を出してしまった。

忘れらない夜と忘れたくない朝を、ありがとう。
この日で良かった、この日が善かった。

もっともっと、とそう思い出を欲しがるのは贅沢なんだろうか。
もしかしたら二度とないかもしれないほど、最高の一日だったから。

これに投げ銭するなら地元の温浴施設でジュース買ってほしいレベル